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『・・・!
・・・て!
・・きて!
茜起きてぇー』
「う・・・うん」
絵里にトントンと肩を叩かれて起こされた。
絵里の部屋の中はもう明るくなっていて、時計を見るとすでに正午近くなっている。
昨日、健吾から連絡がきた。 健吾が逮捕されてから不安であまり眠れなかったから、昨晩は久々にぐっすり眠れた。
少し寝呆けた頭をスッキリさせたくて、ベッドから起き上がりタバコに火をつける。
「んーーっ。
よく眠れたぁ!」
『だねぇ。
全然起きなかったし。
はい、これどうぞ。』
絵里が笑いながら茜の携帯を渡してきた。
着信とメールがきている。
絵里がニヤニヤしてるところを見ると、健吾からの着信やメールっぽかった。
見てみると、案の定健吾から。
思わず茜もニヤニヤしてしまう。
《今日、三時に駅前な!》
茜も返信する。
《おはよ!三時に待ってるね!》
メールを打ちながら、胸がキューって痛んだ。
昨日までの一週間近く、健吾と連絡できなくてつらかった。
こうやってメールしたり、声が聞けたり、会えるのはすごく幸せな事なんだなぁって感じる。
そして、今日は健吾に伝えようと思う。
今の健吾への想い・・・
ありがとうという言葉と、好きですって告白したい。
『今日ねぇ、ケンに会う前に指輪買いに行くんだぁー。
もうすぐクリスマスでしょ? ケンが絵里にプレゼントしてくれた指輪と同じ指輪を探して、ペアリングにするのっ!』
今日は土曜日だから、絵里とケンも学校が休みで会う約束をしているようだった。
そういえば、もうクリスマスだ。
茜も絵里のように、幸せなクリスマスを迎えたい・・・。
少し早めに絵里の家を出て、駅前に向かう。 北風が冷たくて、コートの衿を立てて首を隠す。
バスに乗って駅前で降りるとまだ2時半だった。
「少し早かったかな」
そう思いながら、デパートに入って時間を潰す。 デパートの中もクリスマスムード一色だった。
そして茜はデパート内をプラプラ歩きながら健吾の事を考える。
少し緊張してきた。
振られるのが恐くなった。 振られたら、ティアラでも働きづらくなる。 今までのように会えなくなるかもしれない・・・。
そんな時、水晶売場に目が行った。 いろんな意味があるクリスタルが並んでいた。 恋愛成就の意味があるクリスタルも売っている。
効き目があるかどうか分からないけど、恋愛成就のピンクのクリスタルの数珠を二つ買った。 一つは自分の腕につけ、もう一つは絵里にあげる為に包装してもらう。
時計を見ると、あと10分で待ち合わせの三時だった。
早足で駅前に向かう。