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(名前)=夢主
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永遠なんて存在しない。
人はいつか変わっていく。
約束は、約束でしかないと。
それが分かったのは、中学の卒業式の日だった。
「(名前)。俺さ、春から兵庫行くんだ」
俺の隣を歩く親友、角名倫太郎は前を見ながらそう言った。
表情は見れなかった。
斜陽に切り取られてオレンジに染まった倫太郎の横顔が、酷く眩しかったから。
「兵庫って…嘘だろ?」
「本当だよ。
前から決まってたんだけどさ、言っちゃうと(名前)の受験の邪魔になるかなって思って」
「…あ、そか。そうなんだ」
あまりの衝撃に、言葉が出なかった。
淡々と話す倫太郎の言葉が槍になって、俺の心を削っていった。
開いたままの口からは、動悸で少し荒くなった呼吸しか出なくて。
背中には冷や汗が伝った。
頭が冷えていくのが分かる。
まるで全身の血液が一瞬でどこかに行ったみたいだ。
嗚呼、倫太郎の背中が小さくなっていく。
夕焼けに消えてしまう。
いやだ、行かないで欲しい。
ずっと一緒にいてよ、倫太郎。
その言葉は喉まで顔を出しているのに。
まるで喉に膜が張られているみたいに、つっかかって吐き出す事が出来なかった。
結局その後、何も言えないまま俺と倫太郎は途中で別れ、お互いの帰路に着いた。
次の日も何も言えずに、ただ手を振り合って新幹線に乗る倫太郎を見送った。
言えなかったけど、言いたい事は山ほどあった。
なんで俺の邪魔になるって勝手に思ったんだ。
なんで高校の話した時ずっと誤魔化してたんだ。
ずっと一緒って言ったのに。
永遠に誓うって言ってくれたのに。
もう、忘れちゃったの?
中ニの冬、いつも駄弁ってた公園のベンチで約束したじゃんか。
“倫太郎、ずっと一緒にいてくれる?”
“うん、もちろん。永遠に誓うよ。”
お前の中では、いつもの何気ない会話だった?
倫太郎の中の俺は、たくさんいる友達の内の一人だった?
肩を組んだら、手を繋いだら、微笑んだら耳まで紅くさせてたくせに。
永遠に誓うよって、幸せそうな顔して言ってくれたくせに。
倫太郎の嘘つき。
嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき。
出来ない約束なら最初からするなよ。
裏切り者。
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