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私は震える手でカードを混ぜていく。動機も酷くなっていく。今朝も夏彦から言われた。
「そんなに金がないって? お前占い師なのに自分の事占えないの?」
鼻で笑われた。占いの事は今までもあーだこーだ言われた。
小銭拾い、呪いの儀式、悪魔、そんなのに引っかかるやつもバカだ、私が専業主婦から自立しようっていうのに……経済DVも加えていつも以上に罵る。
どんだけ自分が偉いのだろうか、こいつは。誰に対してもケチ付けて下におろして自分が一番だという姿。どれだけ滑稽だと思うの?????
見栄ばっかり張って。普段は買い替えもしない昔から着ている服を着てるくせに倫太郎の習い事では一丁前のスーツを着て。私にはぼろのワンピース……後から知ったけど姑のお古! かなり年代物! ……しかくれなかったのにそんなぼろを着るな、とワンピースを買わせておめかししたら周りの保護者はラフな格好で周りから浮いてて周りに笑われてたの気付いてないのかしら。
「キョウコさん、大丈夫? すっごい汗。なにか感じ取っているのかしら」
もう私は一心不乱にかき混ぜる、私には霊感は無いけども依存症の強い遙にとっては壮大な儀式の演出に思えるようだ。それでいい、それでいいのよ。
「もし次、車でと誘われたらもう断りなさい。断らずにずぶずぶ落ちていくあなたが見えるわ」
塔から落ちる人のカードと悪魔のカードを同時に出すと遥は泣き出した。
「あの人だけなの、私をこんなに愛してくれるの。だから私は彼とあきらめきれない。彼は奥さんとの不仲なんですか」
私はつい「ええ」と言いそうになったけどやめたわ。確かに離婚して別れて他の女の人に渡してやってもいいって思ったけども。
その前には裁判を起こさなきゃいけないし。私負けてそそくさと他の女のところに行ってしまうのが腹立つのよ。もっと証拠をつかんで完全に私勝利になるようにしないと……!!!!!! お金もたくさん必要なの。
「じゃあ、意思が強くなるようこのブレスレットを持つといいけども。あくまでもお守り感覚でね」
と私は息絶え絶えに昨晩必死になって作ってた原価の安い石で作ったブレスレットを見せる。
「買わせていただきます……いつもキョウコ先生に助けてもらっています。でもこれを持っても私はまだ彼のことは愛し続けます」
やはりそう来た。彼女はそうなの……いくらダメと言っても辞めない。本当に可哀想。ごめんなさいね……。
と遙は去っていった。
鞄のお守りたちの中に彼女の子供の写真のキーホルダーも混じっていた。
……私は彼女が去っていくのを見て横たわった。
「先生、大丈夫ですか?」
誠也が心配してくれる。夏彦は体調悪くても心配してくれないのにね。
「……もう、これ以上こんなことやめた方がいい」
えっ。
「十分証拠も揃ってるし……このままでは……このままでは……お姉ちゃんが壊れちゃう」
……誠也。
彼は私の弟なのだ。