テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
ある夜。
グループ公式インスタライブ。
9人全員でわちゃわちゃ配信。
コメント欄は大盛り上がり。
「今日の告知なにー?」
「新曲?」
「ツアー?」
メンバーの一人が言う。
「今日は蓮から大事な話あるんでしょ?」
ざわっと空気が変わる。
亮平の心臓が跳ねる。
(まさか、今?)
蓮は落ち着いた顔。
でも指先は、少しだけ緊張している。
「うん。ある」
コメント欄が止まる。
「俺、ずっと隠してたことがあります」
メンバーが顔を見合わせる。
「え、なになに?」
「怖い怖い」
蓮はゆっくり続ける。
「俺には、好きな人がいます」
一瞬、時間が止まる。
「……は?」
メンバーの一人が素で声を出す。
コメント爆速。
《え!?!?》
《熱愛!?》
《嘘でしょ》
亮平の喉が渇く。
蓮はカメラを見たまま言う。
「グループの中にいます」
全員フリーズ。
「は???」
「待って待って待って」
メンバーがざわつく。
亮平の視線が揺れる。
蓮がゆっくり、横を見る。
「亮平です」
静寂。
数秒。
メンバー全員、固まる。
「……え?」
「え、ガチ?」
「ドッキリ?」
コメント欄はパニック。
《情報量多い》
《え、尊い》
《嘘でしょ》
《本気??》
亮平は深呼吸する。
逃げない。
「……うん」
震える声。
「俺も、蓮が好きです」
メンバーの一人が頭を抱える。
「え、ちょっと待って、10年一緒にいて知らなかったんだけど!?」
別のメンバー。
「だからあの距離感だったの!?」
さらに。
「解散じゃないよね!?!?」
蓮が即答する。
「解散しない」
「グループは続ける」
真っ直ぐな声。
「隠したまま続けるのが嫌だった」
「俺たちはプロとして9人でやっていく」
「でも、嘘はつきたくなかった」
沈黙。
メンバーたちの表情が少しずつ変わる。
驚きから、理解へ。
最年少メンバーがぽつりと。
「……幸せなら、いいんじゃない?」
別のメンバーも笑う。
「俺ら、10年一緒にいるんだよ?」
「気づかなかったの悔しいけど」
「隠すの大変だったでしょ」
亮平の目が潤む。
蓮は言う。
「迷惑かけるかもしれない」
「でも、グループを裏切るつもりはない」
メンバーが深く息を吐く。
「……一つだけ」
全員がそちらを見る。
「ライブのとき、イチャつくなよ?」
一瞬の沈黙。
そして――
全員爆笑。
空気が一気にほどける。
コメント欄も変わっていく。
《メンバー優しい》
《泣いた》
《9人最高》
《尊すぎる》
《こんな告白ある?》
《推しててよかった》
亮平が涙を拭く。
「怒られると思ってた」
リーダーが言う。
「怒るわけないだろ」
「俺ら、家族みたいなもんだし」
最年少がニヤニヤする。
「だから楽屋で距離近かったのかー」
「おい言うな!」
亮平が赤くなる。
蓮が小さく笑う。
そして、堂々と。
亮平の手を握る。
生配信中。
メンバー全員の前で。
コメント欄が祝福で埋まる。
《手つないだ!!!!》
《世界一幸せなインライ》
《9人でずっといて》
《応援するに決まってる》
蓮が最後に言う。
「これからも9人でトップ目指します」
亮平が続ける。
「俺ら、何も変わらないから」
メンバーが口々に言う。
「むしろ強くなった?」
「ネタ増えたな」
「今日から公式カップル?」
「やめろ!」
笑い声。
涙。
祝福。
9人は、崩れなかった。
むしろ絆が深まった。
世界の前で初めて言えた。
蓮の隣にいるのは、
隠さなくていい。
亮平だけ。
そしてその隣には、
ちゃんと8人いる。