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第三十三章 帰る場所
目を閉じた。
喧騒の中に佇む。
スタッフの行き交う足音。
ライブを待つお客さんの声。
そして、メンバーが奏でるいつもの音。
胸の奥が、少しだけ震えた。
――俺、ここに戻ってきてよかったのかな。
あんな風にいなくなって。
心配かけて。
迷惑かけて。
それでも。
肩に置かれた手の重みが、答えみたいだった。
両肩に重くのしかかる温かいぬくもり。
ここに立つまで、
どれだけ遠回りしたんだろう。
青を探して、
迷って、
逃げて、
それでも――戻ってきた。
この場所に。
亮平💚「翔太……平気?」
翔太💙「うん」
亮平💚「似合ってるその衣装ターコイズブルー……翔太の色だ」
翔太💙「うん」
亮平💚「あらあら泣かないの。皆んなが待ってる」
翔太💙「うん」
蓮 🖤「うちの子泣かさないでくれます?」
亮平💚「みんなの翔太でしょ。ねっ涼太」
涼太❤️「甘やかしすぎもいかがなものかと」
いつもの笑い声が響くバックヤード。
メインステージ裏。
横並びに九人が揃う。
照 💛「翔太から一言。手短に――泣くのは無しな」
喉の奥が詰まる。
それでも口を開いた。
翔太💙「ありがとう」
照がニヤッと笑う。
照 💛「シャアーッ!!! 行くぞオラァ!!!」
ステージに飛び出す。
ペンライトが揺れる客席。
波みたいに、光が揺れていた。
涙でぼやけた客席を見る。
色は分からない。
ただ――
光が揺れている。
そのとき思った。
空みたいだ。
歌い出し。
俺の声から始まる――
続けて隣で、蓮の声が重なる。
ラウールの甘く弾む声が、その上を軽やかに跳ねた。
少し遅れて、
亮平の柔らかく低いハモりが支える。
そこへ涼太の真っ直ぐな声が重なり、
歌に光が差した。
反対側では
照がリズムを刻み、
佐久間が笑いながら、みんなを見回している。
そして――
九人の歌が、ひとつになる。
呼吸を合わせ歌い、
視線を合わせて踊った。
康二の声が、真っ直ぐに響く。
〝勝手に悩んでいた弱さ超えて〟
胸の奥が、きゅっと締め付けられる。
続けてふっかさんの声。
〝こんな幸せな場所辿り着いてたね〟
――ああ。
そうか。
歌が終わる。
割れんばかりの歓声。
ペンライトの光の波が
ゆらゆらと揺れている。
その中に、ちゃんと
自分の色もあった。
――ああ、本当に戻ってきたんだ。
俺の場所に。
九人揃った円陣。
涼太が
頭をぐっと押さえる。
涼太❤️「いつまで泣いてんだよ」
円陣の中で肩が触れ合う。
辰哉💜「なべ、これ泣く歌じゃないだろ」
ラウ🤍「えっTRUE LOVEって泣けるよ〜」
康二🧡「あかん俺も泣きそう、しょっぴー愛してる」
翔太💙「やめて抱きつくなよ、感動が薄れる」
背中に優しく添えられていた、蓮の手に力が籠った。
亮平💚「彼氏が怒ってるから離れなさい、康二」
康二🧡「何でやの?阿部ちゃんかて、触ってるやない」
亮平💚「俺はいいの元彼だから♡」
一瞬、息が止まる。
腰を掴まれグッと引き寄せられる。
翔太💙「なに?」
蓮は少しだけ笑った。
涙を溜めた瞳が揺れた。
翔太💙「れんっ」
翔太💙「……泣き虫」
怖かったのは俺だけじゃない。
見渡すと、
メンバーみんな泣いていた。
円陣の中で響いた。
〝おかえり〟
翔太💙「ただいま」
大介🩷「お前じゃねえよバカ翔太」
肩を震わせ笑った蓮。
蓮と目が合った。
――大丈夫。
そう言われた気がした。
胸の奥が、じんわりと温かくなる。
ああ、そうか。
翔太💙「忘れてた……」
誰ともなく、声が重なった。
「ここが、俺たちのユートピア」
コメント
7件
歌声の描写が的確かつ素敵😍 もう撮影終わったのね、、、🖤
