テラーノベル
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破壊力がえぐい。
あー今すぐこの場で抱きしめたい。
一生、何があっても、全宇宙を敵に回してでも大事にする。
「もう! 本当にデュークは!」
リリアーヌが最後にもう一度、抗議するように軽く胸を叩こうとした瞬間──ふっと、その拳から力が抜けた。
急に大人しくなった彼女の動きに違和感を覚え、視線を落とすと……
彼女の小さな白く細い指先が、ぎゅっと、縋り付くように俺のシャツの裾を掴んでいた。
「……?」
俯いた金髪の隙間から覗く、細いうなじが月光に照らされて透き通るように白い。
だが、その小さな肩は微かに、けれどはっきりと震えていた。
次の瞬間
「……っ」
顔を上げたリリアーヌの大きな瞳には、今にも溢れ出しそうな涙が潤んでいた。
頬は赤いままだったが、その表情は先程までの照れ隠しの怒りとはまるで違う──
切実で、今にも壊れてしまいそうな子供のような脆さが露わになっていた。
そして
「……でも、私のこと……そんなに好きだと言うなら……」
震える唇が、熱を帯びた吐息と共にゆっくりと紡ぐ。
「……ずっとそばにいなさいよね……」
「……離れたら……っ」
耐えきれず、涙が一筋、彼女の頬を滑り落ちた。
「……許さないんだから……っ」
(───あぁぁぁぁぁぁ!!!! 全力全開で尊死確定!!!!)
服の裾をぎゅうっと握りしめる、小動物のような健気な仕草。
潤んだ瞳による至近距離からの上目遣い。
震える声での独占欲の吐露。
原作には、いや、公式ファンブックのどこにも存在しなかった伝説級の言動に
俺は今度こそ我慢の限界を迎えた。
弾かれたように、彼女の細い体をその腕の中に強く抱き締めてしまった。
「デュ、デューク……?」
「……もうダメだ。理性限界突破しました。一分一秒でも早く結婚したい……!」
「けっ……!? まだ早すぎますわ!!」
「早いわけあるか! こんなかわいい生き物を独りにしておく方がよっぽど世界的な損失で危険すぎる……ていうかリリアーヌは誰にも渡さないし、もう今日この瞬間から魂レベルで俺の嫁なので!」
「ま、また訳のわからないことを言って……! も、もう離しなさいよ!」
腕の中でバタバタと暴れるリリアーヌだが、重なり合った胸からは
彼女の心臓が早鐘を打っているのがこちらにも痛いほど伝わってくる。
「離さないでって言ったのはリリアーヌだよな?」
「そ、それとこれとは話が別ですわっ!!」
「じゃあどちらも離さないことにする。決定事項だ」
「あ、暑苦しいのよ……っ!」
彼女が再びポカポカと叩いてきたが、もはや拳に力は入っていない。
俺に身を委ねるように、彼女の頭が俺の胸元に預けられる。
腕の中で恥ずかしがる愛しい人を、壊さないように
けれど決して逃がさないように閉じ込めながら、俺は確信した。
──リリアーヌ溺愛ルート、これ最強かよ。
この調子で続けていけば、間違いなく悪役令嬢処刑エンドは回避できる。
最大の問題は……幸せの供給過多で、俺の自制心がいつまで保つか。
そして、俺の心臓がこの「尊さ」にいつまで耐えられるか、だ。
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