空
さっき、激しい雨が降った。
にわか雨だった。
すぐにやみ、少し気温が下がった。
出入口の石段に座り、外を眺める。
夕方にはもう乾いていた。
地平線は限りなく白に近い水色。
真上は深い紺色。
すっかり夜色をしている。
「どうしたの、そんなところに座って」
美子が中から出てきた。
「コマ兄ったらふらっと出て戻らないんだもの」
「ねぇ、美子」
ぼくは、今見て感じたことをそのまま口に出した。
「世界って、こんなに美しいんだね」
いつの間にかぼくの横に座った美子と見えるものについて話した。
「雲が白とグレーのコントラストがきれいだね」
「夕日でちょっとだけ黄色っぽくなってるね」
美子と過ごすと世界はさらに美しくなる。
しばらくすると、買物から女神様が帰って来た。
「まぁ、二人で何してるの」
女神様は楽しそうに聞いた。
「二人で世界の美しさについて話してました」
女神様もぼくの横に座った。
しばらく3人で空を見た。
見つけたものや感じたことを口に出す。
「夕方の空の淡い青色って儚くて素敵」
女神様はうっとり言った。
太陽は雲間から黄金色の光を放つ。
3人で見る世界はこの上なく美しい。
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