テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
瑠璃マリコ
3,899
🫧想美🎐🍏
832
ゲーミングタヌキ
51
あと一分で新しい世界が始まる。
1999年12月31日午後11時59分
外を見ればお祭り騒ぎ、テレビを見ればカウントダウン。
そんな中、俺たち……といっても俺含めて二人は、東京のとあるボロアパートの自宅で、静かに年を越す準備をしていた。
「おい、環もうすぐだぞ」
「わかってるよ」
テレビの前の机を囲み、俺と、俺の大学の同級生とで飯を貪り食う。
そんなことをやっているうちに1999年まであと────10秒。
「10、9、8、7、6────」
テレビの音と、外の声が重なる。
「5、4、3、2、1────!」
その瞬間、頭の中で何かが割れた音がした。
それが、最悪のトリガーであり、全ての原因だった。
一ヶ月、二ヶ月────。
前に体験した出来事が、走馬灯のように流れていく。だが、あくまでも走馬灯のように。似て似つかないものであった。
三ヶ月、四ヶ月、五ヶ月、六ヶ月────。
全てが逆行していく。時間、景色、言葉、人、記憶。
そのすべてが、ビデオテープを巻き戻すときのように、逆再生されていく。
七、八、九、十、十一ヶ月────。
十二ヶ月前────。
1999年一1月1日午前0時01分
「ほら、しっかり食べなさい、家族最後の年越しそばになるかもだから」
「そうだぞ藍斗、父さんと母さんと鈴之。みんなと今年度で離れることになるんだからな」
「お兄ちゃんがいなくなるとかありえないから!」
「……どうしたんだ?藍斗」
「うっ、ぁあ」
ここは?シンク、シンクはどこだ。
ボロアパート……じゃない……。家?実家だ!
うっ気持ち悪い……。
「シンク……」
足元がおぼつかないが、足が勝手に動く。
いろんなところに体をぶつけながら、やっとのことでシンクについた。そして吐いた。
「大丈夫か⁉」
「うん……ちょっと部屋で休ませて」
「あっああ……」
リビングルームから出る。
そして、考える。何が起こった?
俺がいたのは、東京のボロアパート。大学の同級生と一緒に、年越しを待っていた。
でも年を越した瞬間、時間が巻き戻った?
いや、あまりにも非現実すぎるだろ。だけど、どう考えても現実だ。夢というには、少々感覚が生々しい。まだ、胃液の味が残っている。
……1999年から逃れられない。
こういう、タイムリープとかそういうのは好きだけど、自分で体験するとなると少し話が変わってくるな。
なぜ、時間が巻き戻ったのか。
多分、俺が原因ではないだろう。おそらく1999年から2000年への移り変わり。
2000年問題ってこういうことじゃないから……。
そうか、今俺は高校三年生なわけか。
また、あの絶望的な日々が続くのか?
せめて大学二年から大学一年生のほうがよかったな。
まあ、一回目よりは、多少楽できるだろう。
とりあえず今は前と同じ道を辿ることにした。
2月24日
時間は巻き戻ったと思っていた。
ずっと巻き戻っただけだと思っていた。
どうやらそうじゃなかったらしい。
俺が原因か?いや、なるべく同じ行動をたどってきたつもりだ。
そんなに違う世界線にはなっていないはず。
だが、今の俺の目の前には、知らない女がいる。多分同じくらいの年齢。
薄い黒に所々が青みがかったクラゲヘアに、黒を基調とした、濃い赤がラインで入っているセーラー服。
多分、彼女も同じことを思っているだろう。
「お前は誰だ」
「私は、栞山海月希」
「……俺は環藍斗」
「……」
言葉には言い表せない沈黙が、俺たちを襲った。
知らない人間に、知らない出会いに困惑する。
次に口を開いたのは彼女のほうだった。
「あなたも、巻き戻ったの?」
コメント
1件
おお、ちゃねるさん、第1話読んだわ!これ、めっちゃ好みのやつだ🔥 1999年から2000年のカウントダウンで時間巻き戻り、しかも主人公だけじゃなくて知らない女の子も記憶持ちって…この「二人だけのループ」感がもう刺さりまくり。 「バタフライエフェクト起こさないために同じ行動」って冷静な判断、めっちゃTっぽくて笑った。でも結局変わっちゃうのね。続きが気になりすぎるわ。