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#ファンタジー
芙月みひろ
94
設楽理沙
1,542
数日後。
僕は、白瀬さんに会いに行った。駅の近くの公園。僕たちが初めて話した場所だった。公園に着くと、白瀬さんはベンチに座っていた。
「……白瀬さん」
僕が呼ぶと、白瀬さんは顔を上げた。
「……朝倉くん」
僕は、隣に座った。しばらく、何も言わなかった。やがて、僕は口を開く。
「この前は、ごめん」
「うん」
「僕、白瀬さんのことを分かったつもりになってた」
白瀬さんは黙って聞いていた。
「見えないから、僕が何かしてあげなきゃって思ってた。でも、違った」
「……うん」
「白瀬さんは、僕が何かしてあげなくても、ちゃんと自分の世界を持ってる」
白瀬さんは、少し笑った。
「当たり前だよ」
「だから……」
僕は、手を握った。
「これからは、その世界に僕も居たい。一緒に居させて欲しい」
白瀬さんは、驚いた顔をした。
「……どうして?」
僕は、まっすぐに答えた。
「白瀬さんと話すのが、好きだから」
白瀬さんは、少しだけ息を呑んだ。
「声を聞くのが好き。笑ってる声も。」
僕は、照れながら続けた。
「白瀬さんといると、普通だった毎日が、少しだけ特別になるから」
白瀬さんの目から、涙がこぼれた。
「……私も」
僕は、驚いた。白瀬さんは、涙を拭いながら笑った。
「朝倉くんの声が好き」
「……え?」
「朝倉くんの声を聞くと、安心するの」
白瀬さんは、僕の方を向いた。
「だから、これからも隣にいてほしい」
僕は、ゆっくり頷いた。
「うん」
その日。
――僕たちは、初めて手を繋いだ。
コメント
1件
うわあ……第8話、すごく良かったです。 最初の公園のシーン、あそこから始まるのがもうドラマチックで。彼が「分かったつもりになってた」って認める場面、胸がぎゅっとなりました。それで「これからはその世界に僕も居たい」って言えるの、すごく誠実で素敵すぎる……。 白瀬さんの「朝倉くんの声が好き」も、自然に出た言葉なのが伝わってきて、読んでてあたたかい気持ちになりました。手を繋ぐラスト、じんわり涙が出そうです。 藍碧さんの、距離感の描き方、本当に繊細で大好きです🌷