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リオの熱は、翌朝には下がった。かなりの強い魔法を使った割に、大きく体調を崩さなかったのは、デックが治癒魔法をかけてくれたおかげだ。 本当に感謝してる。会えたことも嬉しかった。
だけど、デックの考えには賛同できない。
デックはアシュレイに影響され過ぎている。命を助けてもらい、何年も傍にいたから仕方ないのだろうけど。どうにかして、デックをアシュレイから離すことはできないだろうか。
目を覚ましたリオは、気持ち良さげに眠るアンの背中を撫でながら、天井を見つめて考え込んでいた。するといきなりギデオンに顔を覗き込まれて声が出た。
「起きたのか」
「わあっ!」
「元気そうだな。よかった」
「い、いたの?」
「当然だ。おまえが隣にいないと眠れないからな」
「今って…」
「朝だ。リオは、ほぼ丸一日眠っていた。よほど疲れていたのだろう」
そう言うと、ギデオンの大きな手が、なんの|躊躇《ためら》いもなくリオの額に置かれる。
リオは恥ずかしくなり、シーツを口まで引っ張りあげて、声に出さずに言う。
なんで触るんだよ…。
「ん?熱はないようだが…顔が赤いな」
「だっ、大丈夫!気のせいだよっ」
「そうか。それにしても、どこにも怪我がなくてよかった」
「怪我なんてないよ。俺よりもギデオンや皆の方だよ!本当に大丈夫なの?」
ギデオンの手が、するりと頬へ動く。そして親指で唇に触れ、そっと離れた。
なっ、なっ、なんだよ今のっ!それになんて甘い目で見てくんだよ!まずいっ、ドキドキが止まんねぇ!落ち着け俺…。
リオは、眠ったままのアンを抱えてギデオンとの間に置く。
ギデオンがアンを見て、「なんだこれは」とリオを見る。
「いや…顔が近くて話しづらいかなぁと思って」
「話しづらくはない。が、まあいい。すぐに起きるぞ。昨日の|顛末《てんまつ》を簡単に説明する。魔獣の毒で死んだ者は、ビクターの一行が王都へと連れて帰った。それ以外の者は皆、毒の影響は受けていない。体調にも問題ない。だからそれぞれの領地へと、すでに帰った。俺達も、リオが大丈夫なら、今日にも帰ろうと思うのだが」
「うん大丈夫。あんな大きな魔獣が出たもんな。温泉でのんびり休んでられないよな…」
リオの声が、だんだんと小さくなる。
温泉…もっと入りたかった。もっと、ギデオンや皆とのんびり過ごしたかった。
そんな想いが伝わったのか、ギデオンが優しく笑う。
「そんな顔をするな。来年も、また来よう。リオの誕生日には、毎年来よう。約束だ」
「うん!」
リオは笑顔で頷く。
ほんとに?嬉しい!毎年だって!約束だって!ずっと一緒にいていいんだ!
少し前までは、また旅に出たいと思っていたのに、自分の心境の変化に驚きだ。