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「静電気で量子トンネル効果は草」に全力で同意するわww シロちゃんがルーターの上で寝転んだだけで世界最速のPing値叩き出すの、完全に神獣の力やん。スイスの銀行家が震撼してるのも納得だし、何より最後に本人がチラシ見ながらほうじ茶啜ってるギャップが最高すぎる🔥 この「何でも物理で説明しようとする男」と「世界がどんどんバグる現実」の温度差、続きも楽しみにしてる!
第58話:神獣アンテナ、世界最速のPing値を叩き出す〜通信の深淵と、黄金のパケット〜
猛吹雪によって物理的な通信インフラが断絶した極限状態。
俺がかつての社畜時代に培った狂気のネットワーク構築スキルと、YAMAHAとBUFFALOのハイエンド機材によって、我が家にはかろうじて『デジタルな生命線』が復旧した。
だが、バックアップ用のモバイル回線(LTE)の速度には限界がある。
「うーん……やっぱり、動画のアップロードが少し重いな。上りの帯域が足りてないか」
俺はノートパソコンの画面を見つめながら、少しだけ眉根を寄せた。
配信の画質を落とせば済む話だが、200万人のリスナーに十勝の「ホワイトアウトの恐怖(エンタメ)」を高画質で届けるのが、今の俺の数少ない社会貢献だ。
「贅沢は言えませんよ、お兄さん! 停電してて外は地獄なのに、ネットが繋がって世界中と話せるだけで奇跡なんですから!」
小春ちゃんが、シロの発光するオーラを照明代わりに、こたつで丸まりながらスマホをいじっている。
その時だった。
『……ミャウ』
それまで俺の膝の上で丸くなっていたシロが、不意に顔を上げ、トコトコと机の上へと歩き出した。
そして、あろうことか、8本のアンテナが不気味に突き出たBUFFALOの最上位ルーター……通称『メカ蜘蛛』の天板の上に、よっこいしょと腰を下ろしたのである。
「あ、おいシロ! そこはダメだ。精密機器だし、排熱を塞ぐと熱暴走して――」
俺が止めようとした、その瞬間。
――ぽわぁぁぁん。
シロの純白の毛並みから放たれる真珠色のオーラが、ルーターの8本のアンテナを包み込むようにして、黄金色の輝きへと変質した。
ジジ……ジジジッ。
「……え?」
ルーターのインジケーターが、見たこともないような超高速の点滅を開始する。緑、青、紫、そして最後には虹色の発光。
同時に、俺のノートパソコンの右下に表示されている通信強度のアイコンが、バグったように激しく揺れ動いた。
「お兄さん!? なんかスマホのWi-Fiのマークが……見たことない色に光ってます!」
小春ちゃんの叫びに、俺は慌てて通信速度測定サイト(Speedtest.net)を開いた。
「バカな……なんだ、この数字は」
俺は、自分の目を疑った。
通常、この地域のモバイル回線なら、下り30Mbpsも出れば御の字だ。
だが、画面上の針は、一瞬で『Gbps』の領域をブチ抜き、測定不能(Overflow)の文字を叩き出した。
『Download: 9,999,999 Tbps』
『Upload: 9,999,999 Tbps』
『Ping: 0.0000000001 ms』
「テラビット……? いや、それどころか、レイテンシ(遅延)がほぼゼロだと……?」
物理的な限界を完全に無視した、もはや量子通信ですら説明がつかない異常数値。
通信速度が「速い」のではない。パケットが、送信された瞬間に、いや、送信されるよりも『前』に、目的地へ到達しているかのような感覚。
この瞬間、俺たちの配信画面は、4Kどころか、まるで『そこに実物が存在している』かのような、圧倒的な情報量の超次元映像へと進化した。
チャット欄が、一瞬の静寂の後、もはや文字が読み取れないほどのマッハで流れ始めた。
『はああああああああああ!?!?』
『画質が!! 画質が現実より綺麗なんだがwwww』
『触れそう!! 主の毛穴まで見えるぞ!!』
『ラグが……ラグが完全に消滅した……!!』
『俺のパソコンのファンが爆音で回り始めたwww 送られてくるデータ量が多すぎるwww』
『これ、光速を超えてないか!?』
そんな狂乱の中、一つの『虹色のMeTubeギフト(¥50,000)』が、画面中央で固定された。
『(スイスの銀行家からのMeTubeギフト)=”Impossible! I am checking this connection from my bank’s server. Your ping is faster than our dedicated high-frequency trading line in Zurich! My computers are screaming! Is that cat a quantum router!?“(ありえない! 弊行のサーバーから接続を確認しているが、君のPing値は、チューリッヒにある我々の超高速取引(HFT)専用線よりも速い! サーバーが叫び声を上げている! その猫は量子ルーターなのか!?)』
「……チューリッヒの専用線より速い、だと?」
俺は、キーボードを叩く指を震わせた。
金融市場における1ミリ秒の遅延は、数億ドルの損失に直結する。その最前線で戦う銀行家が驚愕するほどの、絶対的なゼロ遅延。
シロがルーターの上でスヤスヤと寝息を立てるたびに、8本のアンテナから放たれる神聖オーラが、既存のインターネットプロトコルを『神獣言語』へと書き換えているようだった。
「お兄さん! 銀行家さんが『今すぐその猫を貸してくれ! 1時間100万ドル払う!』って言ってますよ!」
「断る。シロは貸し出し禁止だ。それに、これはただの物理現象に過ぎないからな」
俺は、額の汗を拭い、いつものようにフラットな声でカメラに語りかけた。
「……皆さま、落ち着いてください。これは何も、魔法の類ではありません」
『嘘をつけえええええええ!!!』
『出た! 主の限界言い訳タイム・量子力学編!!』
『金融王が腰を抜かしてるのに言い訳通じるかww』
「北海道の極低温環境において、機材の排熱効率は極限まで高まっています。さらに、猫の毛に含まれる微細な静電気が、ルーターのアンテナと共鳴し、『量子トンネル効果』を誘発しているだけです。ええ、コールセンターで冬場に静電気でパソコンが落ちるのと同じ原理、ただのオーバークロックですね」
「あるわけないじゃないですかぁぁぁ!!!」
小春ちゃんが、こたつの天板を叩きながら絶叫した。
「オーバークロックで光速を超える通信ができるわけないでしょ!! シロちゃんのオーラが明らかに回線をブーストしてるじゃないですか!!」
『小春ちゃんのツッコミが世界を救うww』
『静電気で量子トンネル効果は草』
『適応力バグおじさん、ついに現代物理学の葬儀を執り行う』
『銀行家「私のエンジニアが全員辞めました(絶望)」』
『神獣アンテナ、世界最強すぎるwww』
俺の苦し紛れの言い訳を、世界中のリスナーが笑い、そして驚愕しながら聞き流していく。
『ミャウ……(当然よ)』
シロは夢の中で心地よさそうに喉を鳴らし、しっぽでルーターのアンテナを一本、パシッと叩いた。
その瞬間、俺の画面上にあった「動画のアップロード中(残り3時間)」のバーが、0.0001秒で『完了』へと変わった。
世界が、俺たちの限界集落にひれ伏している。
猛吹雪で物理的に孤立したこの家は、今やシロという神聖な量子ルーターによって、世界で最も『速い』特異点となっていた。
「……まぁ、いい。ネットさえ速ければ、猛吹雪の夜も退屈しないしな」
俺は、史上最強の回線でサクサクと動く、激安スーパーのチラシ(来週のセール情報)を眺めながら、満足げにほうじ茶を啜った。
外では猛吹雪が世界を白く塗りつぶしているが、シロが輝くルーターの上に鎮座するこの部屋だけは、宇宙の果てまで瞬時に繋がる、最高にバグった通信環境がポカポカと維持され続けるのだった。
ゆうき あきや
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#心理描写重視