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りっちゃ
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「涼ちゃん桜ついてるー」
つい最近MVのために茶色に染め直した綺麗な髪の毛から桜色の花弁を取る。
「あぇ、ついてた?ほんとだ、かわいー」
「おれも!おれのもとって元貴!」
こちらも茶髪。
落ちている桜の花びらをわざと頭に乗っけてニコニコとこちらを見てくる。
なんかムカつくからとってやんねー。
「自分でとって?大人だし。」
「はぁん、取ってよぅ」
ええー、何だよ。
俺人気者〜!
「ぅおらっ」
「はぁ?!痛いって!」
若井の頭に掴み掛かる。
若干絶壁気味の頭をわしゃわしゃして、しっかりとセットされた髪をあえて台無しにする。
なによ。取ってあげてるんだから感謝してよね。
「いいじゃん。どんな若井もカッコイイですわよ。」
「けっ、そりゃどうもっ」
「元貴も若井も仲良くしてよぉ、、、」
春のポカポカ陽気の中3人並んで歩く。
身バレ、、というか花粉防御のためにマスクをして。
視界の端に学生が映る。
春だし、卒業式の後かなぁ。
懐かしいなぁ。僕にもあんな頃があったっけ。
いや、なかったかなぁ。
どんなことも音楽にする糧としてきたもんだから。
卒業式の余韻を感じながら曲を作り、自分は過ごしたことのない青春に思いを馳せて曲を作り。
思えば、青春なんて僕にはなかったのかもしれない。
学校にも行かず曲を作り続けたあの日から、それを生業にすることができた今日まで。
全ては曲を作るために、ミセスであるために糧にしてきたのではないか。
ふと、寂しくなる。
春特有のアレだ。
自然と足が止まる。
それに気付かずに進んでいく2人を見て、勝手に置いて行かれた気分になる。
中学校3年間、サッカー部の中心だった若井と、吹奏楽部でフルートに出会った涼ちゃん。
バスケ部を退部した俺なんかとは全く違う。
ねぇ、青春ってどんな味?
どんな匂い?
どんな景色?
僕にはわからないよ。
だってずっと曲作ってたんだもん。
抑えきれない感情と鼻の奥がツンとする感触。
眼の中で光が反射して、せっかくの綺麗な季節が見えない。
もったいないなぁ。
「もときー!」
「なぁにしてるんだよー!」
「はやくいくよぉ!」
ひゅっと涙が引っ込んで白飛びしていた世界から帰ってくる。
ぱぁっと色付いて綺麗な桜並木。
こっちを見て柔らかく微笑む涼ちゃんと、ニヒルに笑う若井を見て現世に引き戻される。
2人が笑っているだけで心に勇気が流れ込んでくるような、満たされるような。
僕のいる場所はここだ。
別に、学生の時に青春がなくたっていいじゃない。
今からだ。
これからだ。
取り戻せ。青春。
春のお話でした!
バイバイ👋
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