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#闇バイト
るしゅ
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土橋真二郎
215
「なぁ、悠真」
帰り道。
海斗が珍しく真面目な顔で言った。
「俺、あの子のこと調べてみる」
俺は思わず立ち止まった。
「あの子って……」
「帰るって言ってた子」
やっぱり。
俺も気になっていた。
ずっと。
でも。
調べようなんて思わなかった。
いや。
思わないようにしていた。
「やめとけよ」
自然と口から出た。
海斗は笑う。
「怖い?」
「怖いよ」
即答だった。
海斗も少し驚いた顔をした。
「普通に怖いだろ」
俺はため息をつく。
「俺たち監視されてるかもしれないんだぞ」
母さんの病院。
海斗の妹。
あんなものを見せられて。
怖くないわけがない。
海斗は黙っていた。
そして。
「それでも知りたい」
と小さく言った。
俺は何も言えなかった。
その顔が本気だったから。
三日後。
俺はコンビニのバイトをしていた。
レジに立ちながら考える。
最近ずっとこんな感じだ。
客の顔も覚えてない。
釣り銭を間違えそうになる。
店長に怒られる。
でも頭の中は別のことでいっぱいだった。
あの組織。
消えた参加者。
帰ろうとした女の子。
ピロン。
スマホが震える。
休憩中に確認する。
海斗だった。
メッセージは短い。
【見つけた】
その四文字だけ。
嫌な予感がした。
夜。
俺は海斗と会った。
ファミレスの隅の席。
海斗の顔色は悪かった。
「何見つけたんだよ」
海斗はスマホを差し出した。
SNS。
女の子のアカウントだった。
プロフィール。
名前。
年齢。
大学二年生。
写真には笑っている姿が映っている。
普通の女の子。
どこにでもいそうな。
最後の投稿は一ヶ月前。
そこにこう書いてあった。
【最近お金なくてヤバい笑】
【いいバイト見つけた】
その文章を見て。
俺は寒気がした。
さらにスクロールする。
投稿はそこで終わっていた。
一ヶ月前で。
完全に。
止まっている。
「……それだけ?」
俺が聞くと、
海斗は首を横に振った。
そして。
ニュース記事を開いた。
タイトルを見て。
俺は息を止めた。
【女子大学生が行方不明】
写真。
同じ顔だった。
俺たちはしばらく何も言えなかった。
頭の中が真っ白だった。
行方不明。
つまり。
まだ見つかっていない。
生きているのか。
死んでいるのか。
それすら分からない。
海斗が震える声で言う。
「偶然じゃないよな」
俺は答えられなかった。
答えたくなかった。
でも。
心のどこかでは。
もう気付いていた。
俺たちは。
とんでもない場所に足を踏み入れてしまったんじゃないかって。
その時だった。
ピロン。
俺のスマホが鳴る。
そして。
海斗のスマホも。
二人同時に。
嫌な汗が流れる。
俺は恐る恐る画面を開いた。
そこには。
たった一行。
【他参加者について調べる行為は禁止です】
心臓が止まりそうになった。
俺は海斗を見る。
海斗も青ざめていた。
誰にも話していない。
ここに来たことも。
調べたことも。
なのに。
どうして。
どうして知ってるんだよ。
次の瞬間。
また通知が届く。
【警告は一度だけです】
俺の指先は。
小刻みに震えていた。
(第十三話へ続く)
コメント
1件
いや、めっちゃ怖いわこれ……。 「調べる行為は禁止」のタイミングが完全に読まれてる感じで、背筋が凍った。 行方不明の女の子と「いいバイト見つけた」の繋がり、ゾッとするな。 悠真も海斗も本気で踏み込んじゃった感があって、次どうすんだこれ……続き気になりすぎる🔥