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第三話大介side
俺ってダメだね。こんなこと思ってるって〇〇に知られたら怒られるけど。だって、そりゃそうだよ?隣にはいつも、運動神経抜群で頭も悪くない。それに比べて俺は運動神経悪いし頭も悪いただのアニヲタ。今日は〇〇の試合。俺らは今、中学3年生。中3から試合が認められるんだよね。ボクシングって。だから今日は初めてのフェザー級ジュニアA級トーナメント。まぁオーディションみたいなことだね。これでボクシングの選手としての道が決まる。昨日緊張してて寝られなかったっぽい。俺ら部屋一緒だからなー。大丈夫かな…クラスメイトばかりか先生も観にくるって言ってたからね。俺、ボクシング、好きじゃない。怖い。だけど、〇〇は好き。だから俺も〇〇の試合は見る。あ、そう言ってるうちに始まるよ。〇〇は…15人いるうちの、4人目だね。〇〇は最初からお客さんの注目を浴びてる。なぜって、あの鴨川ジムだからね。最初の試合。おれは栗林さんと木村さんと観る。
木村 あっそこっボディがガラ空きじゃねーか! そっちじゃねぇもっと右だ!
栗林 こりゃダメだ…最初から泥試合とは…
2人とも大興奮。
俺 ちょっと2人とも落ち着こうか…
栗/木 落ち着いてられるか!
あ、説明遅れたね。栗林さんは〇〇のセコンド。木村さんは、鴨川ジムのなんていうか…看板選手?みたいな感じで、よく〇〇と練習してる。いわば、先輩ってとこ。
次は〇〇の試合だ。激励でも行くか。
俺「そろそろ激励行く?」
栗「そうだねー」
木「おっしゃ!行こうぜ」
〇〇は、控室の端っこでイメトレしてる。あ、あの顔は相当緊張してるな。俺「〇〇、」
○「あ、きてたんだ」
俺「大丈夫?」
○「今まで練習したことを、出すまで。緊張という感情はあの海に沈めてきた」
ああ、と俺は思う。やっぱ〇〇は強いな。俺とは大違いなんだ。
俺「がんばってね。応援してるから。」
栗林さんはセコンドだから残ってる。
がんばってね。〇〇。
〇〇side
さっき大介が激励にきた。
栗林さんに呼ばれた。
栗「次出番だよ………緊張してんね!喝入れてやろうか?」
私「おねがい、します…」
バチィィィィン!栗林さんは背中を思いっきり叩き、こう言った。
栗「一発、ぶちかまして来い!」
私「っ、はい!」
本番開始。相手も相当強そうだ。
うお、いきなり、攻めてきた。私はさらりとかわす。
実況「おーっと、軽快なフットワークで距離を置いた!様子見か!?」
そろそろいってもいいかな。
うわ、ボディ守りすぎて頭ガラ空きじゃん。チャンスだ。
ボコォォォン
実況「△△、隙を見せてしまった!マウスピースが宙を舞う!大丈夫か!?」
うわ、まだ、立ってやがる。そう思った次の瞬間だった。
ドゴッ
鈍い音がリングに響いた。本当に、一瞬の出来事だった。何が、何が起こった!?やられたのか?いやボディはガードしていた。腕ごとやられたのか!やべぇ、倒れる。
ーバタンー
レフェリーがカウントを始める。やめろ。まだやれる。私は急いで立ち上がる。
レフェリー「ファンディングポーズを!」
私「とった、とったからカウントをやめろ!」
ーファイッー
カンカンカンカン
ゴングだ。
実況「おぉっとゴングだ!」
なんだと…私はフラフラと赤コーナーに戻る。
栗林「大丈夫かっ!?」
私「栗林さん…どうなってっ…」
栗林「あいつは肘(エルボー)を使った。」
私「それって反則なんじゃ…」
栗林「そうだけど、レフェリーからは見えなかった。だから言っても無駄なの。」
私「そんなのって…」
栗林「稀に見るケースだよ。勉強しておかなきゃね」
カンカンカンカン
再びゴングだ。
観客席からクラスメイトたちが叫んでる。
クラスメイト1「●●、いけぇぇぇぇ!!!!!!」
先生「がんばれ、●●ーーーーー!!!!!!!」
え、先生あんな声出るんだ。知らなかったな。なんてどうでもいいことを思っていると、
鴨川「〇〇、焦るんじゃない。」
鴨川さんは、うちのジムを経営している大黒柱?のセコンドみたいなポジションの人。
私「はい。行ってきます。」
と言ってマウスピースを口にくわえた。
実況「始まりました、第二ラウンド!△△は第一ラウンドでかなり体力を消耗した様子!●●はかなり回復したよう!この勝負、どっちだ!?」
いける。今なら。相手が入ってくるまで待つ。距離を置く。
実況「●●距離を置いた!△△、どうする!?」
何……?入ってこない…?
向こうも誘い出す作戦に出たか…なら、受けて立つまで!あいつ、弱えな。パンチ力だけじゃん。それじゃ勝てないよ。
実況「おぉっと、●●の顔に笑みが浮かぶ!余裕の笑みか、否か!?」
さぁ、ショータイム。
実況「●●走り出した!そして…入った、ボディーーーー!!!!!!それと同時に何か呟いた!△△、ダウーーーン!」
カウントが始まる。勝った。
エイト…ナイン…テン……!
実況「●●ーー!!!●●の勝利ー!●●、デビュー決定ーーー!」
私は、リングの真ん中で両拳を突き上げて、叫んだ。
私「とったどー!!!」
ワァァァァァァァァ………..
大介side
やった!〇〇勝った!うわーこんな気持ちになったの、入所日以来だな。あ、説明遅れたけど、おれジャニーズJrね。いま15歳だから、2年前に入所したの。すごいでしょ…って言いたいけど、俺、人見知りで、人と目合わせられない。だから前髪も伸ばしてる。例外は、〇〇、栗林さん、木村さん、家族のみ。
木村「〇〇の楽屋行くか?」
俺「そだね。行こ。」