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渡辺side
ソファで並んで、ぴったりとくっつきながら、蓮が淹れてくれたコーヒーを飲む
「みんなに伝える?」
「付き合ったこと?」
「うん」
「んー、ちゃんと、言ったほうがいいとは思う。………けど、阿部ちゃんと佐久間みたいにみんなの前で発表は、………ちょっと、恥ずかしい」
素直な気持ちを吐露すれば、柔らかい笑みに肯定される
「ふふ、そう言うと思った。じゃあ順番に伝える?」
「ん」
「誰から言う?」
「おれは、あべちゃんに伝えたいかな。今日、頑張ってって言ってくれたし、知ってるのあべちゃんだけだから」
「俺も佐久間くんには言いたいかなぁ。応援してくれたし。あ、あと舘さんも」
「……涼太?なんで?」
意外な名前が出てきて驚く
「1番相談乗ってもらってた。気持ちバレてたし、翔太を頼むって言われてた」
「え〜?そうなの?」
「不思議だよね〜。2人の関係」
「?」
「なんか、どっちもがお互いのお兄ちゃんで、弟で、みたいな。でもベッタリはしないし。どういう感覚なの?」
幼馴染であることを取り上げられることは多いけど、感覚と聞かれるのはあまりなくて言葉に詰まる
「うーん。……………難しいけど……なんか、涼太には幸せであって欲しいと思うけど、隣にいて涼太を幸せにするのはおれじゃない。……って感じ?たぶん向こうもそれは同じ」
「へぇ…なるほどねぇ。いいよね、そういうのも」
「そうなのかなぁ」
「なかなかないよ。恋愛にはならないけど、恋愛と同じくらいの相手を想う強い気持ちがあるんでしょう?俺は素敵だと思う」
そんな風に表現されたことはなくて、でもそれがちょっと納得できて、俺らの関係を大事なものとして表現してくれたのが嬉しい
「そっか。……おれはそう考えられる蓮がかっこいいと思うけど」
思わず溢れでた言葉に驚いた様子で見つめ返され、つい目を逸らしてしまう
顔が熱いからたぶん頬も赤くなっている
「ふは笑 自分で言ったのに照れてるの?かわいいね」
(そこはわざわざ言語化してなくていいんだけど)
「……うるさいし」
「あれ、すっかりいつものツンデレ?さっきまであんなに真っ直ぐ伝えてくれてたのに」
「っ!……だって、あれは、なんか、勢いでっ」
紅潮した頬を少し膨らませれば、そっと撫でられる
「うん。それくらい伝えたいって思ってくれてたんでしょ?嬉しい」
(う、わ………)
適当に宥められると思ってたのに、俺の照れ隠しも丸ごと全部嬉しいみたいな顔をされて、吊り上がってた眉も途端に下がってしまう
「……もう、そんなのずるい」
「なんでよ笑」
「そんな、俺のこと大好きみたいな、優しい顔されたら…」
「大好きだもん。何してても可愛い」
「もぅ………」
火照った顔を冷やそうと両手を頬に当てて、少し俯けば、隠しきれないおでこに唇の柔らかさを感じる
「あっ!………うぅ〜、、続き!話の続きしよ!」
「ふふ、そうだね。じゃあ、最初は阿部ちゃんと佐久間くんで、次に舘さんに言おうか」
「うん」
「その後は、流石に岩本くんに言わなきゃだよねぇ」
「リーダーだしな。照とふっかは一緒でいいんじゃない?」
「そうだねぇ。そうなると残すはラウと康二か」
「騒がしいのが残ったな…。その2人も一緒でいいだろ」
「仕事の時に言う?」
「ん〜、、、え〜、、、、」
「悩むねぇ」
全員に言って回ることを想像するとちょっと怯むし、今の勢いで何人かには報告を済ましてしまいたい
「んぁあ!あべさくはもう電話しよ!今!」
「えぇ〜、急だな。2人一緒かわかんないじゃん」
「もう終わらせちゃいたい!それに一緒にいそうな気がする」
「勘かよ笑 じゃあ佐久間くんにかけてみるよ」
「うん」
コメント
2件

言う工程とかエモい、、、