コメント
1件
※この物語はフィクションです。
実在の人物及び団体、事件などとは一切関係ありません。
「そんなにカグヤちゃんに会いたかったのかしらね……」
〈File78:さよならだけの人生だ〉
朝方まで降り続いた季節外れの豪雨に冷やされ、山中の空気は吐息が凍り付きそうなほど冷えていた。
常緑樹に遮られては木漏れ日も望めない。
猫のおやつを手に、私と智世は立派な霜柱を踏みしめた。
「こんなに寒いと心配だな。諭吉くん、はやく見つかると良いんだが……」
「そうね。人懐っこい子だって話が本当だといいんだけど……」
今度の依頼は、猫探しだ。
なんでも引っ越しの途中に車の窓から飛び出し、県境の山中へ駆けていってしまったのだという。
土地勘も縄張りもない飼い猫で、しかも逃げたのは山だ。
保護の確約はできないけど、それでも飼い主は愛猫の捜索を請願した。
「智世、いい?大きな音がしたら****************
***************************
**********
***********************
***************************
*********
*********
**************************