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ピピピッピピピッ
目覚ましの音で始まる、何気ない1日。
花蜜心美。高校3年生。
布団から出て、顔を洗いに行く。
そう、鏡を見た時だった。
「え…?」
思わず声をあげた。
「嘘…」
そう、鏡に映る私には色がなかった。
手が震えてるのが分かる。
そんな手で顔を洗い、もう1度鏡を見る。
やはり、そこには色のない私がいた。
「なん、、で」
私は、膝から崩れ落ちて壁に寄りかかった。
何分経っただろう。
あまりのことに、力が入らない。
「あ、学校…」
学校は、8時から。今は7時40分だ。
「遅刻じゃん…最悪」
そう言って、大きなため息を着いた。
ガチャ
7時50分、私は家を出た。
鍵を閉め、扉前の階段を降りる。
方向を変え、3歩ほど歩いた時、
ダダダダダダダダダダ
聞き覚えのある音、呆れながら歩いていると
ビュン
目の前を高速で誰かが通り過ぎた。
「あ!心美さん!」
「おはようございます!」
明るくて、関西風の喋り方。
「おはよ。侑、治。」
そんな2人の声に、私は1言だけ返した。
「遅刻、珍しいんやないですか?」
「まあ…ちょっとあってね」
「それより2人共?」
「今日、テストあるんだよね?圧」
「「…ハイ」」
少し、圧をかけて言う。
そしたら、2人は怯えたような声で言った。
「頑張れ」
「「!」」
いつもと違う応えに驚いたのか、2人は目を丸くした。
「あ、先に行っとりますね!」
「うん」
金髪の方がそう言った。
2人の背中が見えなくなって、私は再び足を進めた。
学校に着いて、すぐトイレの鏡を見た。
「…だめか」
しかし、朝とは変わらなかった。
トイレから出て、教室に入る。
ガラガラ
視線が怖い。色がなかったらどうしよう。
「心美おはよ〜!」
「花蜜、遅かったな。どうかしたか?」
親友のえまが言う。
それに続いて先生、クラスメイトと声をかけてくれる。
「よかった…ボソッ」
安心から、自然にそんな言葉が溢れ出す。
席に着くと、
「おはようさん」
と、隣の席の北が声をかけてきた。
「おはよ」
それだけ返す。
放課後。バレー部のマネージャーの為、体育館に行かなければならない。
人気なんだから、私以外でもいいはずなのに。
そんなことを思っていると、体育館に着いた。
ガラガラ
「こんにちは〜」
この言葉には、誰も応えなかった。
けれど、体育館には、バレーボールの音が響き渡っていた。
キュッキュッ
バシーン
ドン
「ドンマーイ!」
「ナイッサー!」
掛け声と共に、音はどんどん強くなっていく。
そんな選手達の邪魔にならないように、静かにスポドリを作りに行った。
「スゥー」
「スポドリ出来ましたー!」
バレーを中断させられるよう、私は大声で言った。
「休憩!」
それに気付いて、北が呼びかける。
キュッキュッ
休憩が終われば、また練習。
ほんと、全国はすごいな。
その言葉に、私はニヤけてしまった。
パシン
軽く頬を叩いて、気を引き締める。
「「「「あざしたー!!」」」」
いろんな事を考えていると、部活はあっという間に終わった。
朝の重い空気も消えてった。
それと同時に、心のどこかで、ある気持ちが芽生えた気がした。