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――紅に群がる火種、氷は笑わない――夕暮れ。
任務帰りの宿場町。
雪紅:
「……この辺で解散だ」
童磨:
「え〜? もう?」
雪紅:
「一人で戻れる」
童磨:
「はいはい」
その時だった。
男A:
「おっ、姉ちゃん」
男B:
「随分綺麗な顔だな」
男C:
「旅の人? 一人?」
男D:
「こんな時間に危ないぜ」
男E:
「俺らが案内してやろうか?」
――五人。
距離が、近い。
雪紅:
「……用はない」
男A:
「冷たいなぁ」
男B:
「女一人で鬼狩り気取りか?」
男C:
「俺たち優しいぜ?」
雪紅の空気が、ぴしりと張り詰める。
雪紅:
「どけ」
男D:
「お、怖い怖い」
男E:
「怒ると余計可愛いな」
――その後ろ。
童磨:
「…………」
さっきまでの笑顔が、消えていた。
童磨:
「ねぇ」
男A:
「あ?」
童磨:
「その人、忙しいんだ」
男B:
「何だお前」
男C:
「彼氏か?」
童磨:
「違うよぉ」
即答。
雪紅:
「……童磨」
童磨:
「柱仲間」
男D:
「なんだ、関係ねぇじゃん」
男E:
「じゃあ俺らで——」
一歩、前に出た瞬間。
空気が、冷えた。
童磨:
「……君たちさ」
声は、穏やか。
笑顔も、戻っている。
童磨:
「その距離、誰に許可取ったの?」
男A:
「は?」
童磨:
「俺はねぇ」
ゆっくり、刀に手をかける。
童磨:
「雪紅に近づく男が、大嫌いなんだ」
雪紅:
「……!」
男B:
「冗談だろ」
童磨:
「冗談に聞こえる?」
氷の気配が、地を這う。
男C:
「……や、やめとけ」
男D:
「帰るぞ」
男E:
「……チッ」
後ずさる男たち。
雪紅:
「童磨、もういい」
童磨:
「え〜?」
雪紅:
「斬るほどじゃない」
童磨:
「……君がそう言うなら」
男A:
「……なんだよ、脅しやがって」
雪紅:
「――もう一言」
低く、鋭い声。
雪紅:
「私に話しかけるな」
紅の殺気に、五人は完全に黙り込み、逃げるように去った。
静寂。
雪紅:
「……やりすぎ」
童磨:
「そう?」
雪紅:
「目が本気だった」
童磨:
「君に触れようとしたから」
雪紅:
「……」
童磨:
「嫌だった?」
雪紅:
「……任務の邪魔」
童磨:
「それだけ?」
雪紅:
「……それだけ」
童磨:
「ふぅん」
一歩、距離を詰める。
雪紅:
「……近い」
童磨:
「君が無事ならいいや」
雪紅:
「……過保護」
童磨:
「好きなものは守る主義でさ」
雪紅:
「……」
雪紅は視線を逸らす。
雪紅:
「……次は」
童磨:
「うん?」
雪紅:
「……私が先に斬る」
童磨:
「え、それ嫉妬?」
――ゴン!!
またも紅い鞘が飛ぶ。
童磨:
「痛っ! でも否定しないんだねぇ」
雪紅:
「黙れ!!」
夕暮れの街に、二人の影が並ぶ。
紅は怒り、
氷は満足そうだった。