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咆哮がトンネル内に響き渡り、地面が微かに震えた。その音に、拓真たちは全身に鳥肌が立つような恐怖を感じた。
「これが……“失敗作”なのか?」拓真が声を震わせながら兵士に問いかけた。
兵士は短くうなずくと、部隊に指示を送った。「警戒態勢を強化しろ。目標は施設外に出すな。」
その時、亮太が突然うめき声を上げて地面に倒れ込んだ。
「亮太! 大丈夫か!?」拓真が慌てて亮太に駆け寄る。
亮太は額に汗を浮かべ、体を震わせながら低い声で呟いた。
「……燃えるようだ……!」
「まさか……!」兵士の一人が驚愕の表情を浮かべた。「お前、薬を投与されたのか?」
「薬?」拓真が兵士を睨む。「亮太に何をした?」
兵士が冷静に答える。「人間の体を狼男に変化させる薬品は、副作用で体が崩壊する危険性もある。」
「そんなこと聞いてない!」拓真は拳を握りしめた。「亮太はどうなるんだ?」
その時、亮太の目が光を放ち始めた。彼の体が徐々に変化し、爪が伸び、筋肉が膨れ上がっていく。
「やめろ、亮太!」拓真が叫ぶが、亮太の意識はもう戻らないようだった。彼は完全に狼男へと変貌を遂げた。
「ガァァァァァッ!」
亮太は咆哮を上げ、目の前の兵士たちに襲いかかった。兵士たちは銃を構えるが、亮太の圧倒的な速度に追いつけない。
「撃つな!」拓真が必死に叫ぶ。「亮太を殺すな!」
しかし、亮太の暴走は止まらなかった。彼の力は失敗作たちを凌駕しており、次々と兵士たちを投げ飛ばしていく。その光景を見ていた田中と理恵が冷笑を浮かべる。
「見ろよ、これが完成形だ。」田中がつぶやく。「”作品”がどれだけ優れているか。」
「黙れ!」拓真は田中に向かって叫ぶと、亮太に近づこうとする。しかし、亮太が振り返り、鋭い爪を振り上げた。
「亮太…! 拓真だ! 分かるだろう?」
その言葉に一瞬だけ亮太の動きが止まる。その隙に、米軍の一人が亮太を麻酔弾で狙う。
「やめろ!」拓真がその兵士に体当たりして、銃口を反らした。
「これしかない!」兵士が叫ぶ。
「亮太を信じる!」拓真は強い口調で言い放った。「亮太は暴走なんかしない!」
亮太の目が再び輝きを取り戻した。彼の咆哮が徐々に静まり、荒い息をつきながら元の姿に戻り始める。
「拓真……俺……やっちまったか?」亮太がかすれた声で言った。
「いや、お前は自分を取り戻したんだ。」拓真は微笑んだ。「俺たちで地獄を終わらせよう。」