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さぶれ-SABURE-
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K-Takasaka
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「今度は、私が止める」
メバルが麻酔銃を構えた直後、拠点の外で銃声が響いた。
弾丸が土壁にめり込み、細かな土の粒が舞う。
壁の隙間から、白い骸骨の顔が覗いていた。
骸骨は拳銃を握っている。
K-Tはまだ、撃たれた痛みから完全には回復していなかった。胸を押さえ、壁に背を預けている。
それでも、骸骨を見た瞬間に立ち上がった。
「Kさん、動かないで!」
「戦える」
K-Tはトンファーを手に取る。
骸骨が再び銃を向けた。
メバルが素早く引き金を引く。
麻酔針が骸骨の肩に命中した。
骸骨の腕がわずかに下がる。
「今!」
K-Tが入口へ走った。
骸骨は銃を持ち替え、腰からクロスボウを抜く。
その動きに迷いはない。
K-Tがトンファーを振り上げるより早く、クロスボウから矢が放たれた。
矢はK-Tの胸へ向かって飛ぶ。
K-Tは右手を伸ばした。
飛来した矢を、手のひらでつかむ。
「えっ、素手で止めた!?」
カキが叫ぶ。
K-Tはつかんだ矢を捨て、そのまま骸骨へ踏み込んだ。
トンファーがクロスボウを弾き飛ばす。
骸骨が後退する。
その背後から、ミステーが石を投げた。
石は骸骨の頭に当たった。
「攻撃した」
「見れば分かる!」
カキが叫びながら、木の棒を持って走る。
骸骨はよろめいたが、すぐに拳銃を拾おうとした。
K-Tは先に拳銃を蹴り飛ばし、トンファーの柄で骸骨の腕を打ち払う。
メバルが麻酔銃を構える。
「どいて!」
K-Tが横へ移動した。
麻酔針が骸骨の胸部へ突き刺さる。
骸骨は動きを止めた。
カキが木の棒を振り下ろす。
「これで終わり!」
骸骨の体が大きく揺れた。
K-Tが最後にトンファーを叩き込む。
白い骨が黒い粒子へ変わり、夜の空気に溶けていった。
地面に残ったのは、拳銃とクロスボウだけだった。
「倒した……よね?」
メバルは銃を構えたまま、骸骨の残骸を見ている。
アオノが確認する。
「敵の反応はありません」
「よかった……」
メバルはようやく麻酔銃を下ろした。
しかし、床に置くことはできなかった。
カキが苦笑する。
「今度は離さないんだな」
「だって、離したら怖いから!」
「持ってるときは、すごく強かったのに」
「銃を持ってるときだけだよ。私が強いんじゃなくて、銃が強いの」
メバルは麻酔銃を抱え込んだ。
その様子を見ながら、K-Tは地面に落ちていたクロスボウを拾う。
「これは使える」
「使うの?」
「武器の種類を確認する」
K-Tはクロスボウを調べ、短い矢を数本取り出した。
マサカゲが骸骨の残した武器を見た。
「拳銃とクロスボウか。骸骨にも種類があるらしいな」
アオノが周囲を確認する。
「武器の種類によって行動パターンが異なる可能性があります。拳銃持ち、クロスボウ持ち……ほかにも存在するかもしれません」
「まだいるの?」
カキが不安そうに尋ねた。
「未確認ですが、遠距離攻撃用の武器が複数あるなら、別の種類も想定すべきです」
「例えば?」
マサカゲが聞く。
「より射程の長い銃器を装備した個体です」
カキの顔が引きつった。
「それって、遠くから撃ってくるってこと?」
「可能性はあります」
「可能性であってほしくないなぁ」
空が少しずつ明るくなってきた。
黒かった森の輪郭が戻り、木々の間から朝の光が差し込む。
夜の間、遠くから聞こえていた敵の声が一つずつ消えていった。
マサカゲは周囲を見回した。
「夜の敵が減った。今のうちに行動を決める」
「まずは拠点を整えるべきです」
アオノが言った。
「しかし、帰還条件を満たすには探索も必要になる」
マサカゲは地図を開いた。
「東側には人工物の反応がある。人の住んでいた跡かもしれない。西側には洞窟がある」
カキがすぐに手を上げた。
「洞窟なら俺が行きたい!」
「理由は?」
「鉱石がありそうだから」
「単純だな」
「でも必要でしょ? 武器も防具も、もっと強くしたほうがいい」
K-Tが洞窟の方向を見た。
「洞窟へ行く」
「Kさんも?」
メバルが心配そうに尋ねる。
「資源が必要だ。俺とカキ、ミステーで調査する」
マサカゲが頷いた。
「二手に分かれる。メバル、私、アオノは東側の人工物を確認する。Kさん、ミステー、カキは洞窟を調査しろ」
「分かった」
カキが元気よく返事をする。
ミステーは地図を逆さに見ながら言った。
「洞窟は、地面の下にある」
「その通りだ」
「では、地図は正しい」
マサカゲは一瞬だけ目を閉じた。
K-Tは三人へ向き直る。
「危険があれば戻る。深追いはしない」
「Kさんも、絶対に無理しないでね」
メバルが念を押す。
「分かっている」
「撃たれたばかりなんだからね」
「問題ない」
「その言い方、全然安心できないよ」
カキが笑った。
「じゃあ、俺たちは洞窟へ行ってくる。マサっち、メバルたちも気をつけてな」
「そちらもだ。洞窟内で別行動するな」
「了解」
K-T、ミステー、カキは西へ向かった。
しばらく歩くと、地面に大きな裂け目が見えた。
裂け目の奥から、冷たい風が吹き上がっている。
カキが松明を近づける。
「これが洞窟の入口か」
「入口というより、落とし穴に見える」
ミステーが覗き込む。
「落ちたら、入口の中に入れる」
「そういう問題じゃないよ」
カキが木材と土で簡単な階段を作り始めた。
「ここから降りれば、安全に入れる」
K-Tが先に階段を下りる。
「足場を確認する」
「Kさん、胸は本当に平気?」
「痛みは軽い」
「軽いって言っても、痛いんだよね?」
「動ける」
「うーん……」
メバルがいれば、きっと無理にでも包帯を確認していた。
K-Tはそんなことを考えながら、洞窟の底へ降りていく。
内部は暗く、空気が湿っていた。
松明の光が壁を照らす。
灰色の石の中に、青く光る鉱石が埋まっていた。
カキの目が輝く。
「見つけた!」
「まだ採掘するな」
K-Tが止める。
「どうして?」
「周囲を確認してからだ」
カキはつるはしを構えたまま、渋々止まった。
ミステーが壁に耳を当てる。
「向こうで、何かが歩いている」
「音が聞こえるのか?」
「壁が話している」
「歩く音なら、敵かもしれないってことだな」
カキが声を落とした。
奥から、ずる、ずる、と何かを引きずる音が聞こえる。
K-Tはトンファーを構えた。
暗闇の先から、白い腕が伸びてきた。
続いて、腐った服を着た人型のモンスターが現れる。
ゾンビだった。
ゾンビは唸り声を上げ、拳を振り上げる。
「来る!」
カキが叫ぶ。
ゾンビの拳がK-Tへ向かう。
K-Tは腕で受け止め、横へ流した。
ゾンビは噛みつこうとはしない。
ただ、何度も拳を振り下ろしてくる。
「噛まないんだな」
カキが言う。
「攻撃は殴打だけのようだ」
K-Tはゾンビの腕をつかみ、体勢を崩させる。
ミステーが横から石を投げた。
ゾンビの頭に石が当たる。
「頭を狙うと、よく動く」
「たぶん、怒ってるだけだよ!」
カキが剣を抜いた。
洞窟の入口付近で拾った、短い鉄の剣だ。
「Kさん、下がって!」
カキはゾンビの腕を切りつけた。
ゾンビの動きが止まる。
K-Tがトンファーで胸を打ち、壁へ押しつけた。
ミステーがゾンビの足元へ石を置く。
ゾンビが踏み出した瞬間、足を取られて転倒した。
「今だ!」
カキが剣を振り下ろす。
ゾンビは黒い粒子となって消えた。
「倒した!」
カキが剣を掲げる。
「洞窟、怖いけど面白いな!」
「声が大きい」
K-Tが注意する。
「敵が寄ってくる」
「でも、見つけた鉱石は採りたいだろ?」
K-Tは鉱石の周囲を確認した。
「短時間で採取する」
カキはつるはしを振り下ろした。
青い鉱石が音を立てて砕け、光の粒になってアイテム欄へ入っていく。
「取れた!」
「必要な分だけだ」
「分かってるって」
そのとき、天井から白い塊が落ちてきた。
K-Tはカキを押し飛ばす。
白い糸がK-Tの左腕に絡みついた。
一瞬で腕が固定される。
「Kさん!」
カキが叫ぶ。
巨大なクモが天井から降りてきた。
体長は一メートルを超えている。
八本の脚が洞窟の床を叩き、腹部が不気味に膨らんだ。
「クモだ!」
カキが剣を構える。
クモが糸を吐く。
白い網が広がり、カキの足へ絡みついた。
「うわっ、動けない!」
ミステーは自分の足元を見た。
「私にも来る」
「避けろ!」
K-Tが叫ぶ。
しかし、ミステーは避けなかった。
糸が体に絡みつく。
「動けなくなった」
「見れば分かる!」
カキが叫ぶ。
クモがK-Tへ跳びかかる。
K-Tは片腕を拘束されたまま、体をひねって攻撃をかわした。
クモの脚が地面をえぐる。
K-Tは自由な右手で警棒を取り出し、糸を叩き切ろうとする。
だが、警棒では切断できない。
糸は伸びるだけで、完全には切れなかった。
「剣が必要だ」
K-Tが言う。
カキは動かせる片足で剣を押し、どうにか手元へ引き寄せる。
「使って!」
カキが剣を蹴り飛ばした。
K-Tは剣を受け取る。
左腕に絡みついた糸を切断する。
一度。
二度。
三度目で、糸が切れた。
「助かった!」
カキも剣を拾い、自分の足に絡んだ糸を切る。
ミステーは体を拘束されたまま、真顔でクモを見ている。
「クモがこちらを見ている」
「見れば分かる!」
「見られると、見返したくなる」
「今はにらめっこしてる場合じゃない!」
クモがミステーへ跳びかかった。
K-Tが割り込む。
トンファーでクモの脚を受け止め、横へ弾く。
カキが剣で別の脚を斬りつけた。
クモが大きく跳び退く。
その隙にミステーが立ち上がった。
「自由になった」
「どうやって?」
「動いたら、少しずつほどけた」
「最初から動けよ!」
クモが再び糸を吐く。
三人は散開した。
白い網が地面を覆う。
K-Tはクモの正面へ踏み込み、脚の間を抜けた。
カキが背後から剣を振る。
ミステーは壁から青い鉱石を一つ掘り出し、クモへ投げつけた。
鉱石がクモの頭に当たる。
「それ、武器じゃないよ!」
カキが叫ぶ。
「固いから、武器かもしれない」
クモがよろめく。
K-Tはその瞬間を逃さなかった。
トンファーでクモの胴体を打ち、続けて剣で糸を吐く器官を切り裂く。
クモが苦しそうに脚を振り回す。
カキが最後の一撃を加えた。
クモは黒い粒子となって消えた。
洞窟に静寂が戻る。
カキは荒い息をつき、剣を下ろした。
「……勝った」
ミステーは床に残った白い糸を見た。
「クモの巣が残っている」
「使えるかな?」
カキが拾おうとする。
「触るな」
K-Tが止めた。
「まだ粘着性がある」
「じゃあ、武器にはできないな」
「燃料になる可能性はある」
ミステーが言った。
「本当に?」
「燃えそうな見た目をしている」
「見た目だけで判断するな」
K-Tは洞窟の奥を見た。
クモが現れた方向に、さらに細い通路が続いている。
壁には青い鉱石が多く埋まっていた。
しかし、その奥から別の音がする。
ずる、ずる。
今度は一つではない。
K-Tが松明を掲げた。
暗闇の中で、複数の影が動いた。
白い骨。
腐った服。
そして、遠くで光る赤い目。
「敵が複数いる」
カキが剣を握り直す。
「戻る?」
「一度、入口まで下がる」
K-Tが答えた。
「装備と食料を整えてから再度調査する」
ミステーが奥を見つめる。
「地下の門がある」
「見えるのか?」
「見えない。でも、ある気がする」
カキは苦笑した。
「ミステーの勘、たまに当たるんだよな」
K-Tは洞窟の奥を警戒しながら、二人を出口へ誘導した。
その背後で、ゾンビの唸り声が響く。
さらに奥では、クモの脚が石床を擦っている。
K-T、ミステー、カキは、採取した鉱石を持って洞窟の入口へ戻った。
朝の光が見えた。
カキが外へ出た瞬間、大きく息を吐く。
「外って、こんなに明るかったんだな」
ミステーは洞窟の入口を振り返った。
「洞窟は、まだ眠っていない」
「寝ててくれよ」
K-Tは採取した鉱石を確認した。
青い鉱石が十二個。
鉄鉱石が八個。
そして、クモの巣が少量。
「これだけあれば、装備を強化できる」
カキが笑う。
「次はもっと奥まで行こうぜ」
K-Tは洞窟の暗闇を見た。
「準備を整えてからだ」
ミステーが静かに言った。
「次は、門を開ける」
その言葉に反応するように、洞窟の奥から重い音が響いた。
ごうん。
まるで巨大な扉が、内側から動いたような音だった。
コメント
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読み終えたよ……第4話、すごく緊迫感があって一気に読んじゃった🥀 K-Tが撃たれたばかりなのに全然休まないの、胸が締め付けられるけど、その強さが本当にカッコいい。メバルの「銃が強いんだよ」っていう台詞、すごく刺さった。自分をちゃんと見てるんだなって。 洞窟のクモ戦も、三人の連携が少しずつ良くなってる感じがしてドキドキした。ミステーの「門を開ける」って言葉、すごく気になる…。次どうなるんだろう、本当に楽しみ🌙