「彩さん!」
バドラが叫んだ
ドッ…
その瞬間、周り一帯が漆黒に包まれた
だが、治はバドラの能力を覚えていたため
瞬時に判断し、バドラの元へ凄まじい踏み込み
で迫った
「くっ!」
治がバドラの体に触れた瞬間、黒い空間が解けた
だが、バドラの攻撃はまだ続いていた
「彩さん!動けますか!?」
そう呼びかけると同時に、懐から
短刀を取り出した
短刀は瞬時に炎を纏い、強力な
ものとなった
「焼かれて死ね…!」
バドラはそう叫ぶと、凄まじい打ち込みを
見せた
ブォッ…
「くっ!」
治は危機一髪で躱したが、高温な炎が周囲
に舞い、所々を火傷してしまった
その時、鰄郎は治の肩を引っ張った
「治君、一旦ここで退散していてくれ」
その瞬間、音を一切立てず、鰄郎はバドラの
すぐ後ろへ移動した
「なっ!?」
ドゴッ!!
鰄郎はバドラの顔面を真正面から殴った
「がはっ…!!」
あまりの威力に、バドラは2m吹き飛んだ
「ぅ…」
「いくら逆黒の幹部といえど、落ちたもんだ」
その瞬間
ザンッッ!!
「ぐぅ…っ!!」
彩が鰄郎の背中を大きく裂いた
「鰄郎さんっ!!」
治は慌てて発砲した
ドッ!ドッ!ドッ!
だが、銃弾は全て跳ね返されてしまった
「状況をちゃんと把握出来ていない…
やっぱり、戦闘能力は低い」
「はは….バカだなぁ」
突然、治が微笑した
「…!?」
バドラ、彩は強烈な殺気を感じ取った
全身に鳥肌が立つほどに、凄まじかった
「…彩さん」
「分かってますよ」
彩は全身を黒い鎧で纏った
そして、バドラを抱えると
ドンッッ!!
爆音を立て、逃走した
「くっ…逃げられたか」
鰄郎は、ふと治の方に視線を向けた
「…治君?」
治は、正座をして掌と掌を向かわせて
その間に黒い物質を置き、何かを作って
いた。
次の瞬間、瞬時に細い何かが出来上がった
トッ…
治はそれを掴むと
ブォッッ!!
バドラと彩の逃走した道に向かって
投げた
治の元から開放された細い何かは、しっぽの
方からジェット噴射を見せた
「これは…ミサイル?」
「はい、超小型追尾小核ミサイルです。
周囲へ考慮して規模は最低限にしています」
「構造が難しいので時間がかかったんです」
「…バドラ、無事ですか?」
「はい、殴られた後遺症か、頭がふわふわ
します」
「…!」
突然、彩が立ち止まった
「…っ!」
彩はバドラを突き飛ばした
「えっ…彩さん…?」
「バドラ…生き残ってください…絶対に!」
小さく、黒い何かが彩の頭に直撃した
彩の頭部が一瞬の閃光を見せた
次の瞬間
ドッッッッッッッッッッッッ…….!!!!!
「がぁぁっ!!」
バドラはさらに後方へ吹き飛ばされた
…
…
…
「…彩さん…無事ですか…?」
バドラが立ち上がり、ふらふらと
彩を探した
「う…」
「彩さん!」
少し歩くと、瓦礫の下敷きになっている
彩が目に入った
「…爆弾が直撃する前に頭を全ての鎧で
覆って無事でいられました、ですが…」
「頭から下はボロボロですね、すぐに
拠点へ運びます」
「いや、バドラも足を負傷しています、
なので援護を頼みましょう」
バドラは彩の話を聞くと、ポケットから
無線を取りだした
ザザ….
「聞こえますか?こちらバドラ、
大通の0_1付近での援護を求む」
「了解….こちら倉岡、首領の指示により
パードルを送ります」
「パードル…ってまさか…なぜパードルが?」
「『バドラと彩では治に勝てないから』だ
そうです」
「…それは首領が言った言葉ですか?」
「はい、とりあえずご武運を」
プッ…
通信が切れた
「居た」
突然、治が現れた
「だいぶダメージを受けているな?」
「そんなことは…..っ」
もう、バドラの足はボロボロだった
複数の切り傷、火傷、あざが目に入る程に
「クソッ…私はまだ死ねない!!
カノの仇を討つまでは!!」
ズゾゾ…
瞬間、周りは瞬時に漆黒に包まれた
「…なるほど、頭を使ってるな」
バドラはあえて暗闇で目立つ炎剣を
使用しなかった
シャッ!
地面から刃が突き出し、治に突進した
ザッ…
「っ…」
その刃は、治の掌を貫通した
「…なんだ?」
ふと治がバドラの方へ視線を向けると、
赤い球が凄まじい速度で突進してきている
ことに気づいた
「あ、まずい」
ドッ!!
赤い球が治に直撃した瞬間、黒い空間は
解かれ、砂とホコリが舞う景色へと変わった
「昨日まで凝縮したエネルギーをそのまま
放ちました…流石に傷のひとつは負うはず」
ドン!!
轟音がなると、砂とホコリが衝撃により
消滅した
どうやら、空から何かが降ってきたようだ
「っ…なんだ?」
「や、バド」
「…兄さん」
「元気だったかな?久しぶりだねぇ」
「はぁ…はぁ…後は頼んでもいいですか?」
「あぁ、任せてくれ、頑張ったな」
「…隠れないでよ治、シャイなのかな?」
「お前誰だ?随分と舐めた態度だな」
パードルと治は睨み合った
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