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自分「さて、そろそろ行くか。」
夜、僕は部屋を出ようとした。
ミユウ「無茶しないでね。すぐに帰ってきてよ?」
未夢が心配そうに言う。
自分「もちろんだ。」
無茶はしても、やられるつもりはない。
自分「じゃあ、行ってくる。」
そう言って、僕は部屋を後にするのだった。
ココロ「遅かったですね。」
自分「別に、時間はまだあるだろ。」
そういうと心が口を尖らせる。
ココロ「まぁ、そうですけど。」
ココロ「で、確認なんですけど、」
そういって心は続ける。
ココロ「今回の作戦、第1は情報でいいんですよね?殲滅じゃなくて。」
自分「あぁ。そもそも隠密作戦なんだ、無駄に戦闘する必要は無い。」
だから心を選んだのだ。
家族ですら気付かない透明化の能力、
使いようで大きく化ける。
ココロ「改めて見ると、学校って大きいですね。」
心が目を輝かせて言う。
自分「まぁ、ほとんどの人間が通ってるしな。」
自分「とりあえず、侵入するぞ。」
ココロ「でも、扉は空いてないですよね?」
心が頭上に?マークを浮かべる。
自分「まあ、任せとけ。」
そう言って僕は能力を使う。
バキッと音を立てて扉が外れる。
ココロ「え!扉ってそんな簡単に外れますか?」
心が驚いているが僕は内部を見ながら言う。
自分「扉が壊れていたんだろ。」と。
自分「それより、ここからは気を緩めるなよ。」
ココロ「分かってますよー。」
心の表情が変わるのを確認して、俺は戦闘態勢に入るのだった。
学園の内部はとても甘かった。
何人か警備用の生徒がいたがどいつも脆い。
角で待ち、来たらナイフを突き立てるだけ。
簡単な仕事だった。
ココロ「すごいですね。」
心が呟く。
ココロ「人って、こんなに簡単に死ぬんですね。」
相手の弱さ、僕の強さではなく、死に対して感想を述べていた。
やはり、僕の見立ては正しかった。
こいつは僕と似ている。
自分「死なんてそんなものだ。ただ、誰もが体験しないから身近にあることに気づけない。」
これは僕の本心だった。
死は常に身近にある。生と共にある。
なのに誰も恐れない。
それは身近にありながら珍しいからだ。
生物は死ぬと終わる。だから死んだことの無いものしか考えない。
死について考えるのは死んだことの無い者。
それでは死について意識なんて出来ない。
しているようでしていないのだ。
ココロ「あの、これで全部見て回りましたよね?」
心に声をかけられ、僕は我に返る。
自分「ん?そうだな。」
ココロ「なら、どこにも情報がありませんけど。」
自分「情報は下にあるんだ。」
ココロ「……地下?」
自分「そうだ、ここには地下がある。」
そして僕は棚を動かす。
ココロ「こんなところに?」
自分「頭の回る奴らが作ったんだ。」
そこには階段があった。
ここを歩くのは何時ぶりだろうか。
僕は冷や汗をかいていた。
大丈夫、きっともうない。大丈夫。
自分にそう言い聞かせて歩いた。
ココロ「扉ですね。」
そう言って心は扉を開けた。
その瞬間、その光景は目に飛び込んだ。
自分「…なんで、なんでそのまんまなんだよ!」
僕は声を荒らげた。
なぜなら、
そこには、そこには、壊れた機械と倒れた子供が何人もいたのだ。
僕は頭を抱える。
悪夢が蘇るのだった。
私は驚いていた。
この部屋に広がる光景はあまりにも悲惨だった。
ボロボロの部屋、そこに横たわる何人もの少女。
それに、
私は横目で彼を見た。
先程までの彼とはうって変わって、彼は蹲っていた。
息は荒く、何かを呟いている。
地下に入ってから少し青白がったが、
これはあまりにもおかしい。
何かあるのか。
だが、私には何も出来ない。
だから私は部屋の奥へ進み、紙束を取った。
実験資料、クローン研究の報告書
と書かれていた。
クローン研究、これが学園の闇?
自分「あったか。」
後ろから声が聞こえて少しびっくりする。
後ろには青白い顔をした彼がいた。
私「大丈夫ですか?」
レオン「問題ない。」
彼はそう言ったが、その顔は大丈夫には見えない。
急いで拠点へ戻るのだった。