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『宮城佳奈。』
猫宮雫さん。
あの子は明るい子だった。授業態度は最悪だったけれど。
まるで光みたいな…
あの子だけなんだ、あの子だけ。
お見舞いに来た。元気だろうか。
私は病室のドアを開けた。
私は目を疑った。
これが猫宮雫さん?この化け物のような…ぐちゃぐちゃの物体が?
こんな…こんなのまるで…
全身が複雑骨折で包帯巻き。
可愛らしかった顔だって、少し車に引き摺られたのかぐちゃぐちゃ。血だらけ。
更には、少しでも動くと痛むのか、常に呻いている。
こんな、こんなの…私が好きになった彼女じゃない…
私はずっと思っていた、この子を初めて見た時から、見守らないとって。
おかしい、おかしい。これは何かの間違いのはず…
「あ…うぅ…先生…、?」
声は変わらない、彼女のままだ。
「猫宮さん!?大丈夫? 」
「先生…苦しいの…痛くて…」
「教えて、誰かに押されたんでしょう?教えて!」
「押されてなん…いや…誠斗…谷川誠斗に…押されたの…」
「やっぱりあの男…!」
私は事前に買った彼女の好きなフルーツを置いて、部屋を後にした。
あの男を…殺すために。
___________________________________「谷川誠斗。」
先生が見舞いから帰ってくると、なんだか…
醜さが増していた。
何があったのだろうか?
心做しかこちらを睨んでいるような気がする…。
休み時間。俺は珍しく、百合香さんに話しかけに行ってみた。
「百合香さん、あの…」
「あ…すみません、図書室に行かないと。」
走っていってしまった。
…追いかけるのは良くない気がする。
「…谷川くん。今少しいいかな?」
「先生。どうかしましたか?」
「ここじゃなんだから、生徒指導室で話したいんだけど。」
「…?分かりました。」
生徒指導室…なにか怒られるようなことはしたろうか。
___________________________________『宮城佳奈。』
…呼び出すことに成功した。
やれ、私。やるんだ。
「あの、先生…」
「あ、ごめんね。座って。」
私たちは机を挟み、向かい合って座る。
「先生、話って」
「単刀直入に聞くね、谷川くん。」
「あなた…猫宮さんをトラック目掛けて押したの?」
私は体の後ろにナイフを忍ばせ、そう言った。