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ゲスト
98
#イラスト
しおもも
2,514
あの最悪な世界会議から数日。イギリスは自宅の寝室に引きこもり、カーテンも開けずに薄暗がりの中でただ震えていた。
電話の呼び出し音は鳴り止まない。受話器を取れば、聞こえてくるのは他国からの冷酷な追及や、コモンウェルズ諸国からの困惑と怒りの声ばかり。
「……もう、嫌です……。私は、何も……っ」
ベッドの上で膝を抱え、耳を塞ぐイギリス。かつての毅然とした面影はどこにもない。他人の悪意を真っ向から受け止める免疫のない彼の精神は、すでにボロボロだった。
その時、静かに寝室の扉が開いた。
「入るよ、イギリス。……ひどい顔だ。やっぱり、僕がいないとダメだね」
入ってきたのは、合鍵を持ったフランスだった。彼はベッドの端に腰掛け、イギリスの青白い頬を優しく撫でる。
「フランス……。来て、くれたのですか……」
「当然じゃないか。君が心配で、仕事も手につかなかったんだ。……ねえ、まだ他の連中から酷い連絡が来るの?」
「はい……っ。アメリカからも、他の皆さんからも……。私が何を言っても、言い訳だと切り捨てられて……。もう、誰も私の言葉を聞いてくれません。私、どうしたらいいのか……っ」
イギリスの目から、再びじわりと涙が溢れ出す。
「可哀想に。みんな君を疑って、傷つけることしかしない。……ねえ、イギリス。そんなに辛いなら、いっそのこと、全部放り出して僕の家に来ちゃいなよ」
フランスはイギリスの耳元に唇を寄せ、とびきり甘い声で囁いた。
「え……? あなたの、家に……ですか?」
「そうだよ。僕の邸宅なら、誰も君を追いかけてこられない。電話も、手紙も、君を傷つけるものは全部僕がシャットアウトしてあげる。君はただ、僕の腕の中でゆっくり休んでいればいいんだ」
「ですが、私は一国の責任が……会議を放棄するわけには……」
生真面目なイギリスは、こんな状況でもまだ義務を果たそうとする。僕は心の中で冷笑しながら、さらに言葉を重ねた。
「君を信じない奴らのために、どうしてそこまで傷つく必要があるの? 君がボロボロになって倒れても、彼らは喜ぶだけだよ。……それとも、僕のことは信じられない?」
わざと悲しそうな顔をして、イギリスの手を握りしめる。
「そんなことは、ありません……! あなただけが、私の味方です。フランス、あなただけが……っ」
「なら、僕の言う通りにして。ね? 僕が君 を守ってあげるから」
イギリスは、フランスの切実な(演技の)眼差しに耐えきれず、小さく首を縦に振った。
「……わかり、ました……。お願いします、フランス。私を、どこか遠くへ……連れて行ってください……」
「うん、喜んで」
その日のうちに、僕はイギリスを僕の邸宅へと連れ去った。
外界から完全に隔離された、美しく豪奢な僕の部屋。窓には重厚な格子があり、鍵は僕しか持っていない。
「さあ、ここが君の新しい世界だよ、イギリス」
ベッドに横たわるイギリスを見下ろし、僕は心の中で激しく歓喜した。
誰も君を見つけられない。誰も君に触れられない。君を世界から完全に孤立させる計画は、これで半分成功だ。あとは、君の心を完全に僕だけのものに調教するだけ。
コメント
1件
うわあ…ずもんさん、またしても重くて美しい毒をありがとうございます🥀 フランスの「優しいふりして完全に囲い込む」感じ、本当にゾッとするくらい丁寧に描かれてて。イギリスが「あなただけが私の味方」って縋るところ、読んでて胸が締め付けられた…。彼の弱った精神に付け入るタイミング、計算し尽くされてて怖い。でもその怖さこそが、この作品の魅力だと思います。 窓に格子、鍵はフランスだけ。もう逃げ場がない。続き、彼の心は本当に「調教」されちゃうのか…気になって仕方ないです。更新、静かに待ってます🌙、^、