『世界が俺を疑っても、君だけは信じてくれた』
tg視点
画面の光が、夜の部屋をぼんやり照らしていた。
SNSの通知が止まらない。
「ちぐさ、裏切ったんだって」
「グループ抜けるらしい」
「他のメンバーも距離置いてるっぽい」
知らない誰かの言葉が、ナイフみたいに刺さっていく。
――何も言ってないのに。
――そんなつもり、ないのに。
スマホを伏せた瞬間、涙が落ちた。
画面に映る自分の顔は、どうしようもなく弱かった。
翌日のスタジオ。
扉を開けた瞬間、空気が少しだけ変わる。
今まで自然に交わっていた声が、途切れる。
「……おはよう」
ちぐさが小さく言っても、返ってくるのは曖昧な相槌だけ。
まぜたんは視線をそらし、あっとくんはヘッドホンを直すふりをした。
けちゃは何か言いかけてやめ、
あっきぃが「……ちぐちゃん」と呼ぶ声は、どこか遠慮がちだった。
胸の奥が、音もなく沈んでいく。
収録が終わる頃には、言葉を交わすことすら怖くなっていた。
楽屋の隅で荷物をまとめていると、後ろから声がした。
「……ちぐ」
その声だけは、少しも変わってなかった。
「ぷりちゃん……」
振り返ると、ぷりっつが真剣な目で立っていた。
彼の関西弁だけが、この空気の中で温度を持って響く。
「なあ、ネットの噂、あれ……ほんまなんか?」
その言葉が、こわかった。
でも、逃げたくなくて、うつむいたまま小さく首を振る。
「違うよ。俺、裏切ってなんかない。
でも、信じてもらえないなら……仕方ないのかも」
唇を噛んだ。
声が震える。
“誰かが信じてくれたら”って、それだけでいいのに。
沈黙のあと、ぷりっつが一歩近づく。
その手が、ちぐさの肩に触れた。
「俺は信じとるで。」
その言葉は、泣くほど優しかった。
「ちぐがそんなことするわけないやん。
長いこと一緒におるんや、わかるわ。
信じんやつがおるなら、俺が信じる」
胸の奥で、何かが崩れて、溢れた。
「……っ、ぷりちゃん……」
「泣くなって。……泣いたら俺まで泣きそうになるやろ」
笑って言うその声が、震えてた。
気づいたら、涙が止まらなくて。
気づいたら、肩に手を伸ばしてた。
静かなスタジオの中で、二人だけの時間が流れる。
それから数日後。
誤解はゆっくり解けていった。
あっきぃも、まぜたんも、けちゃも、あっとくんも、
いつものように笑い合えるようになった。
でも――あの夜、暗い部屋で泣いてた自分の隣にいたのは、
たった一人。
あの声だけが、心の奥に残っている。
「俺は信じとるで、ちぐ。」
その言葉が、いまも音になって響いてる。
コメント
11件
こういうの、現実でありそうで怖いですよねぇ… えっと…、しゆんさんとちぐささんのカプって出来ますか?
こういう系はやっぱり誰かが最初から信じてくれるってのが一番好き😍 いろんな小説書けるかちゃま、ほんとに尊敬する…
やっぱぷりちぐって良いね👍🩵 こう言うの大体解決しないパターンの方が多いけど解決してくれるのはうれしすぎ👊🩵🫶 それとぷりちゃんの『俺は信じるで』はやぁばい!!最高すぎるよ😍🫰 次のやつも楽しみにしてる〜🩵🫶🥰