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鈴子は感じていた・・・この人は百合の訃報だけでなく、鈴子の失った家族までも哀れんで泣いてくれているのだ
「今はアレを想って泣かせておくれ・・・鈴子・・・お前の悲劇も悲しみも・・・全てはこの涙で水に流そう・・・だって、恨んだ相手は自らの手で終わらせたんだ・・・でも私達は生きていかなければいけない・・・何があってもね」
定正の声は、力強く、しかしどこか儚げだった
二人はしっかりと抱き合った、鈴子の心は定正の悲しみと共鳴し、過去の憎しみが溶けていくのを感じた
百合は・・・今頃は父といるのか・・・それとも兄さん?・・・
百合の死は鈴子に新たな視点を与えていた、何の因果か百合のおかげで彼女は定正に出会った
そして、百合の死が定正の心にどれほどの傷を残したのか、鈴子は初めてその傷が自分自身の過去とも繋がっていることを知った
鈴子はいつまでも泣く定正を抱きしめた、定正もまた、鈴子の腕をしっかりと抱き返した、二人の涙は、過去の痛みと悲しみを洗い流すかのように、静かに流れ続けた・・・
そしてこの日を境に鈴子の心から百合への恨みは一切なくなった
百合の死は、鈴子にとって憎しみの終わりであり愛の始まりだった
鈴子は決意した、人を恨むことはもうやめよう・・・
過去の闇に捕らわれず、定正と共に新しい未来を歩もうと・・・
そう思った矢先
また不幸は彼女を襲った