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俺たちが住む牢屋を地下一階としたら。
ここは地下二階だろう。
土を大きく正方形に切り取った感じでかなり広く、サッカーのコートくらいの大きさがある。
壁には檻の部屋が何個もあり、色々な魔物が居て俺たちを見ている……餌かなんかと思われてるのかな?
「何が始まるんだろ……」
良いことではないのは確かだ……
部屋の真ん中まで連れられると学校の放送みたいな感じで部屋全体に声が聞こえてきた。
{みなさんおはようございます、君たち五人は後少しで訓練期間を終了……地上で働けるようになります、残り少ない期間、頑張ってください}
それを聞いてそれぞれ泣きそうになりながら安堵してる。
「やっと終わるカロ……地獄のような日々だったカロ」
「なががっだ……」
「早く外の空気を吸いたいな」
「まだ見ないご主人様の元にやっと行けます」
すいません……なんか終わり頃にパッと来た俺でごめんなさい。
{では、まず初めに5番と33番、35番はベルドリの檻の前へ}
ゴリラさんとライオンさんに付いていくと鶏がダチョウくらいの大きさになった魔物が2頭居る檻の前に着いた。
なるほど、これがベルドリか。
片方は座って卵をあたためながら毛ずくろいをしていて、片方は近づいて来た俺たちを警戒している。
{32番と34番はウーリーシャークの水槽の前へ}
二人も俺達とは反対方向の檻の前へ移動していた。
ちなみにウーリーシャークと呼ばれた魔物の方の檻は水槽と言うよりカバとかを飼育してるような感じだ。
こっちから暗い水の中から鮫みたいなヒレが泳いでるのが見える。
……鮫コワイキライ。
{そのベルドリとウーリーシャークのツガイは卵を先日産んだばかりです、あなた方にはチームを組んで、それを1人1個とってきてくださーい、タイムリミットは二日、尚、魔法の使用を許可します、では、始めてください}
なんて解りやすい。
「卵をとってくるみたいだね」
「産んだばがりなのに可愛ぞう」
「しかし、そうも言ってられないな」
二人とも優しいなぁ、俺なんてとっとと卵おいしそうたべたい!しゃんぷぅおぃしぃ!しか考えてない。
おばあちゃんが言っていた“家畜に情を出しちゃだめだべ”……と。
てわけで容赦なく!
「グェェェェ!」
近づくとすっごい威嚇してきたわ……こわ。
実際自分より背の高い動物、ましてや魔物と呼ばれる存在が本気で威嚇してきたらめっちゃコワイよ!?いや!ほんとに!
なんなの!良くこんなの初見で戦えるよね異世界に行った先輩達!
「な、なんか怖いね」
何てことない感想を言ったらライオンさんが俺の前に歩いていき、一度止まり、わざわざ腕を組み仁王立ちをして。
「女は危ないので下がってな、ここは俺が行ってくる」
……かっこええええ!
あんた男だよ!
一つ文句言うなら…………俺は男だ!
でもお言葉に甘えて下がります。
「で、でも大丈夫?」
「大丈夫だ、俺にかかればこんなもの恐れるに足りない」
そういってベルドリの檻の鍵をあけた!
開戦!
実況はわたくしアオイが務めさせて頂きます!
さぁライオンさんが中に入りました!
お、ベルドリの方は檻が開いても脱走はしようとしてないみたいですねー、私が襲われないので非常に助かります。
「キュルルルル……ケーッケーケーケー」
さぁ!ベルドリは入ってきたライオンさんに威嚇めっちゃしてる!
羽を逆立ててそれ以上近づくなら殺すぞ!と言わんばかりに!
そして!
「俺は何もしない、何もしないぞ?大人しくしとけ?」
おっとぉ、説得だぁ!魔物に言葉が通じるのか!
だがライオンさんが近付いた瞬間、ベルドリの一匹がライオンに襲いかかった!
……言わんこっちゃない。
「ぬぉぁ!『鉄壁』!」
そういうとライオンさんが一瞬光ったと同時に、ベルドリのくちばしがライオンの腕に喰らい付いた!
が!
ギンッ!と金属をはじいたかのような音が鳴ってくちばしを弾き返した!
「フハハハハ!いくらお前の自慢のくちばしもこれなら俺に傷ひとつ負わせれないだろ?」
なるほど!
魔法を発動許可出てるから使ったのか!
いいぞ!これなら楽に取れる!ライオンさんグッジョブ!
だけどライオンさんはその場に攻撃を受けながら歩こうとしない。
……あれ?
「35番5番!緊急事態だ!」
ガキンガキンとくちばしでドつかれ、金属同士がぶつかり合うような音が鳴り響いてる中、そこから叫んでくる。
「俺はこの魔法を使ってる間は動けない!何とかしてくれ!」
うええええ!?なんじゃそりゃぁ!?!?
「何とかってどうすれば!?」
誤算だった、まさか移動できなくなるデメリット付きなんて!
……というか何しに行ったのあのライオン!
考えろ、考えろ!
「5番さんは何か魔法が使える?」
「おで?おでの得意な魔法は大きな音を鳴らす魔法」
「それってどれくらい大きい?」
「風船がわれるぐらい」
使えね!いや、俺魔法使ったことない俺が言える立場じゃないけど!
「ほ、他には?火の魔法とかなんか色々ないの?」
「火は無理だど怖い、水なら少しだせるど!」
「どれくらい?」
「コップ1杯」
「……」
なんじゃそりゃ!
「いかん!魔力がつきる!すまんが早くしてくれ!」
ほんと何しに行ったのあなた!?
こうなったら!
「ゴリ……5番さん!実は僕、魔法使ったことないんだけどどうやって魔法出してる感覚なの?」
何か俺が今魔法を出すしかない!
じゃないとライオンが鳥に食われてしまう!弱肉強食の革命なんて見たくないお!
「説明むずがしいど、だけど魔法、初めで出たどき、おで目を閉じて身体のながのフワッどしだのを頭に持ってきたら文字が見えだど、それを言ったらでぎだ」
わかんねぇ!分かんないけどニュアンスを受け取って頑張るしかない!
これで駄目ならライオンさんすまぬ!
「すぅ……はぁ……」
俺は息を整えて目を閉じ、集中した。
未だにガチンガチンと音が聞こえる。
目を閉じて何も見えない中、焦らずに集中する。
フワッとした物……
…………
……
…
____来た!
え、でもこれって……まじかよ。
俺は頭の中に出てきた魔法を唱えた。
「『魅了』」