ΩヤンキーくんとドSなα
〜希望の光と奇跡を信じて〜
(あらすじ)
転校生に裏切られたと勘違いしてしまうΩヤンキーくん。自殺を試みる。
だがαの俺に止められ、一旦は安心。
2人が想いを伝え合ったと思ったら
キスをしてしまう。
驚いたΩヤンキーくんは足を滑らせ真っ逆さま。
生死をまさよう。
Ωヤンキーくんの運命はいかに。
(本編)
〜転校生目線〜
なんで…なんで、こうなってしまったのだろう。せっかく運命の相手を見つけて、彼と第二の人生を歩んで行こうと思った矢先、自〇をしようとしていたから止めたのにも関わらず、なんで、なんであんな所でキスをしてしまったのだろう。俺の馬鹿…!
そう、昔からそうだった。
運命の相手を探すのに苦痛を感じていた俺は、気晴らしにと沢山の女の子と遊んでいた。
その頃から俺は、狂い始めていたんだ。
付き合うのは良いものの、1週間経てば直ぐにイメージと違った、だとか他に好きな人が出来た、だとか。そんな適当な理由で断られる。
でも、そんな理由で断られるのも無理はない。
皆俺に依存しすぎてしまうのだ。
何かあれば🐿🦟、ストーカー、薬乱用……
もう誰も傷付けたくない。そう思った俺は、ある行動に出た。
そう、自らドS、尚且つ陰キャになる事。
話しかけられても無視する、
好意を向けられた相手にはドSク〇男を演じる。
そうすることにより、前より女性が近ずいてこなくなった。
近ずいてはきても、俺に依存する人、告白する人は居なくなった。
俺は陰キャでドSで最低なα、そんな噂が広まった矢先、俺を恨んでいた人達からの
暴力、暴言、盗撮、盗難などの
いじめ
が起こった。
その内容は残酷そのもので言えたもんじゃない。
俺は毎日1人で泣いていて
笑うという感情を忘れかけていた。
精神的にも身体的にもボロボロ、
そんな時に転校することが決まった。
友達と会えなくなって悲しい、一緒に卒業したいなどの感情はどこにも無く、どこか虚しく無感情、そしてちょっぴり嬉しい自分が居た。
転校初日、俺は普段通り髪をセットし、陰キャをイメージ付ける眼鏡をかける。
新しい学校では誰も傷つけないように頑張ろうと決意をしながら。
でもまた虐められるのではないかという不安に押し潰されそうになる。
でも一歩を踏み出さなければ意味が無い。そう思った俺は元気よく
「いってきます。」
とだけ言って学校へ向かった。
学校へ着き職員室へ向かうと先生から
資料や手紙やら帳面やら色々なものを渡された後「君のクラスはここだよ」と言われた。
いつもより鼓動が早くなって苦しい、辛い。
そんな体の変化に驚きながらも教室へ入った。
その瞬間、ビビッと来たんだ。静電気が起きたみたいに頭が痛くなって、目の前がとても眩しく感じ、尚且つとても綺麗だった。
一体何が起きたのかよく分からないまま顔を見上げると、そこには大きくくりくりとした目に黒髪マッシュの男の子が座っていた。
30人以上の教室のはずなのに、何故か彼だけスポットライトで照らされたみたいに明るくて、ほのかに甘い香りがして次第に彼しか見えなくなって行った。
その瞬間、俺は彼に一目惚れをしたのだろう。
そして惹き付けられるようにその子の隣へ座った。
今思えばこの行動が不幸の始まりだった。
俺は彼の隣に座ると
「よろしく」と言って軽く頭を下げた。
彼はその可愛らしい目でこちらを見ると
鼻で笑い、反抗するように舌打ちをしてきた。
もっと可愛らしい返事を期待していたからびっくりしたけど、おかしいとは思わなかった。
だってこれも、彼の個性なのだから。
俺と同じ個性。
俺は自分や友達を騙し、偽り続ける。
彼自身も友達を、家族を騙し、自分自身を偽って生きているのだろう。
悲惨で残酷な過去を乗り越えて今日ここの席に座っているのだろう。
そう思うと、仲間ができた気がしてとっても嬉しかった。やっと本音で語り合えそうな相手が見つかったのだと安心した瞬間に、笑みがこぼれおちた。
喜怒哀楽。哀の気持ちしか無かった俺が、初めて人の前で笑った瞬間だった。
それから彼の魅力に惹き付けられた俺は
ストーカーをするようになった。
自分がやられて嫌だったことにも関わらず、してしまったのには理由があって、ただ単に運命を感じたからだ。
ストーカー行為をしてしまったのは、それだけ彼に本気だったという証拠だろう。
今なら俺の事をストーカーしていた人の気持ちがわかる気がする。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
俺は彼の家の前のゴミ収集所で一夜を過ごして、また、彼が出てくると密かに尾行した。
まだ一日目だからそんなにきつくない。
それに両親共働きだから、誰も俺を心配しない。嬉しいような悲しいようなそんな気持ち。
そして朝早く制服を着て家を飛び出る彼を見て、真面目だなって、そう思った。
そして、その尾行で襲われそうになっていた彼を助け、ヒート状態に陥り苦しそうな彼を楽にしてあげた。普通だったら嫌われてしまうであろうその行動。それでも彼は笑って、優しく許してくれた。俺はそんな彼の笑顔に救われた。
なのに、なのに、
そんな命の恩人の彼を俺は〇してしまった。
全部全部俺のせい。そう思うと、溢れ出す涙が止まらない。
ピッ…ピッ…ピッ…
彼の心臓の音。
遠くにいても聞こえてきて、いつも一定のテンポで刻んでいる。
彼が目を開ける日も、こうやって安定したテンポで心臓は動くのだろう。
そう考えると、目を開ける日が楽しみで、でもなんだか怖くてたまらなかった。
ぎゅっ
俺より小さくて柔らかい手を握る。
恋人繋ぎ。
とても暖かくて心地いい。
指の一本一本が絡まりあって、どんな相手であっても心が繋がっていると錯覚させてくれる繋ぎ方。だから、1番好きだ。
大きくてくりくりした目。
そして女の子よりも長いまつ毛。
なんて綺麗なんだろう。
転校初日、この目で見てくれていたのだと考えるととてもゾクゾクして、心地良い。
シュッとしていて高い鼻。
まるで、外国人みたいに整っている。
小さくて柔らかい唇。
彼の唇はミルキーのように甘かった。
目の前に彼はいるのに、
話しかけても、目を開けてもくれない。
そして何より目の前に居るのになにも出来ない俺に苛立ちを覚える。
俺はなんて無能なんだ…
ちゅ
暖かい。そして、やっぱり甘い。
何度もしたはずなのに、やっぱり恥ずかしくて、心拍が早くなる。
クチュ…レロ
俺の息だけ荒くなって、彼の息はそのまま。俺だけドキドキして、ずるい…
早く、早く目を覚ましてよ……。
𖦹ーーーーーーーーーーーーーーーーー𖦹
ここは…どこだ?
すごく…凄く暗くて気持ち悪い。
これは扉…?
ガンガンッッ!
開かない…!!
狭い。
苦しいよ…
早く…誰か…
誰か助けて…!
……
…
ガチャ
ッッ……
眩しい…
誰だ……?
その少年は、
俺より年下かと思わせるほとんど
身長が低くて、美そのものだった。
「さあ、おいで」
不安を感じつつも彼の手を取る。
タッタッタッタッ
彼の手は暖かくて安心できた。
その少年は俺を連れて行ってくれる。
どんどん明るい世界へ連れて行ってくれた。
楽しい…。ずっとこんな日常が続けばいいのにな。
あッッ……………!
そっちは…!行っちゃダメ!!
手が…手が離れちゃう!!…
やめて!!
どこにも…
どこにも行かないでくれよ……!!
૭〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜૭
ここは…どこだ?
「お前って、風呂入ってんの?
何この髪の毛。くっせぇw」
「なにその顔w血まみれじゃんwだっさwww」
中学校時代…
これは…俺?
「近寄るな!!!汚物!」
「はーい!αくんのパンツ欲しい人ーw」
思い出したくなかったのに…
「ここでオナニーしろよwwww」
「今からお前の爪剥がしてやるよw」
やめてよ…
これ以上俺を…
「ごめーんwかかっちゃった!w」バシャッ(水)
俺を…
「これがお前の宝物?だっさwww」ビリビリ📃
虐めないでくれよ…ポロッ(泣)
その涙は頬を伝って床へと落ちた。
『泣かないで』
૭〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜૭
その瞬間教室の風景が液体化するように溶けていき、2次元空間のような所へワープした。
「泣かないで」
そう言いながら涙拭ってくれたのは、彼だった。
「さぁ、手を取って」
彼はそっと手を差し伸べてくれた。
俺はその彼の手の上に手をそっと重ねる。
やっぱり小さくて暖かい。
その瞬間悲しいことも、辛いことを全てどうでも良くなった。
彼と一緒にいたい、そんなことだけ考えて。
彼こそが恩人。優しくて可愛いくて、強い人。
彼と一緒なら、なんだって乗り越えられる気がした。
૭〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜૭
っ…あれ?ここは…病院。
ベッド…そうか。俺泣いて…
嫌な夢だった。でも、最後は暖かかった。
「泣かないで」
涙で滲んで前が見えない。
俺は自分の洋服の袖で涙を拭いた。
目を開くと、
そこには俺の顔をのぞき込む彼が居た。
「笑ってよ…そんな顔するな。」
現状理解が出来ないまま、戸惑う。
生きて…
「信じられない?
現実だよ。奇跡が起きたんだ。」
奇跡…本当に、奇跡ってあったんだ。
「不思議だよね。」
本当に、そうだな。
「ねぇ…今だから言うけど、大好きだよ…」
ッッ…!!
俺は初めてあった日からずっと大好きだったよ!
「うん…ありがとう笑」
なんで…?なんでもうお礼を言うの?
まだ言わないでよ。
「うん、ごめん。
でも君と話せるのはこれで最後かなって思って…。」
何言ってるんだ!?
冗談でもそんなこと言うな!ッッ…(泣)
これから付き合って、2人で暮らそう?な?
「出来ればそうしたかったんだけど…うん。ごめん…お別れの時間が来たみたい。」
何を言ってるんだよ…
俺はお前とまだまだこれからやりたいことが沢山あって…
「じゃあ…またね…!」
おい!まだ俺はお前と話したいことが沢山あって!!
おいっ!おい!!!
俺を一人にしないで…!
お願いだよ…頼むから!!
ッッ!!!!!!!!
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
ピッ…ピッ…ピッ…
それから彼はまた目を閉じて、
動かなくなってしまった。
いや、俺のせいだ。
今こそ全てを伝えるチャンスだった。
なんて情けない男。
ッッ…そうだな…
もう、終わりにしよう…。
俺は、何人も人を傷つけた。
これ以上あいつの傍にいたら
また傷つけてしまうだろう。
これ以上誰も傷つけたくないんだ。
さあ、お別れしよう
この残酷な世界とも、
産んでくれた両親にも…。
まだお別れを言えてないけれど、それでいい。
言ってしまったら悲しくなっちゃう…笑
少しでも早く君にしてしまったことを償いたいから今から実行しよう。
君と会えなくなるのは悲しいけど
それで君が幸せなら、それが俺の幸せだ。
フワッ ❁⃘*.゚
風といっしょに俺の体は中へ舞う。
悲しくはない。逆に、嬉しい気持ち。
その頃はちょうど桜が散る頃で、散った桜が
目の前で広がって、とても綺麗だった。
٭❀*٭❀.✿.❀*٭❀*
ギュッ
暖かくて…でも少し小さくて。
『誰?』って、聞かなくてもわかる。
その手は
彼のものだった。
「いかないで…!!」
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前回の小説が1000いいね突破しました。
本当にありがとうございます。“〇| ̄|_
自分でもこんな行くとは思っておらず、びっくりしています。
今後共々よろしくお願い致します。
今回の話は長いですので、隙間時間にちょこちょこ読んでください❁⃘*.゚
長かったので集中力が続かず、途中変な文章があるかもしれませんがお気になさらず。
次の作品もいずれ投稿しますので
お楽しみに。
では。
コメント
3件
最後まで読みました😭👍🏻🎶 ほんと最高でした😿💖 ヤンキー受けが大好きで大好きで...💞