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「そうだ、兄貴から貰った万能薬があった」
念のために持ってきた万能薬を東の主に急いで飲ませた。
「ど、どうしてなんだ。どうして、効かないんだ」
今、手元にある万能薬九本全部を東の主に飲ませても一切の効果が無かった。
俺はひたすらに泣き続けた。こんな状態なのに、東の主を守りけると誓ったのに、何もできない自分を恨んで、憎んで、悔しくって。
東の主の消えて光になったのがどんどん西の主の中に入っていく。
「ゲルマン、ごめん、ね。こんな、お兄ちゃんで、泣かな、いで、僕は、ゲルマンの笑った顔が見たいな」
東の主も泣きそうになりながら、はにかんで西の主にそう言った。西の主は、その言葉を聞いて、涙を拭って笑って見せた。
「独、こんな、最後になっちゃって、ごめんね。でも、最後に、会えて、良かった。これからは、 ゲルマンを支えてね。お願い」
「わかった」
涙をぐっと堪えていつ日かのように、笑って見せた。
「僕、もう一回、皆で、あの天満月を、見たかった、なぁ」
その最後の言葉を残して、東の主は完全に消えた。いや、少し言い方が悪いな。西の主の中に入って行った。のほうが正しいな。
「西の主、いや、主!俺はこれからこの命尽きるその時まで、主の側で支える。たっっくさん笑わせてやる!でも、今だけは、泣いて良いんだ。悲しい時に心の底から泣かないと、心が疲れちまうからな」
主の前に片膝を付いて話す。そんな事を言っている俺の声も震えているような気がした。