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ruruha
805
M🍑🦖⚡️
コメント
1件
ああ、これめっちゃ面白かったです!土方の中身がトッシーに入れ替わっちゃうっていう設定、もう最高ですよ🤍 普段は絶対に見せない「嫌わないでほしい」っていう本音がトッシーフィルターを通してダダ漏れになってるのが、すごく切なくて可愛くて…。銀さんが「俺が好きなのはツンツンしてるお前だ」って言ったところで、胸がギュッとなりました。早く元の多串くん戻ってきてほしい〜!続きが気になる…!
「……おい、多串くん。てめーちょっとそこ座れ。いや、マジで」
俺――坂田銀時は、我が家のリビングのソファで、目の前の男を指差したまま頭を抱えていた。
付き合い始めて、だいたい一ヶ月。
これまでは、万事屋のソファーで顔を合わせるたびに
「オイ、なんでテメーがそこに居る」「俺の部屋だからだよ」
なんて、いつもの小競り合いから始まるのが日常だった。
あいつはプライドが高くて、いつも眉間にシワを寄せて、俺がちょっとからかうと
「ふざけんじゃねェ!」
って顔を真っ赤にして怒る。
だけど、誰も見ていない二人きりの夜になると、耳まで真っ赤にしながら俺の着物の裾をきゅっと掴んでくるような、とんでもねェ可愛いツンデレ野郎だったはずだ。
なのに。
「……あの、坂田氏。拙者、そのような威圧的な態度をとられますと、精神的ブラクラを喰らってしまうのでござるが……」
目の前に正座している男は、あの忌々しい真選組の黒い隊服を着ていない。
それどころか、派手なアニメキャラがプリントされたTシャツに、頭には赤いハチマキ。
手には、今どきどこで売ってるんだと言いたくなるような美少女フィギュアの箱を大事そうに抱えている。
土方十四郎の体を乗っ取った、もう一つの人格。
伝説のヘタレオタク――「トッシー」の完全復活だった。
「いや、トッシー。お前が帰ってきたのは百歩譲っていい。万事屋のテレビで深夜アニメの録画消化するのも許そう。……だがな、俺とあいつは一ヶ月前に『そういう関係』になったんだよ。わかる? 大人の階段上っちゃったの。そこんとこ、お前の脳みそはどう処理してんの!?」
「な、ななな、何をおっしゃるでござるか坂田氏ィィィ!?」
トッシーは顔を真っ赤にして、フィギュアの箱で自分の顔を隠した。
その怯え方は、完全に不審者に遭遇した一般人のそれだ。
「拙者と坂田氏が、その、お、お、お付き合い……!? マ、マジでござるか!? そんな、三次元の、しかも男同士の恋愛リアリティショーみたいなイベント、拙者の人生設計には組み込まれていないでござる! 拙者のヒロインは二次元のともえちゃんただ一人……!」
「ござるか、じゃねーよ! キャラ崩壊してんぞマヨラー! あーチクショウ、なんでこうなるかね!」
ガシガシと白髪を掻きむしる。
数日前、真選組の屯所で何か変な妖刀をまた触っただのなんだのという噂は聞いていたが、まさか一ヶ月記念のタイミングで人格が完全に入れ替わるとは夢にも思わなかった。
これまでの土方なら、俺が
「一ヶ月記念にどっか行く?」
なんて聞けば、
「あぁ!? 男同士で記念日だのほざいてんじゃねェよ気持ち悪い!」
と怒鳴り散らしたはずだ。
そのくせ、帰り際には
「……これ、余ったからやるよ」
って、俺の好きないちご牛乳の限定パックをぶっきらぼうに押し付けてくる。
そういう、不器用だけど愛おしい距離感が、俺はたまらなく好きだったのだ。
それが、どうだ。
「……あ、あの、坂田氏」
おそるおそる、トッシーがフィギュアの陰から上目遣いで俺を見てくる。
顔は確かに土方十四郎だ。鋭い切れ長の目も、整った鼻筋も、俺が何度も唇を重ねたあの顔そのもの。
だけど、中身が違うだけで、こうも頼りなく、庇護欲をそそる(というかイライラする)雰囲気になるものなのか。
「……拙者、その、付き合っていた頃の記憶が、なんとなく、かすかに残っているのでござる。坂田氏が拙者の手を引いてくれたこととか、その、すごく……優しく、してくれたこと、とか……」
トッシーはもじもじと指先を合わせながら、蚊の鳴くような声で言った。
「だから、その、坂田氏が拙者を蔑むような目をすると、拙者のなかの『土方十四郎』の心が、なんだか胸の奥をキリキリと締め付けるのでござる……。拙者がトッシーだからといって、そんなに嫌わないでほしいでござる……」
「っ……」
ずるい。ずるすぎるだろ、その顔でそのセリフは。
普段の土方なら、地球がひっくり返っても
「嫌わないで」なんて言わない。
死んでも 「優しくしてくれた」
なんて認めない。
プライドの塊みたいな男が、絶対に心の奥底に隠している
「嫌われたくない」という本音が、トッシーというフィルターを通すことで、100%の純度で漏れ出してしまっている。
俺は大きくため息をつくと、ソファから立ち上がり、トッシーの前にしゃがみ込んだ。
「……嫌ってねーよ、バカ」
「ふえっ?」
手を伸ばし、トッシーの頭を、いや、土方の髪を乱暴にくしゃくしゃと撫でる。
「俺が好きなのは、ツンツンしてて、プライド高くて、でもたまにめちゃくちゃ可愛くなるお前だよ。……だから、お前がトッシーのままだと、おねだりも喧嘩もできなくて調子狂うんだわ」
俺がまっすぐに目を見ると、トッシーは、みるみるうちに耳まで真っ赤に染まっていった。この赤くなり方は、間違いなく俺の知っている土方の反応だ。
「ぎ、坂田氏……。拙者、なんだか胸が熱くなって、体温が上昇して……これはいわゆる、リアルな恋のフラグ……!?」
「あー、お前の中にいる土方に言っとけ。早く戻ってこないと、このままトッシーのこと美味しくいただいちゃうぞ、ってな」
わざと意地悪く微笑んで、トッシーの額を小突く。
トッシーは
「ひえええ! 三次元の攻め属性怖すぎるでござる!」
と叫んでソファーのクッションに顔を埋めた。
まったく、一ヶ月記念がこれかよ。
早く戻ってこい、多串くん。
戻ってきたら、今回の分のツケも含めて、思いっきりデレさせてやるからな。
お前のプライドが、俺の手の中でクシャクシャに溶けるまで。