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恥ずかしさのあまり全身の血液が顔に集中して顔が熱くなる。
なんだよ『魅了』って!?
それ以前に__
「ケーっ!!!!」
ものすごい勢いで土煙を巻き上げながらベルドリの片方がこっちきた!?
やばいやばい!はや!足はや!
「5番さん!僕を抱えて走れる!?逃げれる!?」
四肢も身体もアソコも全部デカいんだから行けるよね!?
「おやすいごようだど!光栄だど!そのあとオデと結婚するど!」
いやお前にも効いてるんかい!?
ゴリさんは俺を抱いて走り出した……なぜにお姫様だっこ!?
でもゴリさんも足はや!
これなら追い付けないな!
今のうちにライオンさんが逃げてくれれば____
「うおおおおおお!」
……………ライオンさんもなんか追ってきた……
「ちょっとおおおおお!色々おかしいから!」
ゴリさんにお姫様抱っこされる俺!
その後ろにベルドリのオスが追いかける!
さらにその後ろからライオンが追いかけて来てる!
何これカオス!!混沌という名のカオスはここにあったのか!?
「5番さん!持続魔法の解除の仕方はどうするのおおおお!」
「この後デード!デード!」
駄目だこのゴリラ聞いてない!てかデートって言ったってここには動物園しかないよ!
「効果早くきれてぇえええええ!」
……………しばらく追いかけ回された。
__________
______
____
俺がお姫様抱っこされてまぁまぁの時間が経って落ち着いてきた……
「ケ?ケケケケ!」
お?ベルドリ♂が我に返ったのか急いで自分の檻に帰っていった……やっと効力が切れたか?
ゴリさんも先程までの息の荒さも無くなっているみたいだ。
「すまながっだ、変な気持ちになってたど」
そういってゴリさんは俺を優しくおろす。
「俺もすまなかった……でも助かった、礼を言う」
うん、まぁ、結果的にみんな助かったし、良いんじゃないの?
「いえいえ、二人とも頑張ってたから大丈夫だよ!それよりまた振り出しに戻っちゃったね」
にしても、人生初の魔法が『魅了』って……なんか複雑な気持ちだな……まさかの最新系統の魔法とは……
「うむ、どうするか」
「中々むずがしいど」
「とりあえずみんなで何が出来るか考えてみよう?」
こう言うときこそ状況整理だな。
三人いればもんじゃの知恵だっけ?なんだもんじゃって。
一旦その場に三人座り考える。
ベルドリは檻から離れる様子はなさそうだ。
「とりあえずみんなの出来る事を情報共有しない?使える魔法とか特技とか?」
普通は最初に作戦を立てるべきなんだけど、なんか知らんがライオンさんが死に急いだからね。
「おでは、音を出す魔法が使えるど……後水魔法だど」
ゴリさんはさっき言ったのが全てみたいだな
「俺はさっき見た通り自分の身体を強化する魔法、あと使えるのは火を少々と土魔法は少し……それと__」
「噛む力が強いとか?」
「おお、そうだ」
ライオンだもんな……あれ?そういやゴリさんの動物的な力を聞いてなかったな?
「もしかして、5番さん握力とか強い?」
「わからないど」
「ちょっと33番さんと握手してみて?」
「「?」」
訳のわからないまま二人は握手をして。
「思いっきり二人ともその手を握ってみて」
「いでででででで!」
「?」
思った通りだ、ライオンさんが、かなり痛がってる。
「もういいよ!ストップ!ストップ!」
「お、俺の手が……」
「ごめんね?」
ライオンさんの背が高いから自然と上目遣いになってしまった……狙ってないよ?
「っ!……いや、いい、しかしすごい握力だ俺も結構力がある方だが」
ライオンさんは顔を赤らめて恥ずかしそうに……まぁいいか……
「あとは、土魔法ってどんなのですか」
「簡単な足場とかを作れる、大体10分で魔力がつきるが高い位置まで作れる」
これは使えそうだ。
「後、僕は『魅了』だね、さっき初めて使ったけどどんな感じだった?」
「おでは心の底から来る何かが爆発して頭が真っ白になって何も考えられなくなっだど」
「あぁ、俺も同じ様な物だ」
「なるほど」
冷静に考えると一種の洗脳みたいなものか、魅了にかかった相手は俺の事しか考えられなくなる……うわ、自分で言ってて恥ずかし!
「とりあえず、それを踏まえて考えなきゃね」
「そうだな」
「わかっだど!」
みんなで頭を悩ませ時間だけが過ぎる。
期限はまだたっぷりとあるのでそんなに急がなくてもいいだろう。
「お、飯が来たぞ」
「ご飯だど」
考えていたら看守が入り口に何か大きい鍋を置いていった。
俺はまだ入りたてで知らなかったがみんなが言う様にはご飯みたいだ……そう言えばこの地下に来て何も食べてないな。
「そう言えばご飯はどんなのなんだろ」
「あんまり期待するな、いつも具がほとんどない野菜スープだ」
「食えるだけマシだど」
「まぁ、そうだよね」
この際ゴリラさんみたいに食えるだけマシと思った方がいい、むしろ、こんな生活してて飯だけ豪華とかあり得ないしな。
入り口まで歩いて鍋の蓋を開けると中には赤いトマトスープみたいなのが入っていた。
「うわぁ、ほんとだ」
鍋の横には小分け用のボロっちぃ器とこれまたボロっちぃかけたスプーンが置いてある。
「はぁ……」
ライオンさんは「またか……」とでも言いたげにため息をつく。
まぁ肉食だろうからこれはキツイよね、うん。
「あっちの2人にも持っていってあげよう?」
「そうだな」
「おでが鍋もつど」
ご飯を持ってトカゲさんと猫耳さんに合流する。
「32番さんに34番さん、どう?そっちは?」
2人とも水の中に潜ったのだろう、服がビショビショだった。
「なかなか難しいカロね、水槽が結構深くて広いカロ、さっき一匹が一瞬隙が出来たカロが……」
「うん?」
そこまで言ってトカゲさんは俺を見て黙る、代わりに猫耳さんが答えてくれた。
「32番さんいきなり「向こうに運命の人がいるカロー!」とか言ってですね……檻から出てそちらに走っていったんですよ、流石に邪魔しちゃ悪いと思って私がなんとか止めましたけど……」
げ、それってもしかして……あれか?
範囲広すぎだろ!
「あーっえと、ごめん」
「?、何で謝るんですか」
「うん、色々とね」
「???」
「ほ、ほらスープが冷めちゃうよ!みんな!」
俺が魅了して邪魔しちゃったとか言えねぇ……あぁ、スープがアッタカイナー。
…………あれ?
「ごめん、疲れてるのかな?なんか眠たく……」
「私も……」
「カロ……ま、まさか」
「……お、で眠い」
俺は急激な睡魔に耐えれず、その場で眠ってしまった。