テラーノベル
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「〈梟〉遅い。」
片手に文庫本を持ちながら〈鴉〉がそういってくる。
「さて、ほ‥‥」
はぁぁぁぁぁぁぁぁぁ。和やかだった部屋の空気が一気に地獄のどん底まで落ちる。
「いやぁ。いい情報貰えた。」
手術室から真っ赤にした医者のような恰好を脱ぎながら帰ってきた。
「‥‥こりゃまた、グロテスクなことで‥‥」
〈オウム〉がボソリとつぶやいた。おそらく多くの人が共感していることだろう。
「〈百舌鳥〉報告書にはきちんと書いとけよ。それと、〈鳩〉警察にプレゼントしてこい。」
「ダルッ‥‥」
そう言いつつも、ピエリストを全員一つの部屋に集めて、縄で縛り、転移して、10秒もせずに帰ってきた。
「どこに置いてきた?」
「対策練っている最中の警視庁」
「そうか。よくやった。報告書をかけ」
まるで僕を鬼だといわんばかりに呆れた目を向けて、それからあきらめたように、大きなため息をついた。
ちなみに報告書とは質問事項が大量に並んだ、拷問で得た情報を整理するためのものである。
「終わったらどっかになんか食べに行こー」
「賛成」「うん。それいいね。まず仕事を終わらせないと‥‥」
〈カササギ〉がそう提案すると何人かが賛成をした。
「今日はエナドリ必要なさそう。」
「やったー」「よかったー」
などの声が聞こえた。そんな中、一つの情報によってそれは壊れた。
「あっ…‥‥‥‥」
「どうした?」
「いや、先に言った方がいいよな‥‥。拷問の結果、3日後にテロを行うようです。」
一気にその場の空気が凍り付いた。先ほどまでの笑顔のままみんなの顔が凍り付いている。
「えっ‥‥嘘だよね」「ワラエナイジョウダンダヨ」
だが、〈オウム〉は否定しない。そして〈オウム〉は、こういう笑えないことを冗談で言うタイプの人間ではない。
「エナドリィィィィィィ。だれかエナドリを買って来ぃぃぃぃ。焼酎も買ってこい。アルコールだアルコール。度数たけぇや使ってこぉい」
「おいっ、誰か〈カササギ〉を止めろ。やばいやばい」
〈カササギ〉が大声で叫んでいる。僕はあきらめて、ポンッと〈鳩〉の肩に手を置いた。
「よしっ。どっかに買い出しに行こう。」
「ええ。そうしましょう。」
そんなこんなで何とか〈鳩〉と僕は転移魔法で安全地帯に逃げて、コンビニでジュースやエナドリやらを大量に買い込み、菓子の類もたくさん買って戻った。
もちろん焼酎などは買っていない。
部屋に戻ると、床に倒れている〈カササギ〉とその周りでおろおろする〈オウム〉がいた。
「さて、皆さんエナドリを買ってきましたよ。」
「‥‥鬼が…」と誰かがつぶやいた気がしたが多分、気のせいだろう。
だが、騒いだ〈カササギ〉には悪いが、即座に帰ってもらわないといけない。国民的女優になってしまった以上おかしなことはあまりできない。それに、これから〈カササギ〉の戦闘での出番は少なくなる。来年度からは毎年の集まりすら来させない予定だ。しかし、戦闘でも必要になれば動いてもらう。
「〈カササギ〉は、帰らせてください。〈鳩〉送っといて。」
「了解」
床に倒れたままの〈カササギ〉の仮面を外して、床に置き、〈カササギ〉に触れた。次の瞬間霧がかかり、〈カササギ〉と〈鳩〉が消えた。そして〈鳩〉はすぐに帰ってきた。
みんなはいろいろと報告書を書きながら、エナドリや菓子を取っていった。
「今日のホテルはどうします?」
誰かがそういった。
「〈カササギ〉と〈オウム〉はラブホ‥‥」
次の瞬間にそう言ったアホの顔に〈オウム〉の綺麗な右ストレートが撃ち込まれた。そもそも、〈カササギ〉はもう来れねぇよ。
しかし、すんでのところで優也が間に手を入れて止めていた。
「冗談はこのくらいにしろ。」
「「はい‥‥」」
「今、旅館に予約入れといたから。」
〈鴉〉がいつの間にか決めて予約までしていた。仕事速いな。
「何時チェックインの予定?」
「8時」
「あと10分もないじゃん。」
「〈鳩〉と〈白梟〉に触れて。気仙沼市へ」
みんなが今持っている荷物を持ったまま〈鳩〉と〈白梟〉に触れた。次の瞬間に霧がかかり、マンションの一室にいた。
みんなは仮面を外し、クローゼットから新しい服とバックを取り出し、手に持っていたものと仮面と黒いジャケットをバックに詰め込み、服を着替えて外に出た。
外はもう暗くなっていて、海風が吹いていて少々肌寒く、人通りも少なくなっていた。マンションを出て7分ほど歩くと大きめの旅館にたどり着いた。
「部屋は3部屋取ってあるから5人ずつだね。」
〈鴉〉がそう言った。
「さて、じゃあ恒例のじゃんけん大会を開催しますか」
みんなが腕まくりしたり、両手の指を組んでのぞき込むポーズをしたり、格好つけて指をぽきぽきと鳴らしているアホもいる。
「3人組を組んで」
僕は、〈鴉〉と〈百舌鳥〉と3人組を組んだ。
「最初はグーじゃんけんポンッ」
僕がグー、〈鴉〉がチョキ、〈百舌鳥〉がパーである。
結果。僕は、〈オウム〉と〈鳩〉同じ部屋になったのである。
「悲しすぎるだろ‥‥女子がいないのは‥‥」
一気に部屋の雰囲気が重くなる。
「‥‥花がないじゃん!むさくるしい男子だけの部屋じゃん!」
「‥‥黙れ。〈鳩〉」
部屋に沈黙が訪れる。
「報告書を早く書いて。」
そぐにこの部屋にいる人がため息をつく。
報告書が出た人から順に即座に読み、結果をまとめる。
「‥‥なるほどね‥‥〈鳩〉、〈百舌鳥〉と〈鴉〉の部屋の人を集めてきて。」
「えぇー、俺女子部屋に行って殴られるのいやだよ」
「はいはい」
財布から15万円を出して〈鳩〉に突き付けた。
「金はいらねぇよ。売るほどある。」
出した15万を財布にしまいなおす。
あーだ こーだ愚痴を言いながらもきちんとやるのが〈鳩〉である。いやー、いい部下を持ったなー。
すぐに〈鳩〉が報告書を持って、みんなと一緒に帰ってきた。それに対して軽く礼を言いながら受け取る。そしてパラパラと読み、僕と〈鴉〉で別々に情報を整理した。
〈鴉〉は、3分ほどですべてを整理できたようだが、あいにく僕は〈鴉〉ほど頭脳明晰ではない。10分少々して、ようやく全部が整理できた。
別に整理するだけならば、〈鴉〉一人でいいと思うかもしれないが、念のための保険である。
「整理できました。」
「よし。じゃぁ。始めますか。」
僕と〈鴉〉の内容は同じであった。
・今回の幹部は松田 龍。
・ピエリストの幹部は今現在12人。それぞれが顔を隠しているため顔は不明。
・次のテロの場所は福岡にある大人気ショッピングモール。
・幹部が3人。
・もう一つのテロの時刻は3日後の午後一時。
・使われる幹部の数は2人。
・リーダーはいつもペストマスクをつけて、黒いフードをかぶっている。身長は170cm。文字を打ってからボイスチェンジャーを使って話すため、声は不明。髪形も不明。
まぁ、つまり最初に僕が聞いたのはうそだったそうだ。〈オウム〉が聞きだした松田の証言などから考えるに、ピエリストの合計人数は500人以上になると思う。
そして、3日後の日曜日の午後2時にどこかでテロが起きる。
「まずいねー。」
「どこで起こるかわからない1時間という微妙な差」
「しかもリーダーに関する情報が無さすぎる」
「これすら、敵が松田をだましている可能性があるから‥‥」
「それを言い出したらあまりにきりがない。今回はそれで動こう。起きてから始末するでは遅いかもしれないが、善処しよう。」
そう言いながら、ポケットからスマホを取り出し、萩野さんに電話をかける。
「海の中の蛙」
『井の中をも知る』
「されど」
『早死にする』
「萩野さん。テロが起きる予定がありますので、情報は後程メールで送ります。警察側に出動許可を出させてください」
萩野さんの返事を聞かずにブチッと電話を切った。
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五木友人
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才川奏美
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コメント
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# 第8話、読みました 相変わらずテンポが良くて、一気に持ってかれましたね。鳥たちの掛け合いが好きです。特に〈カササギ〉のエナドリ発狂→床に倒れる流れ、めっちゃ笑いました。「鬼が…」のつぶやきも含めて、コミカルとシリアスの切り替えがうまいなと。 そして終盤、報告書を突き合わせて初めて見えてくる情報の重なり。松田の証言が本当なら500人規模の組織…ただ、干渉してきた〈鴉〉が3分で整理してるのを見ると、まだまだ奥がある気がしてなりません。あと「金はいらねぇ」の〈鳩〉の台詞、良いキャラ立ちでした。 萩野さんとの暗号通話もかっこよかったです。次が気になる〜!