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#普通
野々さくら
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ありあ
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×××さん、第245話読みました! 最後の「白縫さんが車に押し込まれた」で一気に空気が変わって、ゾッとしました…。それまで会議室の笑い声でほっこりしていただけに、そのギャップが効いてますね。龍河の言う通り、やっぱり天縁教団はあなどれない感じがします。霊貴冥孤への面会がどうなるのか、次が気になって仕方ないです!
それからしばらくして、信愛たちは帰り支度をする時間となった。
「今日は色々とありがとうございました」
信愛は深々と頭を下げる。
龍河は静かに信愛を見つめると、ゆっくりと言葉を選ぶように口を開いた。
「分かってると思うけど」
その一言だけで、場の空気が少し引き締まる。
「天縁教団は話を聞くだけでヤバいってわかる団体だ」
龍河は真っ直ぐ信愛の目を見据えた。
「間違っても自分らだけで調べようとすんなよ?」
「はい・・わかってます」
信愛は素直に頷く。
すると、忍が腕を組みながら穏やかな口調で続けた。
「天縁教団の件は俺たちなりに調べてみるから
何か分かったら、馬場を通して君たちに教えるよ」
龍河も後を引き継ぐように頷く。
「そうだ。調べる事は俺たちに任せるんだ。いいな?」
その真剣な眼差しに、信愛は少しだけ表情を曇らせた。
「はい・・・お願いします」
重苦しい空気を和らげるように、茜が手を叩く。
「なら、そろそろ帰る?」
「え?もうそんな時間?」
信愛は慌ててスマホを取り出し、画面を見る。
時刻はいつの間にか14時を回っていた。
「もう2時間経ってたんだ」
焔垂が肩をすくめる。
「なんか、あっという間だったな」
龍河は苦笑しながら言った。
「そういや飯もまだだったろ?」
その言葉に茜が目を丸くする。
「そう言われれば、ご飯食べてない
事にすら気づいてなかった」
龍河は財布を開き、中から5千円札を取り出すと信愛へ差し出した。
「これでなんか食って帰りな」
突然のことに信愛は慌てて首を横に振る。
「いや、こんなに貰えませんよ
前だってご馳走してもらったのに」
茜が思い出したように笑う。
「あ、てかまだ返してなかったよね?この前のお釣り」
「あ、そうだった。すっかり忘れてた」
龍河が首を傾げる。
「お釣り?」
「カルネアデスバスの後日談を聞いたファミレスで」
「ああ、あの時の一万か」
思い出したように頷いた龍河は少し驚いた顔をした。
「なんだ、まだ使い切ってなかったのか?」
「次会った時に返そうと思ってたんですけど
その次に会ったのがTAMAYAの時で・・・」
「ああ、なるほど。まぁあの時は
八乙女くんが 怪我したりとかで
それどころじゃなかったからな」
龍河は軽く笑うと、差し出した5千円札を財布にしまう。
「なら、そのお釣り貰っといてくれ」
「で、でも・・・」
ためらう信愛に、忍が豪快に笑う。
「気にするな。上司である私が許可するよ(笑)」
「す、すいません」
申し訳なさそうな表情を浮かべながら、信愛は財布から取り出したお釣りをそっと仕舞った。
その様子を見届けると、忍は龍河へ視線を向ける。
「そうだ馬場。みんなを送ってやったらどうだ?
下に取材用のハイエースあるだろ?」
「ああ、そうっスね」
龍河が返事をすると、信愛は慌てて首を振った。
「あ、いいですよ。バスで帰れる距離ですから」
「そうか?」
「はい、お金まで貰ったんで
それ以上は申し訳ないです」
忍は、苦笑しながら信愛へ向けていた視線を龍河へ移した。
「聞いたか?馬場」
龍河が首を傾げる。
忍はニヤリと笑い、そのまま畳み掛けるように言った。
「お前とは雲泥だな」
一拍置き、わざとらしく肩をすくめる。
「分かってると思うが・・お前が泥な(笑)」
会議室に笑いが広がる。
龍河はため息をつき、肩を落とした。
「あーはいはい、俺は泥っスよ泥、はいはい」
「それパワハラになりません?」
冗談半分に言い返すと、龍河はすぐに乗っかる。
「そうだよ、パワハラだよ」
そしてスマホを取り出し、大袈裟に何処かへ連絡する素振りをする。
「これは労基案件──」
その様子を見て、忍は腹を抱えて笑う。
「霊貴冥孤の時のクレーム対応
大変だったなぁ〜・・あ〜・・大変だった」
そう言いながら忍は肩を揉み、いかにも疲れ切ったという仕草を見せた。
龍河は思わず吹き出す。
「それ言われたら・・あはは・・・」
信愛もつられるように口元を押さえ、小さく笑みをこぼした。
焔垂も笑いながら頷く。
「編集長が一枚上手だったな(笑)」
笑い声が会議室に響き、先ほどまで漂っていた重苦しい空気は、いつの間にかすっかり消えていた。
◇ ◇ ◇
その後、信愛たちが帰宅した後の会議室では、忍と龍河が向かい合って話を続けていた。
龍河は資料を見つめながら静かに切り出す。
「やっぱり天縁教団を詳しく知るためには
霊貴冥孤への面会は必要不可欠ですよね」
忍は腕を組み、小さく頷いた。
「ああ・・・だな」
しかし、すぐに難しい表情へ変わる。
「だが、まだ許可は降りてないんだろ?」
いけるのか?霊貴冥孤の面会」
龍河は首を横に振る。
「まだ分かりません」
少し考え込んだ後、龍河は編集長へ視線を向けた。
「編集長・・・なんか良いコネないっスか?」
忍は苦笑しながら頭を掻く。
「コネねぇ〜・・急に言われてもな・・」
「そうっスよね〜・・・」
二人は同時にため息をつき、揃って頭を抱えた。
静まり返った会議室。
その沈黙を切り裂くように、廊下の向こうから大きな声が響く。
「馬場さぁーん!馬場さぁーん!居ますかぁー!?」
突然の呼び声に、忍と龍河は顔を見合わせた。
「ん?なんだ?」
「なんかあったのかな?」
二人は急いで会議室を飛び出す。
廊下へ出ると、そこには肩で息をする茜の姿があった。
「はぁ、はぁ、はぁ」
額には汗が浮かび、息を整えるのもやっとという様子だ。
龍河は驚き、茜へ駆け寄る。
「どうした?そんなに慌てて?」
忍も険しい表情になる。
「何かあったのかい?」
その時、朝陽が震える声で口を開いた。
「信愛先輩が──」
「白縫さんが?白縫さんがどうかしたのか?」
龍河は辺りを見回す。
「てか、姿が見えないな」
焔垂は息を飲み、悔しそうに拳を握り締めた。
「俺たちがビルを出てすぐに
変な奴らに取り囲まれて──」
一瞬の沈黙。
そして、絞り出すように告げる。
「白縫さんが車に押し込まれたんです」
「はぁ!?」
龍河の声が廊下に響き渡った。