テラーノベル
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でもその前に、話さなきゃいけないことがある。ずっと一緒にいるなら、いずれはわかることだ。黙っていてバレるより、自分の口から話したい。今、話してしまってもいいんじゃないか? 笑顔から一転、また暗い顔になったリオを見て、ギデオンが「どうした?」と聞く。
リオは何度も|唾《つば》を飲み込んで、覚悟を決めて紫の瞳を見た。
「あのさ…俺、ギデオンに話すことがある」
「そうか…俺もだ。だがそれは、城に戻ってからゆっくりと聞こう。俺は先に王へ報告書を送らねばならない」
「わかった。じゃあ落ち着いたら、時間と場所を作ってほしい」
「ああ。城に帰って落ち着いたら、時間を作ろう」
「うん」
ギデオンは、城に帰れば忙しいだろう。すぐに話すことにはならない。話すまでに、心を決めなきゃ。ギデオンの反応が怖いけど、俺のことを知ってほしい。でも緊張するなぁ。
リオが|悶々《もんもん》と考えている間に、ギデオンはベッドを出て着替えを済ませ、身支度を整えている。
「リオも早く着替えろ。先に荷物をまとめてから、食堂に行くぞ」
「はい…」
リオは、目を覚ましたアンの頭をひとなでして、着替えるためにベッドを降りた。そして|寝衣《ねまき》を脱ぎながら、城に戻ってからのことを考える。
ギデオンに何から話そうか。まずは俺が魔法を使えるということ。以前にギデオンが魔獣に襲われた時に、魔法で怪我を治したこと。今回も毒を浴びた皆に治癒魔法を使ったこと。そして魔獣を倒したこと。俺を攫った男は、同じ村出身の幼なじみで、彼も魔法を使うということ。そのデックは、隣国の第五王子と、良からぬ計画を立てていること。
「ふぅ…」
上手く話せるだろうか。全て話した後のギデオンの答えは?俺は傍にいられるだろうか。
どうしても悪い方へと考えてしまい、とても不安になる。思わずため息をついたリオの足に、アンが身体を擦り付けてきた。
リオはしゃがんで、背を向けているギデオンに聞こえないよう|囁《ささや》く。
「アン、魔法のこと、ギデオンに話そうと思うんだけど…大丈夫かな?」
「アン!」
アンが元気よく鳴く。まるで大丈夫だと言われているようで、リオの気持ちが軽くなった。「ありがとな」と笑うと、急いで着替えを済ませる。
荷物をまとめ終わったらしいギデオンが傍に来て、アンを抱き上げた。
「おまえは朝から元気だな。リオと何を話してたのだ?ん?」
リオの心臓が跳ね、ぎこちなくギデオンに顔を向ける。
え?聞こえてた?まさかね…。離れてたし、かなり小声だったし。アンの声しか聞こえてないよな。
リオは、顔を戻して、素早く荷物をまとめ始める。
ちらりとアンを見ると、ギデオンに甘える素振りをしながら、こちらを見て笑ったような気がした。
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