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#大人ロマンス
#サレ妻
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「……奈緒さん、これが君の終わりの始まりだ」
佐藤の父がスマホをテーブルに置くと、そこには「ナオミ」の最新のメンション欄が映し出されていた。
かつて佐藤の息子に送られた凄惨な指示
そして健一への「公開調教」の裏側。
それらが「被害者の告発」として、瞬く間に拡散されていく。
『ナオミの正体はサイコパス』
『不倫を餌に男を廃人にするシリアル・マニピュレーター』
昨日まで奈緒を崇めていたフォロワーたちが
今や手のひらを返し、彼女を「社会の敵」として吊るし上げ始めていた。
「……はは、ははは……!!」
リビングの隅で、健一が壊れたおもちゃのように笑い出した。
「面白いな、奈緒。お前が俺にやった『社会的処刑』を、今度はお前が受ける番だ。……お前も、俺と同じ『ゴミ』になるんだよ!」
「……ゴミは静かにして」
私が冷たく制したそのとき
リビングのテレビから緊急速報のチャイムが鳴り響いた。
『――速報です。本日午後、〇〇拘置所から、収容中の〇〇里奈被告が、移送中の隙を突いて逃走しました。現在も行方は分かっておらず、警察は周辺住民に警戒を……』
テレビに映し出された里奈の顔写真は、髪を切り刻み
獣のような目でこちらを睨みつけているように見えた。
「……里奈が、脱走……?」
健一の笑いが止まり、顔が恐怖で引き攣る。
「あいつ、来るぞ。奈緒、あいつは絶対にここに来る!俺たちを殺しに来るんだ!!」
佐藤の父は、その騒乱を満足そうに見つめながら立ち上がった。
「……ちょうどいい。君たちの地獄に、ふさわしい客人が現れたようだね。…奈緒さん、私は警察へ行く。君がどう処刑されるか、特等席で見守らせてもらうよ」
紳士が去り、家の中には奈緒、健一、そして何も知らずに眠る蓮だけが残された。
外からは、遠くパトカーのサイレンが近づいてくるのが聞こえる。
それが里奈を追っているのか、私を捕らえに来たのかは分からない。
「……奈緒。どうするんだ。里奈が来たら、蓮が……この子が危ない!」
健一が、初めて「自分の身」ではなく
「蓮」を守るために、震える手で赤ん坊を抱き上げた。
だが、その時。
(……ガチャン!!)
勝手口のガラスが砕ける凄まじい音が響いた。
冷たい夜気とともに、血と泥に汚れた「亡霊」が、包丁を握りしめてリビングへなだれ込んできた。
「…健一、見つけた。私の、幸せを奪った悪魔たち……」
里奈だ。
その瞳には、もはや理性の一片も残っておらず
ただ「殺す」という純粋な殺意だけが、ドロドロと溢れ出していた。