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#普通
野々さくら
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ありあ
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信愛はスマートフォンの画面を見つめたまま、小さく息を漏らした。
「うわぁ〜・・・かなり言われてるね」
「まぁ、詐欺師を本物の霊能者
として紹介しちゃった訳だからな」
多摩雄は苦笑しながら肩をすくめる。
すると銚子は、少し意外そうな表情で首を横に振った。
「にしても謝罪はする必要無かったように思うわ」
「え? なんで?」
信愛が尋ねると、桃子は穏やかな口調で続けた。
「謝罪するイコール、自分たちが
悪かったって認めてる事になるでしょ?」
「まぁ、確かに」
信愛は納得したように頷く。
「そういう場合には『今謝ったよね?』
『って事は言われても仕方ないよね?』
って風潮があるからね」
「なるほど・・確かにそう言うのあるよね」
銚子は微笑みながら頷いた。
「確かに霊貴冥孤にお金を騙しとられた
被害者からするとあまりいい気はしないでしょうけど
詐欺師だったのって、あくまでも結果論だしね
そんなのにいちいち謝罪してたらキリ無いわよ」
「まぁ、そうだよね」
信愛はそう返事をしたものの、時計へ目を向けた瞬間、表情が変わった。
「わ!やば!もうこんな時間!急がなきゃ!」
信愛は慌ててトーストを頬張ると、熱いコーヒーで勢いよく流し込んだ。
「あーもう、落ち着きなさいよ、まったく・・・」
呆れたように笑う銚子をよそに、信愛は鞄を肩へ掛ける。
「行ってきまーす!」
「はーい、気をつけてねー」
軽やかな返事を残し、信愛は慌ただしく家を飛び出していった。
それからリビングには再び静けさが戻る。
するとテレビから流れる朝のニュースを眺めながら、多摩雄がぽつりと呟いた。
「そう言えば・・・もう25年なんだな」
「25年?」
不思議そうな顔をした銚子に、多摩雄はテレビを指差した。
「これだよ」
画面にはニュース番組の特集が映し出されている。
『狗頸バスジャック事件から25年』
そんなタイトルが画面に大きく表示されていた。
「ああ・・あれからそんなに経つのね」
銚子は懐かしむように目を細める。
「すごい事件だったよな・・・」
多摩雄は当時を思い返すように腕を組んだ。
「確か運転手が拳銃自殺して乗客守ったんだよな」
「『カルネアデスの板』みたいなものね」
銚子が何気なく呟くと、多摩雄は首を傾げる。
「ん? カルネアデスノイタ?」
「いや、何でも無いわ」
銚子は小さく笑って話を切り上げた。
「というか、あなたも早く行かなきゃ遅刻よ
今日会議があるって言ってなかったかしら?」
その言葉を聞いた途端、多摩雄は勢いよく立ち上がる。
「あ、やばい! すっかり忘れてた!」
慌ててビジネスバッグを掴み、そのまま玄関へ向かう。
「悪いけど食器頼むな?」
「はいはい」
呆れたように笑いながら桃子が返事をすると、多摩雄も慌ただしく家を後にした。
静かになったリビングでは、テレビだけが25年前の事件を淡々と伝え続けていた。
「まだ走ってるのかしら・・西さん・・」
銚子はニュースを見ながら小さく呟いた。
コメント
1件
×××さん、読了しました! 「謝罪する=自分が悪かったって認める」って流れ、すごく分かるなあと思って。銚子さんの冷静な指摘、さすがだなって感じでした。 そして最後の「カルネアデスの板」…タイトル回収、ゾクッとしました。あのバスジャック事件がどう繋がってくるのか、気になりすぎます。 「まだ走ってるのかしら…西さん」って銚子さんの呟き、めっちゃ重い。 日常の会話の中に、どんどん闇が潜んでいく感じ、大好きです。次話も楽しみにしてます🌙