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俺の心は、完全に壊れていた。
あの事件から3年経ち、俺の人生はずっと灰色だった。社会に背を向け、何度もリセットを繰り返すような日々を送っていた。けれど、どんなに必死に忘れようとしても、あの夜のことは消えることがなかった。皇様が死んだこと、そしてその後に襲われたこと。
だけど、今、何もかもが無意味に思えた。そんな時、ふと思いついたことがあった。
「俺、あいつらの目を引きたい。」
ファンたちが俺の名前を一度でも思い出すなら、何でもいい。そのために、何をしても構わなかった。
俺は手を震わせながら、スマホを取り出し、SNSを開いた。そして、俺のアカウントに向かって指を動かす。
その瞬間、何かが閃いた。
「皇様は俺がレイプしたあと殺した。」
一言、ただそれだけを投稿した。
瞬間的に頭の中で冷静さが失われ、言葉が勝手に指先に現れた。これでどれだけ反響があるのかを知りたかった。ただ、その瞬間、無性にその思いが抑えきれなくなっていた。
だが、投稿してから一秒も経たずに、手が震えだした。後悔の念が込み上げ、恐怖が広がる。なぜこんなことをしたのか、もう自分でも分からない。ただ、心の中に湧き上がる憤りと痛みが、俺を突き動かしていた。
すぐに投稿を削除した。タイムラインにあったその文字が、瞬時に消え去った。けれど、消したところで意味はないだろう。
スクリーンの中に浮かんでいたあの文字、すぐにでも広がってしまうだろう。こんなことをしてしまって、もう元には戻らない。俺がやってしまったことが、どんな影響を与えるのか、想像するのも恐ろしい。
その後、しばらくは震えが止まらなかった。指が震えて画面を操作するのも辛くなり、頭の中で自分が何をしてしまったのかを必死に考える。やらかしてしまった。
「これで終わりだ。」
そう思ったけど、実際は違った。頭の中で、あの一言が何度もリピートされる。「俺がレイプしたあと殺した」という言葉が、消えない。やったことを消すことはできない。誰かが、どこかで、確実にそれを見ていた。
数時間後、スマホが震えた。
警告の通知、コメントが一つ、また一つ。最初は小さな反応だった。少しだけ驚いたような、嘲笑混じりのリプライが並んでいた。しかし、それが数分後には広がり始め、次第に流れが変わった。
コメント欄は、何百、何千と増え始め、次々に新しい投稿が絡みつく。
「本当にやったのか…?」
「やばい、こいつ本物だ。」
「これ、ただの嘘だろ?」
そして、ついに「警察から連絡来たぞ。」
その文字を見た瞬間、俺は理解した。後悔しても、もう手遅れだった。
「終わった。」
その言葉が、頭の中で繰り返される。次々に拡大していく炎上、警察が関与し始め、すべてが一気に崩れていく。俺の人生は、ここで完全に終わった。
だが、そうなることを一番分かっていたのは、実は俺自身だったのかもしれない。
どこかで、無意識に望んでいたことだ。最初から、こうなるのが運命だったのかもしれない。
そして、その後の展開は速かった。警察が動き、SNS上での騒動が収束することはなかった。俺はすぐに捕まった。証拠なんて関係なく、あの言葉の重みだけで、俺の運命は決まった。
そして、どうしても忘れられなかったあの瞬間、俺が投稿した一言が、今もなお、どこかで拡がっている。
どんなに取り戻そうとしても、戻せない。
俺の人生、終わりを迎えたのは、きっと自分自身が一番分かっていた。