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#最後はハッピーエンド予定
#衝撃のラスト
山根利広
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翌日の大学が終わって、僕はすぐに白紙さんの家に向かった。
確かめたかった。昨日の言葉の意味を。
あの後僕は、何か言おうとする足立さんより先に帰りますねと言った。
そして何も聞かずに、家を出て行ったのだ。
その時は、足立さんに怒りが湧いた。胸ぐらを掴んで、一発殴ってやりたい気持ちだった。
でも、僕はそれをしなかった。
ただ逃げた。
命の恩人のために、僕は怒ることもできなかった。
それがとてつもなく情けなかった。
そうやって自分の心の傷を広げていると、ふと足立さんの言いかけていたことは何だったんだろうと思った。
そもそも足立さんが本当に加害者だったとして、白紙さんがそんな人間と一緒にいるわけがない。
あの人ならはっきりと物を言って、出て行くはずだ。
足立さんを利用するという目的がなければ。
足立さんに話を最後まで聞かなかったことを謝って、また教えてもらおう。
そしてこの二択の答えを白黒はっきりさせるのだ。
今日はそのために、足立さんの好きなブラックコーヒーも買ってきた。
合鍵を使って扉を開けると、部屋の中は静まり返っていた。
「お邪魔しまーす」
僕が声をかけても、足音も声も聞こえない。
二人とも留守のようだ。
白紙さんはバイトがあるのでわかるが、足立さんがいないのは珍しい。
僕は家の中で待たせてもらうことにした。
リビングでテレビをつける。
特に面白い番組はやっていない。
そうだ、足立さんのゲームでもして待とう。
そうすれば帰ってきた時に成り行きでゲームをして、話しやすいかもしれない。
しかしいつもテレビ台の下にあったゲームは、今日はない。
足立さんが使ったのかもしれない。
僕は、足立さんの部屋へと向かった。
何度か入ったことはあるが、家主のいない今の状況とは違う。
どうしようかと思っていると、部屋の扉の隙間が空いていた。
僕はそっとその隙間を覗く。
取りやすい場所にゲームがあれば、中に入ろう。
僕の思惑通り、ゲームはパソコンのあるデスクに置いてあるのが見えた。
僕はそっと部屋の扉を開けて、中に入った。
足立さんも白紙さんと一緒で、ほとんど物がない。
ベッドと本棚、そして部屋のど真ん中を位置取るデスク。
パソコンには、モニターが三つもつけられている。
どうしてそんなにつけているのか聞いた時、足立さんは「株を見ながらゲームするのにいい」と言っていた。
テーブルからゲーム機を取って、すぐに立ち去ろうとした。
しかし視界の端に、何か白いものが見えた。
気になって拾ってみると、それは一枚の写真だった。
二人が並んで写っている。
一人は白紙さんだった。
今よりもかなり若いが、当時からあの顔色の青さとマスクは変わらなかった。
白紙さんの学ラン姿とその横のK中学校入学式と書かれていることから、十二歳の姿なのだとわかる。
そしてその横にいるのが誰なのか、しばらくわからなかった。
しかしじっと見ている内に、やっと気付いた。
足立さんだ。
今とは違って随分痩せているので、わからなかった。
まるで別人だ。
「足立さん、かっこいいなあ」
今と違って無精ひげもないし、すらりとした体にスーツを着ているので、仕事ができそうな会社員に見えた。
写真の二人は笑顔の一つも浮かべていないが、それでも優しい空気だったであろうことが僕にはわかった。
あの二人が写真を撮るなんて、お互いにご機嫌だったからに決まっている。
やっぱり、足立さんがああ言ったのにはなにか理由があるのだ。
写真をそっとデスクに置いたときだった。
ピンポーン。
インターホンが鳴った。
宅配便だろうか。
僕はモニターの元へ向かう。
表示された画面には、オートロックのあるエントランスが写っている。
――誰もいない。
嫌な予感がした。
僕の脳裏に、昨日の神野さんの言葉が思い起こされる。
――だから、そういう場所には近付かない方がいいわよ。
悪霊に近付かない方がいいとは言っていたが、近付かれた場合はどうしたらいいのだろう。
僕は、はっとして走り出した。
昨日はこのオートロックのチャイムの後に、部屋の前のチャイムが鳴ったのだ。
慌てて玄関扉を確認すると、鍵はしっかりと閉まっていた。
これが悪戯ではなく幽霊だった場合、鍵の意味があるのかはわからない。僕は祈るしかなかった。
ピンポーン。
次に鳴ったのは、やはり部屋の前のインターホンだった。
思わず悲鳴が出そうになった口を慌てて塞ぐ。
音を立ててはいけない。気付かれてはいけない。
そんな言葉が脳裏に浮かんだ。
身じろぎ一つせずに、じっと待つ。
ピンポーン。
もう一度、インターホンが鳴った。
まだ音の主は、いる。扉を一枚隔てたその向こうに。
ピンポーンピンポーン。
ピンポーン。ピンポーン。ピンポーン。ピンポーン。ピンポーン。ピンポーン。ピンポーン。
ピピピピピピピピピピピンポーン。
何度も何度もインターホンが鳴り続けている。
もう僕の存在は、気付かれている――。
「ハイリマス」
低い男の声だった。
まるで音声の加工をしたかのような、くぐもった声だ。
そのせいで一瞬、何を言っているのかわからなかった。
しかし脳内で繰り返すうちに、ハイリマスの意味がわかった。
気付いて僕が駆け出すのと、玄関の扉が開かれるのは同時だった。
コメント
1件
**感想** おお、今回は足立さんの過去がちらっと見えた回だったな!中学時代の写真、めっちゃ気になるわ。今の無精ひげのおっさん(失礼)と違ってカッコよかったんだな……あの二人の関係性、もっと深掘りしてほしい。 そして後半のインターホン地獄、ゾッとしたわ。音だけでここまで怖がらせられるの、八城さんのホラー描写ほんと上手い。最後の「ハイリマス」で鳥肌立った。続き気になりすぎる!