ドリーム視点
オメガタイムライン
CORE!FRISK「ドリーム、君はしばらくunder wolfには行かない方がいい
いや、”行けない”の方が正しいかな…」
突然、コアがこんな事を言い始めた。
ドリームはオメガタイムラインを何度か訪ねているので、当然コアにも会っている。だがコアがこんな事を言うのは初めての事だ。
ドリーム「コア…それどういう事?」
コア「ドリーム、君も分かってるんでしょ?under wolfからは闇しか感じないって。」
それはドリームにも分かっていた。先程からunder wolfからはネガティブしか感じ取れない。しかし、空がいるから大丈夫だろうと思っていた。
それゆえに、まだポジティブが少しだけ感じ取れる。
CORE!FRISK「でもね、まだ少し光を感じるんだ、正常な人がまだ2人いるんだよ。僕は今からその2人をオメガタイムラインに連れてくるよ」
コアはもう、行ってしまった。
空視点
under wolf
空は今、誰もいない森にいた。勿論凶暴化した日向達に見つからない為だ。竜一のソウルは割れないように青い瓶に入れて持ち運んでいる。
空「僕、これからどうなるんだろう…」
そう、呟いた時だった。
CORE!FRISK「やぁ、空」
空「…コア?」
そこにいたのは、コアだった。
CORE!FRISK「空、いきなりで悪いけど、君をオメガタイムラインに連れていきたいんだ」
空「それ…僕だけ?」
CORE!FRISK「もう1人いるんだ、君の他にね。」
空「1人…」
自分の他に正常な人は1人だけだったのに対して、空は安心感と寂しさを覚えた。
空「…分かった。君についていくよ」
ドリーム視点
オメガタイムライン
ドリーム「空!」
空「ドリーム…」
ドリーム「よかった、無事だったんだね。」
空「……」
ドリーム「…空?」
空「…しばらく放っておいて」
ドリーム「で、でも…」
CORE!FRISK「ドリーム、しばらくそっとしておいてあげよう、空はお兄ちゃんを失ったショックと、みんなが凶暴化しちゃったから、誰も信じなくなってるんだよ」
空視点
空は木の下に座っていた。今は心を落ち着かせたいから。
ふと横を見ると、子供達が楽しそうにカタツムリレースをして遊んでいた、誰もが微笑む光景に、空は顔を顰めるばかりで、思わずフードを被った。
空「もう、笑いたくても笑えないよ…」
???「厳しい局面に立ち向かえるのは、不屈の精神を持つ人だけ」
斜め後ろら辺から、女性の声が聞こえてきた。
空も何度か聞いている声だ。
空「それに値する全てのものを僕は失ったんだ、女王様。」
そう、話しかけてきたのはepic tailのトリエルだった。
epic!torier「周りを見てごらんなさい」
epic!torier「ここにいる多くの人達は、突然の出来事で帰る場所を失った。」
epic!torier「ありがたいことに、あの好奇心旺盛な人間と黄色い服を着たスケルトンが、親切にも私達をここに連れてきてくれた。」
epic!torier「私達は生き残れたのだから、まだまだ頑張れます。」
それを聞いても、空はまだ信じれなかった。
???「トリエルさんの言う通りだったよ!あのレストランに凄くおいしいパンケーキが…ちょっと待って?」
突然、馬に乗った少年が空に近づいてきて、顔をまじまじと見た。
???「もしかして…空?」
空「…ロー君?」
そう、それは紛れもなく、空の友達のローラン・トライトンだった。
ローラン「やっぱり空だ!フード被ってたから全然分かんなかったよ!」
空「他って…ロー君だったんだ…」
他の人が知り合いで、空は安心した。
2人は約600年前に出会って仲のよい友達としての関係だった。
空はローランという名前が長いので、ロー君と呼んでいる
空「君は凄いよ、帰る場所が無くてもそんなに元気でいられるんだからさ」
ローラン「うーん…そうかな?でも、僕も凄く不安なんだ」
表情や振る舞い方を見ているが、不安という素振りは一切見られないのに対して、ローランは不安だとの事、空は少し目を見開いた。
ローラン「このままunder wolfが戻らなかったらどうしようってさ。」
ローラン「でも絶対インクがなんとかしてくれるよ!」
空「…そうだといいね。」
ローラン「そんなに落ち込まないでよ、本当にインクは強いんだからさ!」
ローラン「一回だけ戦った事あるけど、凄く強いんだよ!」
それは空にもわかっている、インクとは一回だけ戦った事があり、実力も知っている。それでも空の不安は和らぎはしなかった。
ドリーム「やっぱり、ここにいたんだね」
ドリームが駆けてきた。
ローラン「あれ、ドリームどうしたの?」
ドリーム「ごめんローラン、今は2人だけにしてくれないかな?」
ローラン「いいよ!じゃあ空、また後で!」
空「ドリーム、なんで…?」
ドリーム「空が向かった方向から、やっぱり不安の感情を感じたからさ。」
優しく微笑んでいるドリームは、ゆっくりと空に歩み寄った一方、空は背を向ける。
昨日のデートが嘘みたいだ。
空「放っておいてよ、君には関係ない」
ドリーム「そんな事言わないで、僕はただ空の支えになりたいだけなんだ。」
そう言ってドリームは空の横に腰を下ろした。
ドリーム「君が泣き止むまでここにいていいでしょ?」
空「僕は泣いてない」
ドリーム「違うよ、君の心が泣いてるんだ。」
空「僕の感情を除いたの?」
ドリーム「覗くまでもないよ、君は分かりやすいから」
空に睨みつけられるドリームだが、空の奥底はまだドリームに対する好意があるのをわかっている為、優しく微笑みながら続けた。
ドリーム「君はよく頑張ったよ」
空「何を頑張ったって?」
ドリーム「君はいつも誰かの為に戦っていた。
それに、誰にでも平等だし、他の人を優先。
今君の心は不安でいっぱいだよ」
ドリーム「それと…自分も凶暴化するんじゃないかっていう恐怖」
空「けど、それは誰にでもあるような感情だよ」
ドリーム「それはまた違うよ」
ドリームは空の肩に腕を回した。突然のドリームの行動に空はドキッとして体を強ばらせた。しかしドリームの両腕は空の体を優しく抱き締めた。
ドリーム「本当に君はよく頑張ってるよ、でも今は無理しなくていいんだ。」
空「でも…早く僕は元の世界に戻したいんだ。だから今は無理してでも…」
ドリーム「自分を押し殺して世界を戻しても、たとえ竜一達は嬉しいの?空は誇れるの?」
空「誇りなんて…いらない…僕は救いを求めない…」
ドリーム「そういう問題じゃない。きっと竜一達はそうしてまで世界を戻すのを望まないよ」
空「そんなの分かってる、けど今は方法が…まだ見つかってないんだ…」
ドリーム「方法なら、これからゆっくり探していこう?」
僕も一緒に探すから、そうドリームが囁いて、2人の額が触れた。ドリームと触れた所から、じんわりと心地よい熱が伝わるのを空は感じた。その熱は不安だらけだった空の心を満たしていく。
空(…ハハ、やっぱりドリームって、ポジティブの守護者だなぁ…)
そう、空はぼんやりと考えた。
前に言った、”ドリームといると落ち着く”という言葉には2つの意味がある。
1つはやはりポジティブなオーラの事
そして2つ目は…好きな人といると落ち着く、この2つの意味だ。
空はドリームを抱きしめ返した。肩に顔を埋め、気づけば涙を流していた。
この時間がずっと続けばいいな…
空もドリームも両者、同じ事を考えていた。
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