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「それじゃ、またな!何か困った事がっあったら気軽に連絡するんだぞ?」
警衛の男がガシガシと焔の頭を撫でて、夕日を背にしながら爽やかな笑顔で手を振って家路に着く。そんな彼に対し、特に表情を変えるでもなく「機会があったらな」と焔は手を振り返して彼を見送った。
冒険者ギルドへ案内をする短い道中ですっかり意気投合してしまい、彼等はオンラインゲームでよくある様なフレンド登録をするまでに至った。街の警備を主だった任務としている部隊に所属している男にとって見た目からして異国情緒溢れる焔の存在は物珍しく、些細な話でも楽しかったみたいだ。そのせいでリアンの不機嫌は怒髪天状態で、その姿は見えずとも五朗にまでリアンの居る位置がわかる程になっていた。
「何でフレ登録作業を断らなかったんですか、ソフィアさん!」
ぶすぅと不貞腐れた顔をしているせいでリアンの色男っぷりがすっかり台無しだが、そんなリアンの様子を気にせぬまま、焔がギルドの建物を見上げている。どうやら彼は、建物の造形美に目を奪われている様だ。
『すみません……。ですが、ワタクシには拒否権がありませんし』
しゅんっと項垂れるソフィアの側に立ち、五朗が「そうっすよ。ソフィアさんには主人さんの発言が絶対なんですし、無茶言ったら可愛そうっす。八つ当たりはダメですよーリアンさん」と指摘する。全くもってその通りなので、リアンは「……それもそうですよね。申し訳ない」と素直に謝り、即座に八つ当たりの対象を焔に変えた。
「主人!ちょっとよろしいですか」
『冒険者ギルド総本部』と書かれた看板のかかる剛健な装いの建物を見上げていた焔が、リアンの呼び掛けに対し振り返った。
洋風のデザインをした建物の外装は全体的に石造りで、魔物を撃退している者達を象った彫刻などが数多く飾られている。アールヌーボーを思わせる曲線を意識した装飾も随所に施されており、豪快さの中に美しさをも兼ね備えた建物はまさに『総本部』と呼ぶに相応しい姿をしていた。
「ん?どうした?……目が笑っていないぞ?」
口元は笑みを浮かべているのに、焔の指摘通り仮面の奥に見えるリアンの瞳が一切笑っていない。今にもストレスが爆発寸前で、このままでは、この地域一帯を火の海にでも沈めてしまいそうな雰囲気だ。焔はそれなりに空気が読めない訳ではない為リアンの心理状態が非常に不安定である事を即座に悟ったが、だからといってどう扱うべきなのかまでは思い付いていない。そのせいで額から汗をたらりと一筋流れ、『さて、どうしたものか』と焔は少し困った顔をした。
「ちょっと私に付き合って下さい!」
そう言って、リアンが焔の上腕を掴んで歩き出す。
「何故じゃ。目的地は目の前だぞ?ギルドでクエストの詳細を聞いてからじゃ駄目なのか?」
「ダメです!今がいいんですっ」
「駄々っ子のガキみたいな事を言うな。終わったら付き合ってやる……——って、おぉぉーいっ」と言っても離してはもらえず、ズルズルと引っ張られて行く。だがリアンの姿はやっぱり仮面の効果で見えないままなので、焔が一人でパントマイムでもやっているみたいになっており、その様子はかなり滑稽だ。
「……えっと、アレって時間かかります?」
五朗が何とも言えぬ微妙な顔をしてソフィアに訊いた。
『かかるでしょうねぇ。見えずともわかる程にご立腹の様ですから』とソフィアが小さく呟く。
「そうっすよねぇ。んじゃ、自分達は宿屋でも手配しておきましょうか」
『そうしましょう。五朗さんは食事も必要でしょうし、先に済ませておいては如何ですか?』
「うっす。めっちゃ空腹なんでその案頂きます!」
ソフィアに向かって敬礼をするみたいな仕草をし、五朗が大声で「主人さーん!」と、焔に向かって声をかけた。
「自分らぁー最寄りの宿屋手配しておくんでー、ギルドには明日行くって事でいいっすかー?」
大声でそう叫び、五朗が手を高く上げてブンブンと横に振る。そんな彼に対して大きな声をあげる事が面倒な焔はぐっと親指を立てて返事をした。その仕草が了承の意だと読み取った五朗がソフィアに向かい「問題無いっぽいんで、行きましょうか」と言った。
『了解しました。ではそうしましょう』
「ふっふふーん。デートなんて久しぶりっすね!」
ニタニタと気味の悪い笑みを浮かべる五朗の顔がとても気持ち悪い。
『……一度もしたことはありませんが』
ツンッとした態度でソフィアが言ったが、五朗は全く凹んでいない。むしろとても嬉しそうなので、やっぱりこの人はマゾの子なのだろうか?とソフィアは思った。
「塩!でもそんなソフィアさんも好きっすぅー!」
焔とリアンの二人とは違い、仲睦まじい……と言っていいのか悩む空気感を纏いながら、五朗とソフィアは近隣の宿屋を探し始めたのだった。
「——おい、何処まで行く気だ?いい加減掴んだ手を離すか、姿を現せ。このままじゃ、周囲の関心を買い過ぎているぞ」
リアンに腕を引かれながら歩いているせいで、変なポーズのまま一人で進む焔の様子が好奇の目を集めてしまっている。額には小さな角があり、目隠しをしている者がこうでは当然だろう。
「そうですね。でももう少し……あ、いや、この辺でいいか」
周囲を見渡し、人通りの少ない方を選んでリアンが進む。裏路地の狭い道をズンズン歩いて行くと、入り組んだその先で二人は宝箱を一つ発見した。
「これを探していたのか?」
三方向が高い壁に囲まれた箇所に置かれた宝箱はレア度の低い物で、わざわざ探してまで開ける価値があるとは到底思えない。もし中身がまだ残っていたとしても、薬草か包帯、よくて下位の合成材料が数点入っているくらいなものだろう。
「そこに座って下さい」
冷ややかな視線を投げかけながら宝箱を指差し、リアンが言う。どうやらこの箱は開ける気すらも無い様だ。
「開けなくていいのか?」
箱を指差し、一応そう訊きながら振り返る。すると今度はひどく拗ねた顔をしたまま黙っているリアンと目が合った様な状態になり、焔は仕方なく要求を飲んで大人しく座る事にした。
裾を整え、よいしょと呟きながら宝箱に腰掛ける。何処にあろうが目立つようになのか、どこの宝箱も無駄に大きめなので、リアンと比べて小柄な焔が座ると足が地面には届かなかった。
「座ったぞ。これで満足か?」
首を少し傾げ、リアンに問う。すると彼は拗ねた顔のまま焔に近づき、宝箱の上にバンッと叩くように両手を置いた。
(ち、近いな……)
そう思って焔は軽く後ろに引いたが背中が壁にぶつかってしまう。真っ直ぐに瞳のある位置を見据え、リアンが口を開いた。
「焔様。貴方は此処がどんな世界かお忘れですか?」
「ゲームの世界、だろう?」
正確には『ゲームの企画書を元にして創られた世界』だが、細かい事は隅に置いた。
「ただのゲームじゃありませんよね?『恋愛シミュレーションゲーム』の世界だと前にお教えしたはずですが、その点はお忘れですか?」
「いいや、覚えているぞ」
今何故その確認をするのかわからず、焔がキョトンとした顔になった。その顔が可愛らしく、つい口元が緩んでしまいそうになる。だがしかし!と気持ちを引き締め、リアンは話を続けた。
「じゃあ何故、今日会ったばかりの男の好感度を上げているんですか!しかもアレはモブですよ?モブ!」
「もぶ……?」
「大勢、群れ、群衆、野次馬などといった意味です!——ってか、気にするのはそっちですか⁉︎」
「好感度の件ももちろん気にはなるが……何の話だ?」
「警衛の男に決まっているじゃないですか!」
「あぁ、ナズナの事か。あのまま邪魔する様だったら最初は殺してでも通ろうかと思ったが、話してみると明るくていい奴だったな」
ブチッとリアンの中で何かの糸が見事に切れた音がした。名前に重きを置いている焔が、モブキャラ的立ち位置である者を名前で呼んでいる事が許せない。
「あんな奴の名前なんかどうだっていいんです!早急にフレンド登録を解除して下さい。あのままにしておけば、変なイベントに発展しかねないですよ?モブキャラに強姦されるとかあったらどうする気ですか!」
「何故じゃ、ただの友人だろう?」
腕っぷしに自信があるせいか、微塵も危機感を持っていない焔は首を傾げるばかりだ。
「だから、此処は恋愛ゲームの世界なんだって言ってるだろうがぁ!」
怒りのあまり、すぐ目の前で怒鳴ってしまったせいで焔が呆気に取られている。全く怯えてなどはいないが、かなり驚いてもいる様だ。
はぁはぁと肩で息をして、リアンがチッと舌打ちをした。感情が抑えられず、今にも爆発してしまいそうだ。ここ数日間野営続きで、まともに焔の肌に触れられていなかったせいもあるかもしれない。
「……そう怒るな。まずはちょっと落ち着いたらどうだ?」
「好感度なんか目視出来る設定に変えるべきじゃなかったな……くそっ!」
最初の頃よりも出掛ける機会が少し増えた一年間だったので、リアンは周囲の者達への警戒心を強め、焔への好感度を確認出来る設定に自分だけ変更していた。少しでも焔に好意を持つ様な者が現れれば即座に排除する為にだ。
これも全ては焔が可愛いのが悪い!
——と、恋は盲目状態に陥っているせいでリアンは持ち前の冷静さを完全に見失っている。
「何をそんなに警戒してるんだ、まったく……」
呆れながら、焔がリアンの髪をくしゃりと撫でた。弟や子供をあやすみたいな手付きだが、他者にはしない行為なので特別っぽく感じられる。だがこの程度で苛立った気持ちが治るはずがなく、リアンは「好きだからに決まっているじゃないですか!」と言い、焔の唇に噛み付く様な口付けをし始めた。
「んっ!ングッ……んんっ」
そのせいで徐々に焔の体から力が抜けていく。目隠しが無ければ彼の瞳がゆるりと蕩けていく様子が見られただろうに残念だ。
焔の後頭部に手を回し、リアンが彼の髪を軽く掴む。そして長い舌先で彼の上顎を舐めると、ビクンッと体を震わせて「んあぁ!」と甘い声を焔があげた。
「気持ちいいですか?ココ」
歯茎にも舌を這わせて指先で耳の外輪を優しく撫でていく。焔の乱れる呼吸が心地よい事を如実に伝え、リアンの胸の奥がカァッと熱くなった。
リアンが髪から手を離すと、快楽に弱い体はいとも容易く崩れ、宝箱の上でぐったりとなってしまう。魔導士系の衣類を着ていてもわかるほどに股間部分が膨れてしまっていて、その様子を満足気な顔をしながらリアンが見下ろし、自らの赤い唇をゆっくり舐めた。
「はぁはぁはぁ……」
頬を赤く染めてピクピクと焔の全身が震えている。そのうえ両脚をもじもじとさせているもんだから、リアンには誘っている様にしか見えない。
「触って欲しいんですか?それとも口での方がいいですか?」
熱い耳に口を近づけ、吐息をかけながらリアンが囁く。
「んくっ」
そのせいで出てしまった声を堪えようと口元を引き、焔がリアンの服を強く掴んだ。 指先で股間の膨らみの先をくるくると布越しに撫でて、「言わないとわかりませんよ?ほ・む・ら・さ・ま♡」と、意識して甘い声で呟いた。
「……ど、どっちょ」
「ど?」
意地の悪い笑みを浮かべながらグリッと強めに先端を撫でる。すると「ひぃっ」と声を出し、焔が背筋を反らせた。布地にシミが出来る程先走りの蜜が溢れ出し、じわりと広がっていく。体のサイズに合わぬ陰茎が激しく自己主張をしていて、このまま先っぽを弄られ続けただけでもイッてしまいそうに感じられた。
「ふぐっ……んんーっ」
焔の腰が少し揺れていて、もっと快楽が欲しいと無自覚のまま訴えている。
「おや、言葉の続きは言わないのですか?言わないと、このままですけど?」
そう言っておきながら、リアン自身ちょっと限界が近い。穿いているズボンの奥で勃起しているモノがひくついていてかなり辛く、さっさと露出させて、八重歯が可愛い焔のお口の中に突っ込んでしまいたいくらいだ。
「……ど、どっちもぉ」
恥ずかしそうな顔をしながら言われ、リアンの嫉妬心がすっかり鳴りを潜め、その代わり理性の糸がブチリと切れてしまった。
「し、仕方ないですねぇ」と言いながら服の裾を捲り上げ、ベルトを外してリアンがズボンの前をそそくさと開く。その流れで下着を下げると怒張する陰茎を焔の前に晒した。そして焔の両膝を掴んで無理矢理大きく開かせ、服の裾を捲り、彼の穿いている下着をずらして互いの陰茎をくっつける。
「声は抑えて下さいね。表通りは人も多いので、あまり大きな声を出すと此処まで誰か来ちゃうかもしれないので」
「イヤだ——ングッ」
咄嗟に理性へ手を伸ばし、こんな事はやっぱり止めたいと訴えようとした焔の口を口付けで塞ぎ、大きな手で互いの陰茎を強めに掴んでリアンが上下に擦る。先走りのおかげでドロドロになっているモノはちょっと擦れ合うだけで二人に快楽を与え、無意識に揺れる腰の動きが少し大胆になった。
かなり薄暗かった掃除道具入れの中の時よりもリアンの姿が半透明である事を日の下ではやけに意識してしまい、ちょっと不思議な感じがする。地面や路地が透けて見えるせいで、まるで幽霊にでも犯されているみたいな感覚だ。
もしこの状況で今誰かが来たら、宝箱の上で開脚している焔の姿だけが見られてしまい、露出狂扱いされてしまいそうだなと思うと恥ずかしさが加速していく。
「で、出るっ」
「んんーっ」
ここ数日間焔に触れられていなかったせいで、すぐに限界が訪れる。ビクビクッとリアンの体が震え、陰茎から濃厚な白濁液が溢れ出てきた。まるで噴水のような勢いがあり、びゅるびゅると音までなっていそうなくらいだ。
「んんっ!あ……あぁっ」
蕩けたイキ顔を焔に晒し、リアンが肩で息をする。焔はまだ不完全燃焼で、もじもじ脚を擦り寄せて体を揺らしていた。
「リ、リアン……」
名前を呟き、リアンの袖を掴む。ねだるみたいに首へ啄むみたいな口付けをすると、焔は「お前だけなんて……狡いぞ」と一言こぼす。
「すみません。久しぶりに焔様に触れたので」
「でもご安心を。何度でもお付き合い出来ますからね」と言い、リアンがふふっと嬉しそうに笑う。既に達したはずの陰茎は硬さを取り戻していて、もうすっかり警衛の男への嫉妬心は彼の中から消え去った様だった。