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第1話:「碧の目覚め」
🚀 シーン1:目覚め
冷たいコンクリートの感触が頬に伝わる。
ゼイン(然)は、ぼんやりと意識を取り戻した。
——頭が痛い。
視界がぼやける。喉は乾き、体の感覚が鈍い。
ゆっくりと起き上がると、自分の腕に刻まれた“碧色の紋様”に気づいた。
それは淡く発光し、脈打つように揺らめいていた。
「……何だ、これ……?」
困惑しながら指でなぞる。
しかし、それは皮膚の一部のように定着していて、消える気配はない。
「お、ようやく起きたか?」
軽い調子の声が響いた。
ゼインが顔を上げると、そこには無造作な黒髪に青い瞳を持つ青年がいた。
彼は壁にもたれかかりながら、ニヤリと笑う。
「お前、助かったんだぞ。……まあ、皮肉な意味でだけどな」
「……ナヴィス?」
ゼインの親友であり、碧族としての”先輩”である男。
ラフに羽織った黒のタクティカルジャケットが、彼の戦闘経験を物語る。
ゼインは息を呑んだ。
「助かった……? いや、俺は——」
記憶が断片的に蘇る。
確かに、死ぬはずだった。だが——
「簡単に言うと、お前はもう”人間”じゃない」
ナヴィスは肩をすくめながら言った。
「お前は**“碧族”になったんだよ、ゼイン」
🚀 シーン2:ヴェール・バインドの追跡
ゼインは呆然とした。
「……冗談だろ?」
「残念ながら本当だ。ほら、その腕の紋様が証拠だ」
ナヴィスは指でゼインの碧色の刻印を示す。
それはただの模様ではなく、脈打ち、微細な光を発している。
「お前、すでにフラクタルの影響下にあるんだよ」
「フラクタル……?」
ゼインがその言葉を反芻した瞬間、
——警報音が鳴り響いた。
「……ッ!」
ナヴィスが即座に顔を上げる。
「マズいな……ヴェール・バインドの追跡部隊が来たか」
赤い警告灯がコンクリートの壁を照らし、スピーカーから機械的な声が流れる。
「侵入者発見。ターゲット確保のため、部隊を展開——」
「……ちっ、こんな時に来やがったか」
ナヴィスは舌打ちしながら、すぐにゼインの手を引いた。
「お前が何を考えてるかは後で聞く。今は逃げるぞ!」
「ッ……!」
ゼインは戸惑いながらも、ナヴィスに引かれるまま駆け出した。
🚀 シーン3:夜の戦場
二人はビルの外へ飛び出す。
ゼインの黒のジャケットが風を切り、ナヴィスのタクティカルジャケットが躍る。
「ゼイン、ちゃんとついて来いよ?」
「言われなくても!」
ゼインは未だ混乱していたが、今は生き延びることが最優先だ。
——その時、
轟音と共に、ヴェール・バインドの隊員たちが降下してきた。
黒い装甲スーツを身に纏い、ヘルメットのバイザーが怪しく光る。
背中のエネルギーコアが淡く発光し、戦闘モードへ移行したことを示していた。
「ターゲット確認。排除開始」
その声と同時に、隊員たちが一斉に銃を構える。
「チッ……面倒くせぇな」
ナヴィスは指を鳴らした。
「《フォールトシフト》」
次の瞬間——敵とゼインの位置が入れ替わる。
「なっ——!?」
ヴェール・バインドの隊員たちは一瞬混乱する。
その隙を突き、ナヴィスはゼインの前に立ち、手をかざした。
「《リバースバリア》」
青白い光の防御壁が展開し、隊員たちの銃撃を弾き返す。
「……マジかよ」
ゼインは信じられない思いでその光景を見つめた。
ナヴィスは碧族の力を自在に操っていた。
「ゼイン、お前もやってみろ」
ナヴィスが言うと、ゼインの腕の刻印が淡く輝く。
「……俺が?」
「そうだ、お前はもう”碧族”なんだからな」
ゼインは一瞬迷ったが、決意して左腕を前に突き出した。
「……《オーバーライド》」
次の瞬間——ヴェール・バインドの兵士の装甲が強制的に機能停止した。
「……なっ!?」
隊員が驚愕する。
ゼインは、知らず知らずのうちに戦いの中で”力”を理解し始めていた。
「……そうか」
自分はもう、人間ではない。
碧族として、生き延びなければならない。
ゼインは、青い瞳を鋭く光らせながらナイフを構えた。
「なら、やるしかねぇな……!」
夜の街に、碧色の閃光が走る。
ゼインの戦いが、今始まった。