テラーノベル
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主人公が病んでるのでご注意ください。
「『わぁー!?ありがとうごさいます!助かります!』…ふふ」
ド深夜、真夜中も真夜中。
電気の消えた真っ暗な部屋の、布団の中で私はほくそ笑んでいた。液晶から発されるブルーライトを浴びながら。
画面の向こうに広がるのは、協力型ゲーム『アクアリウム』の世界。
私はそこで、上位勢として、またロールプレイ勢として、そして、『うみくらげ』として生きている。
アバターはふわふわした可愛いヤツで、口調は全部「なのです」に統一して、深夜のシンデレラタイムを、全て捨てて、費やして。
「だって…だって、ここだけが生き甲斐なんだもん」
そう言い訳を吐きながら、画面のボタンをぽちぽちと操作する。初心者の人に強化アイテムをあげた。チャット欄にありがとう、という言葉が流れる。
感謝されて。少し、自分が良い人になれた気がするんだ。感謝されるような人間になれたような気がするんだ。
現実は、何も変わっていないのに。
「…っ、しらない、知らない…現実なんて、どうでもいいんだよ」
『どういたしましてなのです。困ったら言ってほしいのです〜』
『本当にありがとうごさいます!』
「あは、はは…自己肯定感が満たされる音〜…」
大して現実が辛いことだらけ、という訳でもない。逆境だらけなわけではない。人並み程度の苦しさ、痛み。寧ろ恵まれている方に入るはずだ。
でも、でも。
「多様性が叫ばれてるんだからさぁ、……耐えられない人がいたって、いいじゃんか…」
私には耐えきれなくて。その日常の一つ一つで精神が摩耗していって。その内、学校も休みがちになって成績も落ちて。親は、受け入れてくれたけど。
受け入れてくれるほど、優しい親がいるのに、耐えられていない自分が大嫌いになったんだ。
「私みたいなやつには、勿体ない両親だよ、ホントに。……もっと良い子が産まれてくれば、良かったのにね」
自虐的に笑う。本当にそう、勿体ないし、私なんかが産まれてきて可哀想。
才能がある訳でもなく。
障害がある訳でもなく。
ただ、精神が弱いだけのフツウの子。
「……いいや。『クエスト攻略一緒にしてくれる人募集なのです〜』っと」
ぴこん、ぴろん。
即座に通知が来て、人が私のところに集まってくる。皆、私と一緒にやれることを喜んでくれる。
『うみくらげさんと一緒にやれて光栄』
『がんばりましょー』
『深夜なのに人集まりすぎワロスwwまぁ拙者もその一人でつが』
『部屋立て感謝。えいえいおー』
『クエスト出発なのです〜!』
液晶越しに色鮮やかな戦闘が光る。私のボタン操作に応じてキャラが動く。ヒットアンドアウェイを意識して、味方の体力にも気を配る。
「……あ」
クリア寸前に、突然現実感が襲ってくる。明日天気になぁれ、とか、そんな昔のおまじないを思い出した。なんで、そんなことを思い出したんだろう。
「……明日は、いい日になりますように」
結局、途中で操作を投げてしまった私に変わって、味方がクリアした。おめでとー、とかの祝いの言葉が投げられる。
「……何言ってんだろ。あーやめやめ、疲れてるんだ、寝よ」
私はそう独り言を呟いて、布団を頭から被って目を閉じた。
せーの、
あーした てんき に なーぁれ。
この後「あまり学校に来なくてもいいように」という先生の計らいで選ばれた
情報委員会の先輩と会ったり
その先輩と『アクアリウム』繋がりで仲良くなったり
先輩のことを知ったりする予定。
ちなみに続きはないです。単発です。
構想だけあります。誰が本文書いてくれ(他力本願)
コメント
1件
うわ、第1話からすごく重くて繊細な空気が流れてる……。現実とゲームのギャップに自分を重ねちゃう主人公の心情、痛いほど伝わってきたよ。「耐えられない人がいたっていいじゃんか」って台詞、すごく刺さった。自分を責めながらも、ゲームの中では優しく振る舞えるそのギャップが切なくて、最後の「明日はいい日になりますように」がすごく響いた。のーねーむさんの描く"生きづらさ"の描き方、繊細で好きです。続きが気になる……!
#一次創作
りんご
233
116
#ミステリー
穏霞 乃矢
529
うらうら
34