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『谷川誠斗。』
最悪だ、最悪だ、最悪だ。
今朝道の先に見えた彼女は…彼女は…
下腹部が…爛れていた。
顔は綺麗だ、胸元も…
爛れた部分だけ服を着ていないように見えるじゃないか。
誰だ、誰がこんなことを。
彼女の純潔を…守れなかった…
「ま、誠斗くん…おはようございます。」
「あ、あぁ、おはよう…」
とにかく冷静を保とう…
「あの…誠斗くん…」
「どうしたの?」
「私…その、あの!」
「あれ?誠斗〜、偶然じゃん?」
クソ女が腕を絡めてくる。
「えっ、あ…」
「は、離れろ…!」
「ひどぉい、私達の仲でしょ?」
「ふ、2人は…付き合ってたんですね。」
「ちが、違うんだ!」
「お二人でお幸せに!」
去ってしまった、天使…天使…。
「あーぁ、いっちゃったぁ…二人でイチャイチャしよ?」
「離れろ!」
俺は無理やり突き放そうとする。が、しつこく腕を掴んでくる
「ちょ、ちょっとやめてよ!痛いってば!」
激闘の末、俺はついに突き放すことに成功する。
その直後。
ゴンッ!グシャッ!
…え…?
___________________________________『安城百合香』
私って馬鹿だ。
勝手に思い込んで、思い上がって…
そうだよね、2人は幼なじみだし…
ショックのまま私は席に座った。
「おい!大変だ!」
クラスの男子が騒いでいる。
「雫が…俺らのしずくちゃんが…!」
その言葉は、私にとって何だっただろう。
分からないが、分からないが…
クラスの人達がおぞましいもの見るような目で見てきたのは覚えている。
___________________________________『宮城佳奈 教師』
「え…?」
今朝出勤して、資料を整えていた私に訃報が入った。
クラスのムードメーカーで、1番可愛らしい女性…
猫宮さんが…登校中にトラックにひかれて…
しかも近くには同じくクラスメイトの谷川誠斗が立っていて…
…許さない、。
とにかくクラスに行って、みんなに伝えないと。
ガラッ
「はい皆さん、今日は大切な…残念なお知らせがあります。」
みんなが神妙な面持ちでこちらを見ている。
谷川誠斗…なんで平気な顔して座ってるんだ…?
「今朝、猫宮雫さんが登校中、トラックに跳ねられて…引かれて大怪我をしました。幸い、一命は取り留めました。」
みんながほっと胸を撫で下ろす中、谷川誠斗と、安城百合香さんだけが、違う表情をしていた。
谷川誠斗。青ざめている。
安城百合香さん。悔しそうに眉をひそめて…
…一体3人に何が?
「1時間目を自習にして、私が病院に行ってきます。大人しくしていてくださいね。」
そう言うと、2人を除き、クラスの子達は嬉しそうな、でもなんだか怖いような、そんな顔をした。