テラーノベル
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『こんなタイミングで伝えることになってしまって、後悔しています。』
『それでも、伝えなくちゃ行けないから。』
『……私は、お姉ちゃんが好きでした。お姉ちゃんの背中を毎日追いかけて、いじめられても立っていられたのは、5つ離れたお姉ちゃんのおかげです。』
『お姉ちゃんと私は、血の繋がりがありません。』
『お母さんは、私が産まれる前に結婚した人と別れて、私が生まれて間もない頃にもう1人と出会い、そして別れています。』
『お姉ちゃんは、最初の人の連れ子だったそうです。だから、血の繋がりがありません。』
『それでも、私はこうして成長するまで、お姉ちゃんと血が繋がっていると信じていました。今だって、血が繋がっていなくとも姉妹だと……そう思っています。』
『お母さんも、私たちを愛すべき我が子だと、何度もそう伝えてくれました。』
・・・・・
『お姉ちゃんには、少し変わっているけど素敵な趣味がありました。』
『その背景には、私たち家族が決して裕福な家庭じゃなかったこともあります。』
『お姉ちゃんは、使えなくなったガラクタやおもちゃを作り直して、生まれ変わらせるのが得意でした。』
『瓶や缶を始めとした色々な物が生まれ変わる様子を見ると、私も心が踊りました。工作を手伝ったこともあります。』
『お姉ちゃんのことを、私はみんなに自慢したいぐらい、好きでした。』
・・・・・
『ですが、それを聞いてくれる相手はいませんでした。……私は学校でいじめを受けていて、友達もいなかったから。』
『きっかけは、ほんの些細なことにありました。』
『友達と出かける予定だった日、私は熱で倒れてしまい、行くことができなくなったのです。翌日、学校で理由を説明して謝りましたが、待っていたのは仲間はずれと無視でした。』
『みんなが持っているスマホや、子供携帯を金銭的な部分から持てなかった私は、すぐにいじめの標的になりました。』
『最初は靴を隠されたり、教室の後ろに席を置いていた私にだけプリントが回ってこなかったり、そんな小さい嫌がらせでした。』
『しかし、数年も経てばどんどんエスカレートしていきます。私は、家族を巻き込みたくない気持ちから、誰にも言わずにひとりで耐えていました。』
『しかし、それが真っ先に、姉にバレてしまったのです。』
『姉は、私が止めるのも聞かずに酷く怒り、そして動きました。』
『先生方と直接掛け合い、それが結果として、いじめを収める方向へ進んだのです。』
『お姉ちゃんには、その時今までで最も深く感謝しました。やっぱり、私のお姉ちゃんは最高のお姉ちゃんで、自慢できる人だと思いました。』
・・・・・
『……だから。』
女の顔に、迷いはない。
ライターの光だけがぼんやりと辺りを照らし、彼女達の顔を映す。
女の視線の先には、息絶えた別の女。
彼女達の姿を全世界の人間へ中継しているのは、1台のスマホだ。
『お姉ちゃん。私ね、本当は、このこと墓まで持っていくつもりだったよ。』
そう言って、ピクリとも動かない彼女へ差し出すのは1枚の新聞紙。
紙面には、18歳の男子高校生を殺害、解体して瓶詰めに、瓶で作った人形を売った23歳の女が逮捕されたと記載されていた。
『なんで自首なんて真似をしたんだろう。なんで、最高なままでいてくれなかったんだろう。』
『手伝うって言ったじゃん。お姉ちゃんのものづくり、私は応援してるって言ったじゃん。……私を虐めたガラクタなんて、最高の素材じゃん。』
『なんで、揺らいだんだろう。』
女は、付けていたライターを下に向けた。
そして、落とす。
火の海の中で、女は笑った。
『一緒に地獄を渡ってあげる……私の大好きなお姉ちゃん。』
私の大好きなお姉ちゃん
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86
召死 メアリ
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みな🐇🥀🌒
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コメント
1件
お姉ちゃんへの想いが静かに綴られていくからこそ、最後の行動がものすごく胸に刺さりました。「私を虐めたガラクタなんて、最高の素材」って言葉が、どれだけ姉を想ってたかを物語っていて…一緒に地獄を渡る覚悟、重すぎるけど、妹にとってはそれだけが正解だったんだろうな。姉の背中を追いかけてきた日々の尊さと歪さが同時に来て、読み終えた後もしばらく動けませんでした。素敵なお話をありがとうございます🌷