まずは、ランク1の試験から。
哲人の次に私、という順番らしい。
雑草のようなものがいくつか並んでいるから、その中から薬草をより分けるだけ。
これ、めんどくさいからやらせているんじゃないでしょうね?
ちなみに、薬草の特徴は最初に説明があった。
「はい、合格です」
でしょうね。
次はランク2の試験。
10キロくらいの石を、室内の端から端まで落とさずに、できるだけ早く運ぶ。
これも楽ちん。
こちとら、8キロ近くの勇人をずーっと抱っこして日常生活送ってるのよ。
走ってやった。
「はい、合格です」
脚力、握力、腕力を魔法で強化したからか、全然疲れなかった。
若干哲人の顔が引き攣っていたのは気のせいだと思う。
ランク3の試験は、捕獲してあったホーンラビットを室内に放し、それを捕まえるというもの。
生死は問わないらしい。
捕獲なら、指定されている檻の中に入れる。
哲人は、ちょっと迷ったようだけど、構わないと言われたので長剣で切って血抜きしやすくしながら捕っている。
おい、今は寝てるけど勇人がいるとこでそんなことするの?
「終わったー……ひぅっ、ごめんなさいごめんなさい」
「ご、合格です。つ、次はヤエさんどうぞ」
哲人だけでなく、試験官のはずのおじさんまで怯えてる。
ごめん殺気漏れてた?
哲人に勇人を渡して、私は室内の中央へ向かう。
放されたホーンラビットは、5匹くらいかな。
捕獲でいいよね。
「<捕獲、ホーンラビット、目に入ったものをこの檻の中へ>」
くるり、と目線を一周してはい終わり。
「……?はっ!合格です」
うんうん、じゃんじゃんいこう。
ランク4はワイルドボアというでっかいイノシシと一騎打ち。
大きさは、自転車くらいかなぁ。
おじさんによると、これは小さい方らしい。
哲人は、長剣で足を切って動けなくしてから魔法で捕獲していた。
よしよし。
私?
さっきと同じで捕獲して終わり。
「……合格、です」
ランク5からは、王都の外へ出なくてはいけない。
冒険者組合は東側の門の近くにあるから、そこから外へ。
街道を逸れて森へ入る。
勇人は組合で起きたので休憩室を借りて授乳した後、しばらく起きていた。
ご機嫌で周りを珍しそうに見ていたが、森へ歩く途中でやっぱり寝てしまった。
森でも順番に試験を受けることにしたから、その間は籠で寝てもらうつもりだ。
起きたら抱っこか、籠の中で遊んでもらう。
今は抱っこひものままで、空の籠はベルータさんが持ってくれている。
すみませんね。
私は、哲人とスキンヘッドの試験官が話しながら歩く後ろをついて行っている。
一番後ろをベルータさんがついてくる布陣。
守られてるなぁ。
ちなみに、試験官さんはタヌンハさんというらしい。
やっぱり元冒険者で、ランクは7だったが、今は王都の冒険者組合で受付兼試験官兼教育係兼用心棒をやっているそうだ。
「次は野生の魔獣を見つけて捕まえてもらいます」
「どういう魔獣が多いんですか?」
「このあたりだと、ホーンラビット、ワイルドボア、ブラックベア、オレンジファングあたりですね。ゴブリンは、もう少し東に行かないと出てきません」
ブラックベアは黒い熊、オレンジファングはオレンジのオオカミか。
大きさはやっぱり想定外な感じなのかな。
「そうなんですか。では、ランク5はどれかを倒せばいいんですか?」
「ええ。生死を問わず一桁であればランク5、捕獲数が二桁を超えればランク6です。ランク7はゴブリンやオークの巣の殲滅、ランク8はワイバーンの狩猟です。これは、それぞれゴブリンキングやオークキングの牙や武器、ワイバーンの翼などを納品することで試験合格となります」
「それはなんというか……出会えるかどうか分からないのでは?」
「そうですね、ワイバーンに関しては運もあるでしょう。しかし、ゴブリンやオークの巣は、魔物の森へ入れば腐るほどあります」
「なるほど……魔物の森が高ランクの試験会場ですか」
「はい。ランク9は、ほとんど栄誉ランクですね。試験としては、一応魔物の森の奥にいるらしいベヒモスの殲滅となっています。しかし、単独ではほとんど無理ですし、ベヒモスが森の奥から出てくることがほとんどないので形だけのものとなっています」
「ランク10は?」
「ランク10には試験はありません。各地のギルドマスター全員が同意することでランク10となります」
「じゃあ、実際にはランク8までが実用的なランクですか」
「その通りです」
ゴブリンとかオークは、見たことないけど退治するのに躊躇しそうだなぁ。
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