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事件から数ヶ月が経ち、すべてが一気に流れ込んできた。俺は拘置所で日々を過ごしながら、外の世界がどんどん遠くなっていくのを感じていた。ニュースで流れる俺の名前、誰かが語るたびに俺の悪名が広がるのが分かる。だけど、そんなことはもうどうでもよかった。
俺の心は、すでに壊れていた。
ある日、刑事が俺の部屋に来た。彼は淡々とした顔で、簡単な質問を投げかけてきた。
「お前、今でも反省してるか?」
俺はその言葉に反応する気力もなかった。無表情で彼の目を見て、ただこう答えた。
「反省してるわけじゃない。」
刑事は少し驚いた表情を浮かべた。それも無理はない。誰だって、こんな重大な事件を起こした奴が、反省しないなんておかしいと思うだろう。
でも、俺にとっては、何もかもが無意味だった。皇様を殺したことに対する後悔も、誰かを傷つけたことに対する罪悪感も、すべてがもう薄れていた。最初は確かに恐怖や怒りがあったかもしれない。でも今となっては、それすらも遠い昔のことに思えた。
世間の反応はますます過激になった。ファンボック!の対応が絶え間なく報道され、皇様の追悼番組やイベントが次々と開かれた。彼女の死は、ただの一つの事件では終わらなかった。社会的にも大きな影響を与え、Vtuberという存在そのものに対する見方が変わった。
「もしあの事件がなければ、もっと楽しかったはずなのに。」
そんなことを思う暇もなかった。報道番組が、毎日のように俺を取り上げ、無責任なコメントが飛び交う。その中で、俺は一人ぼっちになった。もう誰も俺を助けようとしなかったし、そんなことを望んでいる自分が情けないとも思えた。
でも、もうどうでもよかった。
最終的に、法廷に立つことになった。弁護士が「反省している姿勢を見せるべきだ」とアドバイスしてきたけれど、俺にはそれが全く意味をなさなかった。どうしてそんなことをしなければならないのか、全然理解できなかった。
法廷で、俺はただ静かに座っていた。
証人の証言、検察の激しい質問、弁護側の必死の抗弁、すべてが俺の耳には響かない。ただ、無機質な空間の中で、自分がどこにいるのかさえわからなくなる。皇様の死を、何度も目の前に突きつけられながら、それでも何も感じなかった。
俺は最後に、こう言った。
「どうでもよかった。」
結局、俺は長い刑期を言い渡された。それがどれだけの時間であろうと、俺にはどうでもよかった。もう何も感じないし、何も求めていなかった。世間が俺をどう見ようが、どう裁こうが、俺にとってはそのすべてが一つの映画のように見えた。
数年後、俺は刑期を終えて釈放されることになるだろう。しかし、出所しても何が待っているのかは分からない。どんなに努力しても、今の自分に残るものは何もないのだろう。人々の目も冷たく、誰も俺を受け入れはしない。
だが、気づいていた。それでいいんだと。
出所後、俺は普通の生活を送ることができるのか?それとも、何かを犯してしまうのだろうか?その時になれば分かるだろう。
だが、今はただ静かに過ぎ去る時間を眺めていた。
あの夜、投稿した一言。それがすべてを変えた。今さら後悔しても、すでにすべては遅い。
皇様が生きていたら、どんな世界だったのだろう。彼女が笑っていたら、俺はどうなっていたのだろう。
そんなことを思いながらも、結局はもう忘れられた存在になっていく。
社会の中で、僕はただの一人の影となる。それで十分だ。
「どうでもよかった。」
それが、最後に俺が出した結論だった。