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コメント
2件
もう神さんの素直さにものすごい感動してるんだけど(?)
早朝。
まだ暗くて寒い中。
一つの影が揺らめいていた。
『きゅぅっ…はぁっ…やはり出来ぬか…』
今必死に練習しているのは、 花を咲かせる妖術。
何故練習しているのか?
そりゃあ決まっておるじゃろ
執事達に感謝を伝えたいからじゃ!
あの日。
私は、執事達のおかげでもう過去の事を振り向かないと誓った。
その礼を伝えるため…苦しい練習を頑張っている。
『ふぅっ…あと、もう…すこし…!』
何時間も練習し、僅かに残った妖力で無理をする。
『くぅっ…ぅぐ……』
芽は生えるのだがそのからの進展が全くない。
何かが足りないのだろう。
『……むり…か…』
小さな双葉をそっと触った途端なにか込み上げてくるものがあった。
『どうして…できないのっ…ぅ…やっぱり…私って、無能…』
そう言いかけた時あの日の約束を思い出し頬に伝う涙を拭う。
[もう泣くなお前は笑顔の方が似合う]
そんなシロの声が脳によぎる。
『っ…はぁ…そうじゃ、落ち込んでては何も出来ん』
もうひと頑張りじゃ!と、気合いを入れ直した。
朝練を始めている執事もいる頃。
『ロノ〜!今日の食事も美味かったぞ〜!』
勢いよく後ろから抱きつく。
「うわっ!?ち、ちょ主様!?」
『む?後ろから抱きつかれるのは嫌いか?』
「いや…嫌いってわけじゃないんですけど…」
『ならこのままにしてくれ…あぁ…あったかい…』
ロノの温もりをこれでもかというくらい味わう。
最近は、執事に後ろから抱きつくという戯れをよくやっている。
意外とこれが照れるやつと照れないやつで反応が違って面白い。
ちなみにロノは…。
「っ…しっぽあたって…もふもふ…」
そんな独り言が聞こえたのでしっぽをロノの腰にすりすりと撫でるとと
「く、くすぐったいですって主様」
『何故じゃ?気に入っておるのじゃろ?私のしっぽでよければ…たんと味わうがよい』
今度は左足の方にする。
そうすると、結構真っ赤になって照れたロノが見れる。
まぁ私のしっぽが好きということじゃな。意外と可愛いやつなんじゃのぉ。
そう思う度 なんかだんだん老けてる気がするの…と、思ってしまう。
そんな実験のような事も兼ねた朝だった。
昼。
ムーと一緒に庭の散歩に出かけた。
『そりゃ!』
「うわぁっ!?よーし仕返しですー!」
雪が積もっていたので…冬の醍醐味雪合戦をする事にした。
『うおっ!?…やりやがったの!ほれ大量雪玉じゃ〜!』
「うわぁぁ!?」
……やっている事はほぼ子供の遊びである。
しかし、運動をすると妖力が活性するとかなんとか…。
……まぁ嘘じゃが。
しばらく遊んで疲れたのかムーは寝てしまった。
『ちょっと大人げなかったかのぉ…』
部屋に戻した後、また花を咲かせる妖術の練習を始めた。
『なるべく…声を出さんように…』
数時間後。
『う”っ…まだじゃ…!』
曖湊 _ あいす
執事達にバレるかも…という考えはどこかに置いてきてしまった。
自室では苦しい声が響くばかり。
『ぁ…そうじゃ…薔薇じゃ青い薔薇…あれを咲かせるように…っ!』
青い薔薇。
それは品種改良により実現された目の冴えるような色。
花言葉は………。
庭に集められた18人と1匹の執事。
「急にどうした?主様…まさかこのハナマル様に愛を…」
「絶対違いますハナマルさん」
ぺしっと頭を叩く音。
痛がるハナマル。
ハナマルも苦労しているんだな…と思いながら着々と準備を始めた。
『よし…ではゆくぞ?瞬き厳禁じゃ!』
一瞬で私の周りには青い薔薇の花畑が現れた。
「え、これ…青い薔薇…っすよね主様」
『そうじゃが…なにかいけなかったか?』
青い薔薇の傍にしゃがみこみ数秒後私の方を振り向いた。
「まじで主様すごいっす!これ咲かせるために頑張ったんすか?」
満面の笑みで問いかけてくる。
『…まぁ…頑張った、な』
苦しみながら頑張ったとは言えない。
そう言うと…さらに執事達が心配し、過保護になりそうだから。
「私の知らないところで…ほんとえらいですね主様」
「あ”〜もう!いい子すぎます!」
「あぁ…俺を喜ばせるために…ありがとうな」
「よく頑張りましたね 」
「えらいです主様」
「こう見えて俺めちゃくちゃ嬉しいんだぞ?」
「いい子いい子っす!」
「見えないところで頑張っていて…えらいね主様」
「ほんと主様だいすき〜!」
「主様が咲かせた薔薇…どんな薔薇より美しいです!」
「大変だっただろう?お疲れ様」
「今度濃い青のドレス作ってあげますね!」
「フルーレはいい子ですねぇ…主様も負けないくらいいい子ですが」
「…俺も頑張んないとねぇ」
「思い出にずっと残しておきますから、ね」
「今日はほんとうに…ラッキー、です!」
「………美しい、な」
「とっても綺麗です!」
「…ところで…俺青い薔薇の花言葉知らなくてさ…主様教えてくれる?」
そうか、知らぬ者がいるのか
と、今更気づく。
まぁこの場で話す方が良いだろう。
青い薔薇の匂いに包まれた空気を吸って。
一輪、薔薇を手に取った。
『奇跡…じゃ!…おぬしらと出会えた事が…奇跡で…っ、だから…』
零れ落ちる涙は薔薇の葉を濡らした。
『これだけしか、言えないが……おぬしらと出会えた奇跡に感謝…じゃ!』