人狼ゲームで俺とドイツは人狼陣営だった。このゲームは絶対に負けたくなかったが、惜しくも負けてしまった。
俺らがこのゲームで負けたくなかった理由はいくつかあるが、やはり一番大きいのが罰ゲームの存在だろう。日本が持ってきた猫耳メイド服を負けた陣営の奴ら全員着なければならなかった。そんな格好で皆の前に立つのは流石に恥ずかしかった。どうやらドイツも同じ気持ちのようで、絶対勝ちたいと彼も考えていたらしい。
……まさか本当に着るとは思わなかった。
正直、あいつのことだからもっと露出度が高いものだと思ったが、そうでもなかった。恥ずかしい格好には変わりないが。
猫耳メイド服だけでなく、バニー衣装も着せられた。アメリカは写真を撮ろうとしてきた。流石に全力で止めた。
ふと横に目をやると顔を赤くして息を荒くしているドイツの姿があった。照れているのか怒っているのかよく分からないが、可愛いことに間違いはなかった。「後で覚悟しとけよ」と言われたが、結局その後しばかれはしなかった。
そんな、人狼ゲームから約一週間。暇をもて余した俺のところに来客が来た。
ピンポーン
玄関の扉を開けると、そこには目の下に隈が出来ているのになんだか楽しそうなドイツがいた。
🇷🇺「なんだよ、真っ昼間から。会社はどうしたんだ?」
🇩🇪「今日は休みだ。それより、何で俺がきたのか分からんのか?」
🇷🇺「分からねーよ、ってかお前一人称『イッヒ』じゃなかった?」
ドイツは複雑そうな表情をした。
🇩🇪「それはな、色々複雑なやつが裏であるからここでは説明しない。面倒だ。」
🇷🇺「長くなるってことか」
🇩🇪「おう」
🇷🇺「立ち話もあれだから上がっていいぞ」
🇩🇪「ありがとう」
家に入り、なぜ来たのか聞いた。
🇷🇺「もう一回聞くけどなんでお前はここに来たんだ?しかもこんな真っ昼間に」
🇩🇪「ああ、まだ分からんか」
俺は正直、全く分からなかった。普段来客が来たらなんとなく用件は察せたが、今回ばかりはよく分からなかった。
暇つぶしに来たのだろう、と考えていた時。やっとドイツが用件を話した。
🇩🇪「一週間前の約束、果たしにきた」
🇷🇺「あれ?お前と約束なんてしたか?」
🇩🇪「その様子だとなんにも見当ついてないんだな」
何か思い出しそうだったが、やはり全く分からなかった。
🇩🇪「お前をしばきに来たんだよ」
俺はその瞬間、全て思い出した。「後で覚悟しとけよ」とは言われていたが、まさか一週間後になってようやくやられるとは思いもしなかった。
こいつのことだから大人しい感じか、暴れるかの極端な二択だろう。ただ、最近は大人しいということもあるからおそらく大人しい感じだろう。
そんな生ぬるいことを考えていた。
🇷🇺「!?」
突然、生温かいものが口に入ってきた。
🇷🇺「はっ、はへっ、、、」
忘れていた。こいつはギザ歯だ。バカ痛い。歯が刺さるかのようにして口内を攻撃している。
10秒ほど経った頃、ようやく離してくれた。
🇩🇪「……ははっ、いい気味だ」
🇷🇺「お前の歯が刺さるかと思ったんだけど」
🇩🇪「まあしばくためだからな、俺と交わしたら皆そうなってた」
🇷🇺「お前、この一週間で皆をしばきに行ってたんかよ」
🇩🇪「ああ勿論だ!あとはお前と日本だけだ」
🇷🇺「えっさっきので終わりじゃねーのか!?」
ドイツは急に首を噛んできた。
🇷🇺「痛っ!!?」
🇩🇪「あっ、わりぃわりぃ、強くやりすぎたかw」
俺の首には噛み痕がついていた。
🇷🇺「ちょっ、お前これ皆に見られたらどうするつもりだ…?」
🇩🇪「ははっw大丈夫だ、噛んだのはお前だけだ。だってお前は尻触ってきたからな」
🇷🇺「どこが大丈夫なんdああっ!?」
また噛まれた。しかも優しめに。
🇷🇺「……優しい優しくないの問題じゃないんだが
痛っ」
途中で強くしてきた。怒りを買ってしまったのだろうか。
だが、その後はすぐ離してくれた。
🇩🇪「…本当はもっとしばき倒しても良かったけど、さすがにそれはやりすぎだからな」
🇩🇪「!!!!????」
俺の中の何かが切れた。怒っている、という意味ではなく、理性を失ってしまったようだった。気付いたら俺は舌がバカ痛くなっていた。
🇩🇪「あへっ…ははっ、はなへほ…ほへひゃあ、ほへは…ははへへるひゃはひは…」
🇷🇺「……」
何か言いたげにしていたが、俺は続けた。
なんなら、もっと密着させた。
🇩🇪「はぁはぁ…これじゃ俺がやられているじゃないか…」
🇷🇺「お前のしばき方に問題があるだけだwでも、『本当に嫌そうな顔』はしてなかったし、なんならちょっと嬉しそうにしてなかったか?」
ドイツは照れながら答えた。
🇩🇪「こんな俺でも…愛してくれてるだなんて、俺、ちょっと嬉しかったんだよ。だって昔、仲悪かっただろ?」
ドイツは泣き始めてしまった。嬉し泣きなのだろう。俺はなんだか目の前の人間が愛しく思えてきて、ゆっくり優しく抱き締めてやった。
🇷🇺「でもそれよりも前は仲良かっただろ?その頃から俺達の関わりはあった。俺ら、何かあっても結局は友達だからな」
その後は二人でゆったりと家で休んでいた。
……噛まれた痕はまだ痛いが。
🇩🇪「そういえば大丈夫か?俺が噛んだ痕痛そうなんだけど」
🇷🇺「痛いに決まってるじゃねーか……。まあお前が可愛いからこの痛みも悪くないがな」
🇩🇪「……良かった//」
🇷🇺「また今度…”続き”、しような」
🇩🇪「……うん、お前が良いならな」
プルルルル
暖まるムードを掻き消すかのように、スマホの着信音がなる。
🇩🇪「チッ,上司から電話だ…出てくるわ。」
🇩🇪「もしもし、え?今からですか?……分かりました。はい、失礼しますー」
俺は嫌な予感がした。
🇩🇪「なあ、休日なのにいきなり出勤だってよ…最悪すぎる。休みてえよ~。もういっそ抱き潰してくれよ…」
🇷🇺「今お前、”抱き潰してくれよ”って言ったか?」
ドイツが驚いた顔をしている。
🇩🇪「あ、あぁ…せっかくいい休日だったのに今から出勤とか最悪すぎて休みたいんだ…。でも休む理由も無いからいっそ抱き潰されても良いや、なんて思ってた」
🇷🇺「じゃあ今からやっちゃおうか」
🇩🇪「えっそれってつまりまさか」
🇷🇺「今から抱いてやるよ」
🇩🇪「ですよねー」
そうして俺は夜までドイツを抱いた。
会社には”腰痛が酷いから休む”と連絡を入れたらしい。
翌朝
🇷🇺「……って、お前朝早くねーか?」
🇩🇪「え、ああ、まあこれがいつも通りだ」
🇩🇪「あ”っ”」
普段使わないような腰をかなり酷使したせいで腰が逝ってしまったようだ。俺も勿論少し痛い。
ピンポーン
また変なタイミングで来客が来た。朝早くから来るのもなかなか珍しい。
腰を労りながらも俺は玄関のドアを開けた。
🇯🇵「すみません、ドイツさん見ませんでしたか?」
🇷🇺「ドイツならうちに今泊まってるけど…どうした?」
🇯🇵「あ、なら良かったです」
日本は笑っていた。おそらく何か想像しているのだろう。隠しきれていないほどにやけている。
🇯🇵「昨日、珍しく会社休んだとか聞いたので体調が心配で…お見舞いとしてクッキーを持ってきたんです」
🇷🇺「優しいなお前。でも何でうちに来たんだ?」
🇯🇵「ああそれなら」
日本はまたにやけながら話した。
🇯🇵「確かに最初はドイツさんの家に行きましたよ。でもいなかったです。そこでドイツさんが休んだ理由が腰痛であることを思い出して…まあそうなるとここにいるかな~とかw」
🇷🇺「やっぱり流石日本だ」
🇯🇵「うふふww」
俺はクッキーを貰い、ドイツにあげた。
俺とドイツの件は一応秘密にしてほしかったが、そのことを言い忘れてしまった。
後日、やはり噂は広まっていた。
🇬🇧「ロシア、貴方ドイツを抱いたんですって?」
🇷🇺「いや、そんなこと誰から聞いたんだ?」
どうやら色々な会議で日本が言いふらしたらしい。そういえば俺は「抱いた」とは一言も言っていない。
🇷🇺「やっぱりあいつだったか…」
🇬🇧「どうでしたか?可愛いかったですか?」
🇷🇺「……まあな」
俺はその時気づいていなかった。後ろに本人がいることに────
◀️To Be continued…
コメント
7件
ギザ歯ってかっこいいよな~と思ってたけど、 舌噛んだら痛そうだよね
いいな♪いいな♪ ギザ歯っていいな♪
これがPBとCHの作品の違いだと思っている 他の人達編も見たいorこれが好評だったらまた書こうと思ってる