新幹線の中、おにぎりを美味しそうに食べる彼女はすごく可愛かった。お姉さんというイメージが、小さな女の子ようだった。
「ありがとうございますね、咲良君。あ、一口入ります?」
「いえいえ、大丈夫ですよ。僕はお腹いっぱいですから。」
「と言っても、3つあるのに1つしか食べてないじゃないですか。」
「レアルさんが、あまりにも美味しそうに食べるもんですから、その〜なんというか、満足しちゃうんですよね。」
正直、めっちゃ可愛い。僕は一応、女性が苦手だ。それはプライベートの話だ。仕事場には、女性の方もいるから慣れたのだ。『無理矢理』。
「やだ、恥ずかしい。」
レアルさんは、頬を赤らめた。
「しかし、遠いもんですよね元将町。やっぱり、見えるもんなんですか?」
「ええ、もちろん。少し写真を見たのですが、制服姿の少年少女達が、校門のような所に立ってるんですよ。こちらを、虚しい目で。」
そう言いながら、宿入り口の門の写真を見せてくれた。
「そうなんですか、僕も見てみたいもんですね。」
「見せれますよ、私が独自開発した眼鏡があるんですよ。どうぞ、試作品で申し訳ないのですが…」
レアルさんは、眼鏡ケースをくれた。
「え、いいんですか?」
「ええ、レポーターが見えないと分からないし、私1人だけ見えるのも怖いですから。あと、おにぎりのお礼に。」
「ありがとうございます、さっそくかけてみますね?どうです、似合ってます?」
「ええ、とっても。食べちゃいたいぐらい、可愛いです。」
「エッ…キュウニソンナコトイワレテモ…」
「あ、照れてる。可愛い♡」
この人、意外と肉食系お姉さんなのかもしれない。僕はこの1週間、不安になってしまった。