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えれめんたる
#全ては罪全ては罪全ては罪全ては罪全ては罪全ては罪全ては罪全ては罪
この家に引っ越してきてから、ひとつだけ気になることがあった。
押し入れの奥。
そこだけ、やけに“深い”。
布団をしまおうとして気づいた。
普通の押し入れならすぐ壁に当たるはずなのに、手を伸ばしても、まだ奥がある。
「こんなに広かったっけ…?」
不思議に思いながら、スマホのライトを向ける。
でも、光は途中で吸い込まれるみたいに消えた。
——見えない。
その夜。
ガサ…ガサ…
押し入れの中から、音がした。
最初は気のせいだと思った。
でも、毎晩、同じ時間に鳴る。
ガサ…ガサ…ガサ…
耐えきれず、ある夜、押し入れを開けた。
真っ暗な奥に向かって、声をかける。
「……誰かいるの?」
音が止まる。
静寂。
次の瞬間。
「いるよ」
耳元で、そう囁かれた。
反射的に振り返る。
誰もいない。
でも——
押し入れの奥から、何かが這い出してきていた。
細くて、長い腕。
ありえないほど奥から、ずるり、ずるりと伸びてくる。
逃げようとした瞬間、腕に掴まれた。
冷たい。
強い力で、引きずり込まれる。
「やっと、代わりが来た」
気づいたとき、私は押し入れの“奥”にいた。
狭くて、暗くて、何も見えない。
でも、ひとつだけわかる。
——外から、誰かが押し入れを開けている。
「……あれ?奥、こんなに深かったっけ?」
その声は、昨日までの“私”だった。
コメント
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読んでいるときに、こっちまで緊張感が伝わってきました。とても、怖い感じの文章で、面白かったです!(怖い小説、まあまあ好きです)